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モータの定格出力[kW]と回転速度[rpm]からトルクを計算する

モーターのトルクは、機械工学や電気工学において重要なパラメータです。

特に、モーターの定格出力からトルクを計算する方法は、モーターの性能を理解し、適切に選定するための重要な手法です。

この記事では、定格出力と回転速度の関係を解説し、それを用いてトルクを算出する方法を詳しく説明します。定格出力はモーターの能力を表す指標であり、回転速度と組み合わせることでトルクを求めることができます。

この記事を読むことで、モーターの選定や設計に役立つ基本的な知識を身につけることができます。

 

モーターの定格出力からトルクを計算する方法

モーターのトルク計算は、

モーターの定格出力(単位:キロワット、kW)と回転速度(単位:回転毎分、rpm)を使って計算する。

計算式は以下の通り。

 

 トルク(Nm) = \dfrac{出力(kW)×1000}{回転速度(rpm)×\frac{2π}{60}}

 

ここで、

・×1000はkWからWに変換するための係数(1kW = 1000W)。
 \frac{2π}{60}はrpmをラジアン毎秒に変換するための係数。

 

この式を使用して、モータのトルクを計算することができる。

例えば、定格出力が5.5kWで回転速度が1500rpmのモータのトルクを計算すると、以下のようになる。

 

 トルク(Nm) = \dfrac{5.5×1000}{1500×\frac{2π}{60}} = 35.16Nm

 

この計算結果はモータの定格トルクを表している。これはモータが連続して供給できるトルクの最大値を意味する。

モータを選定する際には、この定格トルクがアプリケーションの要求を満たしているかを確認する必要がある。

 

定格出力からトルクを計算する際のポイント

・これはモーターの定格条件下でのトルクを計算するために使用される。つまり、モーターが連続して供給できる最大のトルクを求める際に使用する。

・この計算はモータ選定の際やシステム設計の初期段階で利用されることが多い。

・また、大きな産業用モータや電力が重要なアプリケーションで使用されることが多い。

・定格出力(kW)と定格回転速度(rpm)はモータの製品仕様書に記載されている。

・定格出力からトルクを計算する式は、モーターの性能を外部から評価するためのものであり、モーターが持つべき最大のトルクを求める際に使用される。

 

 

直流モーター(DCモーター)のトルク計算

直流モータのトルクTは、以下の式で計算できる。

 T = K・I

ここで、

・Tはトルク(単位はNm)

・Kはトルク定数(モーターの仕様による)

・Iはモーターに流れる電流(単位はA)

 

トルク定数Kとは:

トルク定数は、モータに1アンペアの電流を流したときにモータが生成するトルクを表す。この値はモータの設計やサイズに依存し、製造元によって提供されることが一般的である。

トルク定数はモータの効率を評価する際にも重要であり、大きなトルク定数を持つモータは少ない電流で多くのトルクを生成できる。

トルク定数は、モータの性能を理解し、アプリケーションに適したモータを選択するのに役立つ。

 

また、トルク定数はモーターごとに固有の一定の値を持つ。

この定数はモータの設計、サイズ、材料などに依存し、製造過程で決定される。製造元は通常、製品仕様書を通じてこの値を提供する。

 

ただし注意点として、モーターが過負荷状態になったり、設計仕様を超える条件で使用されると、トルク定数を用いた計算が正確でなくなる可能性がある。また、時間とともにモータの性能が低下したり、摩耗したりすると、トルク定数が変化することがある。

したがって、トルク定数は理想的な条件下でのモータの性能を表すものであり、実際の使用条件やモータの状態によってはその値が変化することがあることに留意する。

 

T=K⋅Iの式を使うポイント

・これは直流モーターの基本的なトルク計算式であり、トルク定数Kとモーターに流れる電流Iを使用してトルクTを計算する。

・この式はリアルタイムでモーターの状態を評価する際や、制御システム設計時に非常に役立つ。

・この式はモーターの動作中にトルクを推定するのに使われることが多く、電流を測定することで直接トルクを求めることができる。

・T=K⋅Iの式は直流モーター内部の物理的な関係(電流とトルクの直線的な関係)を直接表している。

・単純で計算が早い。

・また、電流測定だけでトルクを推定できる。