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シャフトのねじり強度計算:軸軽の選定基準

シャフトは機械の回転運動を伝達する重要部品であり、トルクに耐えられる設計が求められます。

過大なトルクがかかるとねじり破壊や永久変形の原因となり、製造ラインや機械の安全性に直結します。

本記事では、軸径・材質・許容応力をもとにシャフトのねじり強度を計算する方法を、具体例とともに解説し、設計の最適化や破損防止に役立つ知識を網羅的に紹介します。

 

 

シャフトのねじり強度とは

ねじり応力の基本

シャフトにトルクTがかかると、断面にはねじり応力τが発生します。

円形断面の場合、ねじり応力は次式で表されます。

 \tau = \frac{T \cdot r}{J}

ここで、rはシャフト半径、Jは極断面二次モーメント(円断面:  J = \frac{\pi d^4}{32})です。

この式により、シャフト径dと作用トルクTからねじり応力を求めることができます。

 

許容応力との関係

材料には許容せん断応力τ_allowがあり、これを超えると塑性変形や破壊が発生します。

設計では、求めたねじり応力τがτ_allow以下となるよう、軸径や材質を選定します。

一般的には、材料の引張強さσ_tから、τ_allow ≈ 0.577 σ_t(Von Mises理論)で算出します。

 

軸径の選定基準

トルクTと許容応力τ_allowから必要なシャフト直径を求める式は以下の通りです。

 d = \left(\frac{16 \cdot T}{\pi \cdot \tau_{allow}}\right)^{1/3}

これにより、与えられたトルクに耐えられる最小軸径を計算できます。

例えば、T = 100N·m、τ_allow = 50MPaの場合、

 d = \left(\frac{16 \cdot 100}{\pi \cdot 50 \times 10^6}\right)^{1/3} ≈ 0.018\,\mathrm{m} = 18\,\mathrm{mm}

となります。

 

シャフト強度計算の基本式と理論

円形断面の極断面二次モーメント

円形断面の極断面二次モーメントJはねじり応力計算の基礎です。

 J = \frac{\pi d^4}{32}

軸径dが大きくなるほどJが急激に増加し、ねじり応力は低くなります。

設計段階では、安全率を考慮して軸径を選定します。

 

ねじり角とねじり変形

シャフトのねじり角θは、トルクT、軸の長さL、せん断弾性係数Gで表されます。

 \theta = \frac{T \cdot L}{J \cdot G}

設計では、ねじり変形が許容範囲内かも確認する必要があります。

過大なねじり角は、機械の振動やギア噛み合い不良の原因になります。

 

材料特性と許容せん断応力

許容せん断応力τ_allowは、材料特性に基づき決定します。

鋼材の場合、引張強さσ_tの約0.577倍を目安とします(Von Mises理論)。

例えば、S45C鋼(σ_t = 570MPa)の場合、

 \tau_{allow} ≈ 0.577 \cdot 570 \approx 329\,\mathrm{MPa}

これを用いて軸径を決定すると、破損リスクを低減できます。

 

シャフトねじり強度の具体的計算例

M20シャフトの標準例

例として、直径20mmの丸シャフト、材質S45C、許容せん断応力τ_allow = 329MPa、軸長L = 500mm、設計トルクT = 300N·mを考えます。

まず、円断面の極断面二次モーメントJを計算します。

 J = \frac{\pi d^4}{32} = \frac{\pi (0.02)^4}{32} ≈ 7.85 \times 10^{-9}\,\mathrm{m^4}

次にねじり応力τを求めます。

 \tau = \frac{T \cdot r}{J} = \frac{300 \cdot 0.01}{7.85 \times 10^{-9}} ≈ 382\,\mathrm{MPa}

τ > τ_allow となるため、シャフトは破損する可能性があります。

安全に設計するためには軸径を増やすか、材質を強化する必要があります。

 

軸径を変更した安全設計例

上記条件で安全率1.5を考慮した場合、許容せん断応力を考慮した必要軸径dを求めます。

 d = \left(\frac{16 \cdot T \cdot \text{安全率}}{\pi \cdot \tau_{allow}}\right)^{1/3} = \left(\frac{16 \cdot 300 \cdot 1.5}{\pi \cdot 329 \times 10^6}\right)^{1/3} ≈ 0.022\,\mathrm{m} = 22\,\mathrm{mm}

この場合、軸径を22mmにすることで、設計トルクに耐えられるシャフトとなります。

 

異材質によるトルク許容例

材質をSCM435(σ_t = 850MPa、τ_allow ≈ 490MPa)に変更した場合、同じ軸径20mmでも設計トルクT = 300N·mに耐えられます。

Jは前述と同じ、ねじり応力は

 \tau = \frac{T \cdot r}{J} ≈ 382\,\mathrm{MPa} < \tau_{allow} = 490\,\mathrm{MPa}

となり、安全率を1.2とすると、余裕をもった設計となります。

 

設計上の注意点

集中荷重と偏荷重

シャフトに作用するトルクは、回転負荷だけでなく軸方向荷重や偏荷重も考慮する必要があります。

偏荷重があると断面の一部に応力集中が生じ、許容応力を下回る設計でも局所破壊のリスクがあります。

軸受位置や荷重分布を検討して、適切な軸径と支持条件を選定することが重要です。

 

ねじり角の制限

軸径や材料により、許容せん断応力を満たしてもねじり角θが過大になる場合があります。

 \theta = \frac{T \cdot L}{J \cdot G}

過大なねじり角はギアやカップリングのかみ合わせ不良や振動を引き起こすため、制限値を設けることが推奨されます。

 

キーや段付き軸の影響

キー溝や段付きのある軸では、断面二次モーメントが減少し応力集中が発生します。

この場合、断面修正係数を適用して実効軸径を計算する必要があります。

例えば、段付き部の応力集中係数k = 1.2を適用すると、実効応力はτ_eff = k·τとなります。

 

現場での安全対策

設計通りの軸径や材質を採用しても、製造誤差や表面欠陥により局所破壊が発生することがあります。

そのため、シャフトの製造後には表面研磨や熱処理を行い、応力集中を低減させることが現場での基本対策です。

さらに、トルク計測や定期点検を行うことで、長期運転中の破損リスクを低減できます。

 

まとめ~シャフトねじり強度設計のポイント~

シャフトのねじり強度は、軸径・材質・トルクに基づき正確に計算することが重要です。

適切な軸径選定、材料選択、安全率の考慮により、ねじり破壊や過大変形を防ぎ、機械の安全性と信頼性を確保できます。

また、段付き軸やキー溝などの応力集中部には注意が必要で、製造後の表面処理や定期点検により現場での破損リスクを低減できます。