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オリフィスとは?流量計算と圧力損失の求め方を解説

配管の中を流れる流量を測る、あるいは意図的に圧力を下げる目的で使われる代表的な絞り要素が「オリフィス」です。

中央に小さな穴を開けた単純な円板でありながら、流量計・減圧器・安全装置と多彩な顔を持ち、プラント・水処理・空調・油圧と幅広い現場で欠かせない存在になっています。

ところが「穴を絞れば流量が減る」という直感だけで使うと、期待した差圧が出なかったり、想定以上の圧力損失でポンプがオーバーしたりと、思わぬトラブルの原因になります。

特に流量係数β比、そしてオリフィス下流の永久圧力損失の扱い方は、カタログ値だけ見ていても実機の挙動と合わないことがある難所です。

計算式と背景理論を正しく押さえておけば、計装選定も配管設計も安心して進められるようになります。

本記事では、オリフィスの基本原理から、流量計算・圧力損失の求め方・実務設計のポイントまで徹底解説します。

 

 

1. オリフィスとは何か

オリフィス(orifice)とは、配管の流路の途中に設置する「中央に穴の開いた円板」のことを指します。英語の orifice は「開口部」「穴」を意味し、流体工学では主に円形の絞りを持つ測定要素・調節要素の総称として使われています。

流路を急激に狭めることで、通過する流体の流速を上げ、そのぶん圧力を下げる働きをします。その際に現れる「上流と下流の圧力差」を利用して流量を算出したり、逆に圧力そのものを落とすための減圧要素として使ったりします。

オリフィスが使われる主な用途

オリフィスの代表的な用途は、大きく三つに整理できます。

  • 流量測定:上下流の差圧から流量を算出する「差圧式流量計」として、プラントや水処理設備で広く採用されています。
  • 減圧・絞り:高圧側から低圧側へ流す際に、流量を制限したり圧力を下げたりする簡易減圧要素として機能します。
  • 安全機能:油圧回路や空圧回路で、サージや逆流に対する絞り要素として挿入されるケースもあります。

いずれの場合も「流速と圧力の関係」というベルヌーイの定理が理論的な土台になります。流体エネルギー保存則からの自然な応用と考えると、オリフィスの挙動は直感的に理解しやすくなります。

単純な円板に隠された物理

オリフィスは見た目には単なる穴あき円板ですが、内部では複雑な流動現象が起きています。流れが穴の直前で収束し、穴の下流側で縮流部(vena contracta、ベナコントラクタ)と呼ばれる「流れの最も細くなる点」を形成し、その後再び広がっていきます。

この縮流と再拡大の過程で、渦と乱れによってエネルギーが失われ、上流の圧力まで完全には回復しません。オリフィスが「圧力損失を生む」と言われる理由はここにあります。

 

 

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2. オリフィスの種類と構造

ひとくちにオリフィスと言っても、穴の形・取り付け方・狙う機能によって複数のバリエーションがあります。実務で図面や計装仕様書を読み解くためには、主要な分類を押さえておく必要があります。

コンセントリック・エキセントリック・セグメンタル

差圧式流量計として使われる「オリフィスプレート」には、穴の位置と形状によって次の3種類が知られています。

  • コンセントリックオリフィス:中央に円形の穴を開けた最も一般的なタイプ。清浄な液体・気体の流量測定に使われます。
  • エキセントリックオリフィス:穴を中心から下方や上方にオフセットさせたタイプ。気泡や固形物を含む流体で、詰まりを防ぐ目的で使われます。
  • セグメンタルオリフィス:穴を半月型(弓形)に切ったタイプ。スラリーや泥水など、異物混入が激しい流体に適します。

ノズル・ベンチュリ管との関係

オリフィスと同じ「絞りによる差圧で流量を測る」仲間として、ノズルとベンチュリ管があります。

  • オリフィスプレート:板状で最もシンプル、コスト安、圧力損失は大きめ
  • ノズル:入口側が滑らかなラッパ状で、オリフィスより圧力損失が小さい
  • ベンチュリ管:入口と出口の両方をテーパ形状にし、圧力損失が最も小さい

設置スペース・コスト・許容圧損のバランスで使い分けるのが一般的です。省エネルギー運転を重視する大口径配管では、初期コストを支払ってでもベンチュリ管を選ぶケースが増えています。

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タッピング(圧力取り出し口)の位置

差圧を取り出す圧力タップの位置にも、国際規格(ISO 5167)で決まった方式があります。主なものは次のとおりです。

  • フランジタップ:オリフィス前後のフランジに圧力取出口を設ける方式。メンテナンス性がよく最も普及しています。
  • コーナータップ:オリフィスプレートの直近に圧力取出口を設ける方式。小口径配管で採用されます。
  • D-D/2タップ:上流側をD(管径)、下流側をD/2の位置に設ける方式。古くから使われている標準的配置です。

タップ位置が変わると同じ流量でも取り出せる差圧値が変わるため、校正式や流量係数もタップ方式ごとに規格化されています。

 

3. オリフィスの流量計算式

オリフィスの最大の役割である「流量測定」の計算式を、理論式から実用式へと順に追っていきます。

ベルヌーイの定理からの導出

非圧縮性流体を対象として、オリフィスの上流側(断面1)と縮流部(断面2)にベルヌーイの定理を適用します。高低差を無視すると次式が得られます。

 P_{1} + \dfrac{1}{2}\rho v_{1}^{2} = P_{2} + \dfrac{1}{2}\rho v_{2}^{2}

ここで  P_{1} P_{2} は上下流の圧力、 v_{1} v_{2} はそれぞれの流速、 \rho は流体密度です。

非圧縮性流体なら連続の式  A_{1} v_{1} = A_{2} v_{2} が成立するため、 v_{1} を消去すると縮流部の流速は次のように書けます。

 v_{2} = \dfrac{1}{\sqrt{1 - (A_{2}/A_{1})^{2}}} \sqrt{\dfrac{2(P_{1} - P_{2})}{\rho}}

この式の  A_{2}/A_{1} に関する部分がオリフィス特有の「絞り比」の影響を表します。

理論流量式(理想オリフィス)

縮流部の流速に面積  A_{2} を掛けたものが理論流量  Q_{th} です。

 Q_{th} = A_{2} \sqrt{\dfrac{2(P_{1} - P_{2})}{\rho (1 - (A_{2}/A_{1})^{2})}}

この式は摩擦ゼロ・渦なし・縮流なしを前提とした理論値であり、実際のオリフィスで得られる流量とは若干のズレが生じます。

実用流量式(流量係数とβ比を用いた表現)

実機の誤差を補正するため、実用式では流量係数  C_{d}β比  \beta = d/D を導入します。ここで  d はオリフィス穴の直径、 D は配管内径です。

 Q = C_{d} \cdot \dfrac{A_{0}}{\sqrt{1 - \beta^{4}}} \sqrt{\dfrac{2(P_{1} - P_{2})}{\rho}}

 A_{0} = \pi d^{2}/4 はオリフィス穴の断面積です。ここで  1/\sqrt{1 - \beta^{4}}速度接近係数と呼び、流量係数  C_{d} と合わせた  C = C_{d}/\sqrt{1-\beta^{4}} を流出係数として一括で扱う流儀もあります。

 

4. 流量係数Cdとβ比の求め方


オリフィス計算で要となるのが、流量係数  C_{d} とβ比の扱いです。カタログ値だけ見て済ませると実機とずれる典型箇所なので、それぞれの意味と決まり方を丁寧に確認しておきます。

流量係数Cdの物理的意味

流量係数  C_{d} は、理論流量に対する実流量の比として定義されます。

 C_{d} = \dfrac{Q_{actual}}{Q_{th}}

実機では次の三つの要因で理論流量より実流量が小さくなり、その総合的な補正が  C_{d} に集約されます。

  • 縮流による有効断面積の減少(縮流係数  C_{c}
  • 摩擦と乱流による損失(速度係数  C_{v}
  • 圧力取出位置による差圧のずれ

コンセントリックオリフィスの  C_{d} はおおむね0.6~0.65の範囲で、β比とレイノルズ数によって微妙に変化します。カタログ値としては「0.6前後」と覚えておくと、概算計算が素早くこなせるようになります。

β比の選定指針

β比  \beta = d/D は、オリフィス設計で最も自由度の高いパラメータです。国際規格 ISO 5167 ではβ比の使用範囲を0.1~0.75と定めていますが、実務では0.2~0.7の範囲に収めるのが一般的です。

  • β比が小さい(0.2~0.3):差圧が大きく取れて精度は高いが、永久圧力損失も大きくなります。
  • β比が中程度(0.4~0.5):精度と圧力損失のバランスがよく、多くの現場で採用されます。
  • β比が大きい(0.6~0.7):永久圧力損失は小さいが、差圧が小さく測定精度が落ちます。

ポンプ動力を節約したいのか、測定精度を優先したいのかによって、狙うβ比は変わります。

レイノルズ数への依存性

流量係数  C_{d} はレイノルズ数にも依存します。一般にレイノルズ数が十分大きい(乱流域)であれば  C_{d} はほぼ一定に近づきますが、レイノルズ数が小さい(層流寄りの)領域では  C_{d} が急激に変化します。

粘度の高いオイルや、低流量域で使うオリフィスでは、ReとCdの関係を意識しないと実流量を見誤る原因になります。ISO 5167ではオリフィスを使用できるレイノルズ数の下限値が定められており、設計前に必ず確認する必要があります。

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5. オリフィスにおける圧力損失の計算

オリフィスは差圧を生み出す素子であると同時に、永久的な圧力損失を発生させる要素でもあります。この2種類の圧力差を混同すると、ポンプ選定を誤るので注意が必要です。

差圧と永久圧力損失の違い

オリフィスにおける重要な圧力には、次の2種類があります。

  • 差圧  \Delta P = P_{1} - P_{2}:上流と縮流部(またはタップ位置直後)の圧力差。流量計算に使うのはこちら。
  • 永久圧力損失  \Delta P_{perm}:オリフィスを通過したあとに回復しきれない圧力降下。ポンプ動力を決めるのはこちら。

オリフィス下流では、縮流部を過ぎたあとに乱流混合で圧力がある程度回復します。ただし入口圧力には戻らず、一定分の圧力が「永久圧力損失」として失われたままになります。

永久圧力損失のβ比による近似式

オリフィスの永久圧力損失は、差圧に対して次式の比率で近似されることが知られています。

 \dfrac{\Delta P_{perm}}{\Delta P} \approx 1 - \beta^{2}

例えばβ=0.5なら  1 - 0.25 = 0.75、つまり差圧の約75%が永久圧力損失として残ります。β=0.7なら  1 - 0.49 = 0.51 で、差圧の約51%が永久損失です。β比が大きいほど、永久損失は小さくなる傾向があります。

より詳しい推算には、次のISOで示されている近似式も用いられます。

 \Delta P_{perm} \approx \dfrac{\sqrt{1 - \beta^{4}(1 - C_{d}^{2})} - C_{d} \beta^{2}}{\sqrt{1 - \beta^{4}(1 - C_{d}^{2})} + C_{d} \beta^{2}} \Delta P

抵抗係数ζ(ゼータ)による表現

配管損失計算でなじみ深い「抵抗係数  \zeta」の形でオリフィスを扱うこともできます。動圧基準にすると次のように書けます。

 \Delta P_{perm} = \zeta \cdot \dfrac{\rho v^{2}}{2}

ここで  v は配管内平均流速です。抵抗係数  \zeta はβ比によって決まり、β=0.5で  \zeta \approx 15、β=0.7で  \zeta \approx 2 程度になります。配管系の総圧力損失を集計する際には、この形式がエルボや弁の損失と合算しやすく便利です。

 

6. オリフィスの計算例

実際の数値を当てはめて、流量と永久圧力損失を計算してみます。設計検討の具体的な手順をイメージする手がかりとしてご活用ください。

計算例1:水配管の流量を求める

内径  D = 100\ \mathrm{mm} = 0.1\ \mathrm{m} の水配管に、β=0.5のオリフィス( d = 50\ \mathrm{mm} = 0.05\ \mathrm{m})を設置しました。差圧計の指示値は  \Delta P = 20\ \mathrm{kPa} = 20{,}000\ \mathrm{Pa}、水の密度は  \rho = 1000\ \mathrm{kg/m^{3}}、流量係数は  C_{d} = 0.61 とします。

オリフィス穴の断面積は次のようになります。

 A_{0} = \dfrac{\pi d^{2}}{4} = \dfrac{\pi \times 0.05^{2}}{4} \approx 1.963 \times 10^{-3}\ \mathrm{m^{2}}

速度接近係数は次のとおりです。

 \dfrac{1}{\sqrt{1 - \beta^{4}}} = \dfrac{1}{\sqrt{1 - 0.5^{4}}} = \dfrac{1}{\sqrt{0.9375}} \approx 1.033

これらを実用流量式に代入すると、

 Q = 0.61 \times 1.963 \times 10^{-3} \times 1.033 \times \sqrt{\dfrac{2 \times 20000}{1000}}

平方根の部分を先に計算すると  \sqrt{40} \approx 6.32\ \mathrm{m/s}、したがって、

 Q \approx 0.61 \times 1.963 \times 10^{-3} \times 1.033 \times 6.32 \approx 7.82 \times 10^{-3}\ \mathrm{m^{3}/s}

毎秒約7.8リットル、分あたりで約470 L/minの流量が流れていると見積もれます。

計算例2:永久圧力損失を求める

同じ条件で、オリフィス通過後に配管系統に残る永久圧力損失を試算してみます。β比近似式を使うと、

 \Delta P_{perm} \approx (1 - \beta^{2}) \times \Delta P = (1 - 0.25) \times 20000 = 15{,}000\ \mathrm{Pa}

つまり約15 kPaが永久的に失われる計算です。差圧計が示す20 kPaのうち、下流で回復するのはわずか5 kPa分だけということになります。ポンプ選定の際には、この15 kPa分を必ず揚程計算に織り込む必要があります。

計算例3:β比を変えて損失を比較

同じ管内平均流速での永久圧力損失を、β比ごとに比較してみます。管内流速  v = 1\ \mathrm{m/s}、水  \rho = 1000\ \mathrm{kg/m^{3}}、動圧基準  \rho v^{2}/2 = 500\ \mathrm{Pa} として、先に示した抵抗係数  \zeta のおおよその値から永久圧力損失を求めます。

β比 抵抗係数  \zeta(概算) 永久圧力損失
0.3 約85 約42.5 kPa
0.5 約15 約7.5 kPa
0.7 約2 約1.0 kPa

β比を0.3から0.7に変えるだけで、永久圧力損失は40倍以上の差になります。プロセス条件が許すなら、β比を大きめに設定してポンプ動力を節約する方向が省エネルギー設計の定石です。

 

7. オリフィスとバルブの違い

「流量を絞る」という共通目的を持つ要素として、オリフィスとバルブは比較対象に挙げられます。どちらも絞り損失を利用しますが、機能的な役割はまったく異なります。

役割の違い:固定絞りか可変絞りか

オリフィスは「固定絞り」であり、一度取り付けると穴径もβ比も変わりません。運転中に流量条件が変わっても、オリフィスそのものの抵抗は一定です。

対してバルブ(特に調節弁・コントロールバルブ)は「可変絞り」で、弁開度を変えることで絞りの大きさを動的に変えられます。プロセス制御で流量をリアルタイムに調整したい場合は、バルブの出番になります。

測定機能の有無

オリフィスは差圧計と組み合わせることで「流量計」として機能します。一方、一般的なバルブには流量測定機能は備わっていません(ただしコントロールバルブにはポジショナーや流量特性線図が整備されており、開度から流量を推定する運用もあります)。

設置とメンテナンス性

オリフィスプレートは単純な円板なので、フランジ間に挟むだけで設置でき、異物が詰まった際の清掃も容易です。一方、バルブは可動部を持つため定期点検やシート交換が必要で、オリフィスよりメンテナンス工数がかかります。

プロセスがほぼ一定の流量で運転される場面ではオリフィスが、流量を動的に変える場面ではバルブが適していると考えると、使い分けの判断がしやすくなります。

 

8. 配管設計でのオリフィス活用

オリフィスを配管系統に組み込む際には、流量計算・圧力損失だけでなく、設置環境に関わる注意点が多数あります。実務でよく問題になるポイントを取り上げて解説します。

直管長の確保

オリフィスの前後には、「直管部」を十分に確保する必要があります。上流側のエルボや弁が近すぎると、流れが偏ったままオリフィスに流入し、測定精度が大きく悪化します。

ISO 5167では、β比・上流側継手の種類ごとに必要直管長が細かく規定されており、目安として上流側で  10D 50D、下流側で  5D 程度を確保する必要があるとされています。スペースが足りない場合は、整流格子(フローコンディショナー)を挟んで対応します。

キャビテーションへの配慮

オリフィスの縮流部では圧力が大きく低下するため、液体を扱う系ではキャビテーション(液体が瞬間的に沸騰して気泡を生む現象)が発生する懸念があります。縮流部圧力が飽和蒸気圧を下回ると、気泡の発生と消滅が繰り返され、配管材を損傷することがあります。

高差圧・低背圧条件でオリフィスを使う場合は、キャビテーション指数を評価し、必要であれば多段オリフィスや絞り弁との組み合わせで段階的に圧力を落とす設計に切り替えます。

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材質と摩耗対策

スラリーや粒子を含む流体では、オリフィスエッジが摩耗すると流量係数が時間とともに変化し、測定誤差の原因になります。摩耗性の強い流体にはタングステンカーバイド・セラミックなど硬質材料のオリフィスを用いる、あるいは定期交換を前提とした運用にする、といった対策が必要です。

清浄な水や油であれば、ステンレス製(SUS316、SUS304など)のオリフィスプレートで長期にわたって安定した性能を維持できます。

ポンプ揚程への組み込み

配管設計でオリフィスを採用する際には、ダルシー・ワイスバッハ式による直管圧力損失や、エルボ・バルブの局所損失と合わせて、オリフィスの永久圧力損失  \Delta P_{perm} を加算したうえでポンプ揚程を決定する流れになります。オリフィスの永久圧力損失を見落とすと、現場でポンプ能力不足に陥る典型的な失敗パターンに繋がります。

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まとめ

本記事では、オリフィスの基本原理から流量計算・圧力損失の求め方、実務設計のポイントまで詳しく解説しました。

オリフィスはベルヌーイの定理を背景にした「穴あき円板」の絞り要素で、差圧式流量計としての利用と、減圧・絞りとしての利用という二つの顔を持ちます。実用流量式  Q = C_{d} \cdot \dfrac{A_{0}}{\sqrt{1 - \beta^{4}}} \sqrt{2(P_{1}-P_{2})/\rho} を押さえておけば、配管の差圧データから流量を容易に算出できるようになります。

設計の要となるのは、流量係数  C_{d} とβ比の選び方です。β比を小さくすれば測定精度は上がるものの永久圧力損失が増え、大きくすれば損失は抑えられるが精度は落ちるというトレードオフを、プロセス条件に合わせて決めていきます。

永久圧力損失は  \Delta P_{perm} \approx (1 - \beta^{2}) \Delta P の近似で素早く概算できる点、直管長の確保・キャビテーション・摩耗といった設置環境への配慮が実運用で効いてくる点も、現場での落とし穴になりやすい重要なポイントといえます。

オリフィスの計算は、レイノルズ数・圧力損失・ベルヌーイの定理といった流体力学の基礎が総動員される応用テーマです。各概念が有機的に繋がる様子を体感できる好素材なので、関連記事とあわせて理解を深めていっていただければ幸いです。

配管計装や流量計選定の実務で、本記事がオリフィスを正しく使いこなすための手引きになれば嬉しく思います。