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【感想】爆走兄弟レッツ&ゴー!! こしたてつひろ

1.

1994年12月25日発行_2022年11月12日読了

レッツゴー!星馬兄弟/セイバー対決、G.J.C決勝戦/爆走、校内バトル!/謎のフルカウルマシン⁉/新マシン、あらわる!

 

開発者の土屋博士からセイバーを預かることから物語ははじまる。同じ機体を貰った兄弟がそれぞれの個性を発揮したカスタマイズをして、セイバーのポテンシャルを高めていく。兄、烈はソニックセイバーでコーナリングが得意。弟、豪はマグナムセイバーで直線での最高速が得意。青い機体の方が兄だとこれまで勘違いしていた。

少年誌、特にコロコロにありがちな熱い展開で序盤からグレート・ジャパン・カップに出場し、しかも決勝戦まで演じる。地区予選用のコース「ドラゴン・マウンテン・ロックス」は冷静になって読むとやり過ぎ感があまりに強くて笑ってしまうが、少年の心を打つにはこのくらいやらないといけないという制作側の意欲が伝わる。実際にこれだけの規模のコースを作れば、どの程度の予算が必要か。

決勝で出会った黒沢氏のブラックセイバーとやらは当時の自分にあまり馴染みがない。こんなミニ四駆発売されてたか?という感じだ。今後、再び登場するか期待して待つことにする。後半はトライダガ―Xを操る鷹羽リョウが一気に盛り上げていく。弟は本巻時点ではただのモブなので無視。空気を味方にしてダウンフォースにより路面に吸い付くようにして高速走行する姿は当時の子供たちを興奮させた。

 

 

2.

1995年3月25日発行_2022年11月12日読了

決着、マグナムVSトライダガーX/いなずまの走り、謎の新マシン⁉/烈&豪、幻想世界で猛バトル!/ギャングをぶっとばせ!!

 

本編は2話分のみでその後はスペシャルマンガと題する番外編が収録されている。2巻で、しかも後ろ半分が番外編はさすがにひどい。

トライダガーXの鷹羽リョウに再戦を挑んだ豪。戦いの舞台は開通前の用水路というマニアックな場所。案の定ハプニング発生で戦い中に水が開通されてあわやの事態。そして、秀吉を彷彿とさせる三国藤吉とスピンアックスが登場。スターギャラクシーコースでの衝撃のコーナリングは、この回、当時コロコロ誌で読んだ記憶が蘇った。トライダガーX含む4機の中では子供時代、いちばん欲しかった機体だ。

本編は2話分のみなのであっさり終了し、後半は烈がミニ四駆を体感するヴァーチャルリアリティの世界に意識だけ取り残されてしまって豪が救出に向かうエピソード、スパイから狙われた土屋博士はプロトタイプのスーパーアバンテを守る話が掲載される。作者のこした氏の絵が年月が経ってもあまり古く感じないのが不思議だ。

 

 

3.

1995年6月25日発行_2022年11月12日読了

激突、ソニックVSスピンアックス/豪&マグナムの苦悩/全フルカウルマシンNo.1決定戦、G.J.C/史上最強⁉謎のマシンと猛バトル‼

 

烈と藤吉のバトル。途中でコースがなくなる変則ステージ。豪の模型屋での昼夜を徹しての修行、己との向き合い。ストレートでの加速特化という長所は、コーナリングが苦手という短所にもなる。そんな自分と真摯に向き合った結果、マグナム銃から着想を得て、空中で回転してジャイロ効果によるワープ工法のような技を習得。凄すぎる。まず、どうやって飛ぶんだというのも気になるが、高速回転はさらに謎である。読者の疑問はさておき、豪はさっそく次のレースで空中浮遊に成功する。凄い。

そして第3巻では烈による至言も飛び出す。曰く、「レース前にマシンを最高のコンディションにしてやるのが、ミニ四駆レーサーの仕事だ‼」そして、新たな刺客として大神研究所とJという今後ライバルになり得そうなレーサーが登場。活火山の噴火口近くにコースを作るという前代未聞の難工事をやり遂げたことがさらっと紹介される。走行テストで良いスコアを出せなかった機体はマグマに落とされて終焉を迎えるというシーンが衝撃だ。Jはレース時、リモコン操作で機体の制御をしていることに驚く烈と豪だが、むしろ現実的にはそちらが「していない」ことに驚きだ。

 

 

4.

1995年10月25日発行_2022年11月13日読了

絶体絶命マグナム&ソニック/烈&豪涙のラストバトル!!/発進!Vマグナム&Vソニック/全フルカウルマシン真夏の海で大暴走

 

大神研究所でプロトセイバーJBとのバトル続きから。空気抵抗を少なくするためJB機体の真後ろに付けたものの、さすが大神らは先手で対処済みでウィング可動によって後方の気流が乱され苦戦した。大神と土屋という相反する思想を持つ2人の開発者の代理戦争として企画されたバトルだった。

烈と豪は敗北し、初代の自分たちのマシンを助けられず、機体はマグマへ落ちて消失。もう何もかも終わった、と思ったところでVプロジェクトを完成させた土屋博士が登場、2代目となる進化した新たな機体を兄弟に託す。落雷によって車載バッテリーの容量が回復するというなんでもあり感が凄い。個人的にはあか抜けない雰囲気の初代機体の方が好みだったが、原作だと4巻までしか登場しないのか…。

愛機を失ったショックにより兄弟は精神的なスランプに陥る。そして、スランプから2人を救ったのもやはりミニ四駆だった。最後の章は番外編なので、本巻としてはV仕様でのJBバトルの途中まで。

 

 

5.

1995年11月25日発行_2022年11月13日読了

Vマグナム・ソニック追撃開始!!/謎の三人組、現れる!!/破壊磨、ビークスパイダー!!/アウトドア爆走対決!!

 

前巻からたった1ヶ月での発行とハイペース。JBに見事勝利し、改心したのか大神から土屋博士の研究所へ移籍した。しかし気になるのは、グレート・ジャパン・カップの懐事情だ。数年に1回の大会、とかではなく、開催スパンは本作の中で明言されてないがおそらく数か月といった期間で次の大会が催される。そしてその度に度肝を抜く革新的なコースが用意される。今回は遊園地を改装して作ったコースだと紹介されるが、場所借りだけで深海ステージなど運営側がゼロから用意した施設も数多い。一体どこから予算が出ているのだろう。

藤吉の妹チイコが本巻から登場。おしゃぶりを咥えてるのかと思ったらそうではなく、極度のたらこ唇のようだ。本巻後半で新たな刺客ビークスパイダーが現れる。フロントボディに空気の刃を持つと紹介されるが、なんだそれは。原理一切不明だが、とにかく凶器的な危険マシンであることだけは分かった。大神の執念も未だ続く。

 

 

6.

1996年2月25日発行_2022年11月16日読了

無残!トライダガー死す‼/夢の新素材、その名はZMC/よみがえれ、トライダガー‼/Vセイバーのデータを守れ‼

 

今回はなんといっても1話目のタイトルが衝撃だ。内容を読む前からのネタバレは某OCGアニメを彷彿とさせる。トライダガーといえば「ダウンフォース」の活用でまだ空力など車の技術にちなんでいるが、ビークスパイダーの空気刃は設定としての飛躍っぷりがすごい。併走した時に相手のミニ四駆を空気刃で攻撃するならまだしも、謎の三人組が操るビークスパイダーは動きがトリッキーすぎる。ヨーヨーのように縦回転したり、円盤型UFOのように空中で高速旋回したりする。いや、そもそも浮いちゃってるし。

鉄心先生の元でのプチ修行は、豪とリョウのやり取りが感動的。そして、その後の大神学園がこれまた凄い。開発者の大神博士が学園の理事長だったという二足のわらじだったことも驚きだが、それより強烈なのは、大神学園のスケールの大きさだ。学校の中に飛行機の滑走路がある。そして、リョウたちがミニ四駆のバトルをしてる最中に舞台は体育館だったはずだが、飛行機が着陸してあわやのシーンがある。窓の数的に小型機ではなく、ジャンボジェット機クラスだ。設定に突っ込みだしたらキリがないが、コロコロ誌のガッツと熱血感はこれでもかとばかりに発揮されている。

 

 

7.

1996年2月25日発行_2023年5月29日読了

雪の中の友情/激突!ミニ四FVSレッツ&ゴー/決戦準備!それぞれの一日/超パワー!ブロッケンG/爆走!F1に挑戦‼

 

半年ほどブランクが空いて再度読み始めた。番外編エピソードが多い。大神博士とのバトルを進めてほしい。雪の中の友情はリョウと列&豪が雪山の奥地に住む老夫婦に薬を届けに行く話。道が雪で埋もれて車が通行できないから、ミニ四駆で行くという少年誌的なガッツのある話。3台のミニ四駆に荷物を載せたソリを牽引させて、凍った湖を爆走、その後ろを豪たちが追いかける姿が微笑ましい。

佐上模型店の練習コースでファイターと一戦交え、かつての伝説の少年が近くにいたことを気付く。一コマしかないが、ジュンちゃんが可愛いので今後出番があることを期待。本編である大神博士の物語は、沖田カイに続く刺客の近藤ゲンが登場。ブロッケンGという重量級の車体で体当たりすることで相手のミニ四駆は破壊する超パワー系。土の中に潜り込んで飛翔する劇的な場面はあったものの、前回の空気刃よりはまだ現実味があって良い。

得意のコーナーで競り負けたことで藤吉がスピンアックスの改造を土屋博士に依頼。改善は少年たちが日夜セッティングと調整で頑張って、革新は定期的に研究所の大人の力で成し遂げる。どのような進化を遂げるか次巻が楽しみだ。豪がシャーシを削って軽量化を攻めすぎてるのを烈が注意するシーンは次への布石だろう。

 

 

8.

1996年7月25日発行_2023年6月11日読了

最強か⁉レイの究極ミニ四駆‼/急げ、新マシン開発‼/新生スピンアックス誕生‼/豪VSリョウ!真夜中のバトル/激突!野球VSミニ四駆⁉/星馬家、ミニ四駆で決着だ‼/校内暴走!豪VS校長先生

 

罠と分かっていながら挑んだ大神研究所での刺客とのバトル。豪vsゲン、烈&リョウvsレイ。レイのマシン、レイスティンガーが初お披露目。指輪から赤外線レーザを出して車体を自在に誘導する。方向コントロールだけでなく、移動と停止まで何故か制御できるようだ。洞窟で死闘を繰り広げる一方、土屋博士の研究所ではスピンアックスとJBの改造を真っ最中。改造というより、新生に近い。この漫画においてミニ四駆の車体は連続性がなく、一つの個体が強くなっていくのではなく、意匠は汲みながらもそれまでとは異なる個体が新たに生み出されるスタイルを取っている。

小さなミニ四駆の開発に研究所の電力を莫大に消費して、一体何をしているのかと思えば、出てきたものはCPUチップで仰天した。半導体工場だったのか。スピンアックスがコブラに進化を遂げ、特徴だったコーナーリングがさらに他車の追随を許さないレベルに高まった。藤吉も洞窟に入って烈たちと合流。そして豪だけ一人で戦う中、ブロッケンGに捕まり、ハンマーGクラッシュなるプレス攻撃で車体が真っ二つに引き裂かれたところで本編終了。

残りの半分は番外編のスペシャル読み切りだ。相変わらず番外編が多いが、今回は模型店の娘、ジュンの回があるので良しとしたい。それにしてもミニ四駆ごとキャッチャーミットに収まる様はさすがコロコロ的なガッツだ。

 

 

9.

1996年10月25日発行_2023年8月6日読了

決死の大修理!マグナム復活‼/激走!サイクロンマグナム‼/全マシン勢ぞろい!最終決戦‼/チイコ、ミニ四駆で大冒険‼/二郎丸、ミニ四駆に大挑戦‼

 

豪のヴィクトリーマグナムがブロッケンGによるプレス攻撃で車体が粉砕されたところから本編再開。大神研究所の原動機エリアでZMCパテを使って粉々になった車体を復元させる。立体パズルのような途方もない作業を突貫で実施し、余ったパテを削るために熱を加えた方が良いと、ボイラーから出る蒸気を当てながら作業をする豪。さすがにガッツがあり過ぎる。

完成してみれば「サイクロンマグナム」という新たな機体になっていた。粉々になった欠片を集めて復元したと思いきや、ちゃっかり性能がより上がったようだ。パワーアップした機体でレイ率いるスティンガー軍団との最終決戦。大神が土壇場で本性を露わにしたことで大神vs豪、レイ含むミニ四駆レイサー全員の構図になり、ファイナルフォーメーションという言葉の響きがいかにもコロコロらしい技でめでたく勝利。

烈の「人間とマシンがひとつになってこそミニ四駆なんだ」は至言。この巻後半の番外編2本は微妙。鷹羽兄弟、親父がトラック運転手で家を空けがちなのは以前描写があったけど、家は持たず山のテントで暮らしているのか?

 

 

10.

1997年2月25日発行_2023年8月6日読了

開幕!ミニ四駆世界GP‼/猛追撃!ハリケーンソニック‼/激走!3大マグナム⁉/熱血バトル!豪VS藤吉‼/ガリ勉八田、烈に挑戦‼

 

大神の襲撃を打ち破り、束の間訪れた日常。土屋の研究所に鉄心が現れ、唐突にミニ四駆の世界グランプリが近日開催されること、そして開催地は日本で日本代表として豪たちがエントリーしたことを告げられる。世界各国のミニ四駆レーサーが終結し、ナンバーワンを目指してバトルするといういかにも少年誌的な流れ。トーナメントもやりそうだ。

一回戦はアメリカ代表のアストロレンジャーズと対戦。宇宙空間に放った人工衛星からミニ四駆を観察し、敵の機体の情報を収集するという離れ業を平然とやってのける。3人のリレー形式のバトルでアンカーの豪に少し先行する形でバトンタッチしたところで次巻へ。読み切りのガリ勉八田はそれなりに面白かった。烈が学校の勉強成績良いのは過去にも描写あったかな?

 

 

11.

1997年5月25日発行_2023年8月6日読了

白熱バトル!S・マグナムVSB・ブレーダー/好敵手、ブレットの挑戦!/赤い恐怖⁉ディオスパーダの謎/熱きミニ四魂、ジャミンRG激走!/プロトセイバーEVO・誕生秘話

 

世界GP第一戦となるアストロレンジャーズとの闘い。アンカーの豪とブレットの一騎打ちで、螺旋状の下りコースで得意(?)の壁走行で追い上げるも、豪の敗北。ギリギリで勝つのかと思いきや初戦はあっさり負けた。トーナメントじゃないようだ。

第二戦はロッソストラーダ。これまで全勝で戦った相手はなぜか試合途中でマシントラブルが発生し棄権するという怪しげな対戦結果で、カーブで攻撃を仕掛けていそうということだけ分かって詳細は次巻へ持ち越し。クールカリビアンズのピコ達一向と友好を深めるちょっとした箸休めも有り。しきりに豪が「うんこ」と呼ばれるのが笑ってしまった。訂正されないままで後半は慣れてきて違和感がなくなった。

 

 

12.

1997年8月25日発行_2023年10月23日読了

ロッソストラーダ戦決勝レース開始‼/きばをむくディオスパーダ‼/死闘!マグナムの怒り‼/熱きスピリッツ!世界GPに向かえ‼/風とともに走れ!ハリケーンソニック‼/おっちゃんVS豪、ミニ四駆で勝負だ‼

 

いよいよ世界GPも終盤戦。ロッソストラーダというこれまで怪しげな勝ち方をして上がってきたチームとのバトル。正々堂々走りで勝負しようとする烈やリョウ達TRFメンバーをあざ笑うかのように卑怯な攻撃を仕掛けてくる。

バトル会場はピサの斜塔のレプリカ的な建築物でミニ四駆のレースのためだけにこれを作れるのがまさしく少年誌のガッツだ。このチームは空気刃などではなく、物理的な刃を機体にしのばせて容赦なく向けてくる。レースをしてるのか機体のつぶし合いをしてるのか分からない。

後半でロッソストラーダが仕掛けるフォーメーション「死のリング」はさすがにヤバい。5台のマシンでぐるぐる円を描きながら豪とリョウのマシンを閉じ込めている。直進しながらこの円運動はいったいどんな物理だ。そしてさらにページをめくると今度は豪とリョウまでロッソストラーダ5台の円運動の内側で、同じように2台で回り出した!こうなるともう訳が分からない。天体の公転かあるいはベイブレードの漫画なのか。

 

 

13.

1997年2月25日発行_2023年10月24日読了

新生マグナム誕生‼/ビートで勝負!スペシャルレース開始‼/反撃のバトル!仲間たちとともに‼/勝利をつかめ!マグナムVSベルクカイザー‼/ミニ四レーサー友情秘話

 

世界GPがいよいよ最終盤。前巻で烈&豪たちTRFメンバーたちのマシンは大きな損傷を負った。マシンを修理しようにも時間的に全ての対応はできない。鉄心先生から提供されたスーパービートシャーシなるものをマグナム取り入れて修理はボディに専念することでなんとか時間内にマグナムのみ復活。新たなシャーシを採用したことでビートマグナムに進化。

レースはディオスパーダの矢継ぎ早に仕掛けてくるがベルクカイザーに軽くあしらわれて一気に空気感が増して若干気の毒だ。最後は新生マグナムとベルクカイザーの一騎打ちでマグナムがまたもや回転飛翔。いや、飛び過ぎ。レースに勝利して大量ポイントゲット。優勝かと思いきや、どうやらそうではなく、ポイントで暫定1位になったというだけでまだレースは続くようだ。そして、最終ページに「新第①巻につづく」の文字。完結ではなく、掲載誌を移してシリーズは続くようだ。
総じて少年誌らしいガッツある熱いマンガだった。ただし、レース展開の方は、序盤こそ直進性、コーナーリング、オフロードと色々なコース特性の勝負があったもののバリエーションが既出になってくるとマシンを攻撃する機体が多く登場するようになった。レース中にマシンに破壊工作を仕掛けてくる敵キャラが多くなり、あくまで「レース」をしようとする健気な主人公たちとの温度差が気になった。純粋な、熱いレースをもう少し読みたかった。新シリーズの方に期待したい。