「品質は工程でつくり込む」(=自工程完結)とは
「後工程はお客様」という考えのもと、後工程には絶対に不良を送らず、一人ひとりの作業の範囲内で品質を点検する考え方を自工程完結といいます。
簡単に言い換えると、自分の作業範囲は自分で品質を保証するということになります。
(=工程内品質保証)
生産工程において不良が発生したときの対応には2つの方法があります。
1 ラインを即座に停止する
2 発生状況を考慮しながらラインを稼働する
上記の内、トヨタ生産方式では前者が推奨されます。
ラインを停止すると、一時的に損失(生産・販売の機会損失や残業対応による人件費)が増えますが、真の原因がつかめないまま生産を続けた場合、結局は検査や手直しの手間が増えたり、生産スピードが大きく変動することで後工程に迷惑をかけることになります。
なので後工程重視で考えた場合、だましだましラインを稼働させるよりも、一旦停止して不良品が出ないラインにすることの方がずっと重要です。
品質は工程でつくり込むとは、「わたし加工する人、あなた検査する人」の考えではなく、自分の作業する範囲は自分で品質の保証をするという考えです。
専任の検査員による工程外の検査という仕事は生産において付加価値を生みません。
また、工程外の検査や手直しのための人員が増えれば増えるだけ、人件費が増加し製品の原価は高くなってしまいます。(=商品、企業としての競争力が落ちる)
検査を工程内に取り込む方法
検査を工程内に取り込み、品質を工程でつくり込むには以下のような方法があります。
◆源流管理
製品の企画段階や開発段階において製品の品質にかかわる問題を解決していく方法です。さらに、製品品質を左右する加工条件そのものを管理して、その異常を検知し製品の不良が発生する前に措置します。
品質は常に上流で管理することが再発防止と効率の良い品質チェックにつながります。
◆自主検査
加工工程や組立工程のなかに作業者自身による検査機能を組み込んでおき、不良が発生しそうになったら警報を発して、未然に後工程に流さないよう防止します。
また、仮に不良が出ても確実にそれが検知できて、後工程に流さないようにする方法です。
◆順次点検
加工工程で、それぞれ「すぐ後の工程」が前の工程から受け取った製品を検査することで、連続して不良が発生することを防止する手段です。
これは源流管理や自主検査に比べると一見、消極的な対策に映りますが、独立した第三者による検査という点で不良が発見しやすいメリットがあります。
(=自分で加工・組立したものを自分で検査する場合は、客観的な視点を持ちにくく見逃しが多くなる)
最終工程で検査をしても、ラインの仕掛か品の数だけ不良が出てしまって遅いので、順次点検はできるだけ加工工程の近くで実施するのが望ましい。
◆全数検査
対象となる製品をすべてもれなく検査することです。
全数検査を完全に実施することで、その製品の品質を完全に保証できます。