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応力集中係数Ktとは|定義・計算式・ピーターソン図表・設計テクニックを図解

機械部品で「切欠きがあると思ったより簡単に壊れた」という経験はありませんか。

その正体は、穴・溝・段差といった不連続部に応力が集中する応力集中と呼ばれる現象です。

局所応力は公称応力の数倍に達することがあり、疲労破壊の最大の引き金になります。

この危険な応力上昇を1つの数値で表したのが応力集中係数(Stress Concentration Factor、Kt)です。

Ktを正しく理解できれば、フィレット形状の最適化や材料選定によって疲労破壊を未然に防ぐことができます。

本記事では、Ktの定義式から計算公式、ピーターソン図表の使い方、KfやNeuber式との関係、設計テクニックまで徹底解説します。

 

 

1. 応力集中係数Ktとは ー 切欠きで応力が跳ね上がる現象

穴あき板の引張で応力線が穴の周囲に集中する応力集中の概念図

応力集中とは、部材の幾何学的な不連続部(穴・溝・段差・キー溝など)で局所的に応力が高まる現象を指します。

均一な板を引張ると断面全体に一様な応力が発生しますが、そこに小さな穴を1つ開けるだけで、孔の側壁では公称応力の3倍に達することがあります。

この応力上昇の倍率を表す無次元量が応力集中係数Ktです。Ktは形状のみで決まる純粋な幾何学量であり、材料が鋼でもアルミでも値は変わりません。

静的強度では、降伏応力を超えれば塑性変形によって応力が再分配されるため、Ktが直接の破壊原因にはなりにくい性質があります。一方で変動荷重がかかる疲労設計においては、Ktの大小が部品寿命を文字通り桁単位で左右します。

具体的には、Ktが2.0から1.5へ低下するだけで疲労寿命が10倍以上延びることも珍しくありません。だからこそ、機械設計者にとってKtの定量評価は必須スキルとなっています。

 

2. Ktの定義式と公称応力の取り方

穴付き断面の試験片と応力分布。公称応力σnominalと最大応力σmaxの関係を示すグラフ

応力集中係数Ktは、切欠き先端の最大応力を公称応力で除した比として定義されます。

 K_t = \dfrac{\sigma_{\max}}{\sigma_{\text{nominal}}}

ここで各記号の意味は次のとおりです。

  •  \sigma_{\max}:切欠き先端での最大応力(局所応力)
  •  \sigma_{\text{nominal}}:切欠きがないと仮定したときの公称応力

公称応力とは、部材が「均一で切欠きがない」と仮定した場合に発生する応力です。たとえば直径 dの丸棒に引張荷重 Fを加える場合、公称応力は次式で求まります。

 \sigma_{\text{nominal}} = \dfrac{4F}{\pi d^2}

ここで重要なのは、Ktは形状のみで決まる無次元量であり、材料の強度・弾性係数・温度には一切依存しないという点です。同じ形状であれば、SS400の鋼でもA2017のアルミでも、Ktの値は同じになります。

逆に言えば、Ktが大きい設計は材料を変えても本質的な弱点を抱えたままです。設計段階で形状を見直すことが、最も効果的な対策になります。

 

3. 無限平板の円孔 ー Kirsch解

無限平板円孔のKirsch解。孔縁の応力分布と周方向応力σθの極座標プロット

応力集中の最も古典的な解析例が、無限に広い平板に円孔が1つ開いているケースです。1898年にG. Kirsch(キルシュ)が二次元弾性論を用いて厳密解を導き出しました。

引張荷重 \sigma_{\text{nominal}}が一様にかかるとき、孔縁の周方向応力 \sigma_\thetaは次式で表されます。

 \sigma_\theta = \sigma_{\text{nominal}} (1 - 2\cos 2\theta)

ここで \thetaは引張方向から測った孔縁の角度です。 \theta = 90^\circ、つまり引張方向に垂直な孔の上下端で応力が最大になり、その値は次の通りです。

 \sigma_{\max} = 3\sigma_{\text{nominal}}

したがって応力集中係数は次のように求まります。

 K_t = \dfrac{\sigma_{\max}}{\sigma_{\text{nominal}}} = 3

つまり、孔の側面では公称応力のちょうど3倍の応力が発生します。一方で \theta = 0^\circ(引張方向と同じ位置)の孔縁では \sigma_\theta = -\sigma_{\text{nominal}}、すなわち圧縮応力が発生する点も注目すべき特徴です。

Kirschの「Kt = 3」は応力集中の出発点として、機械工学の教科書で必ず登場する基準値となっています。

 

4. 楕円孔のKt ー Inglis解

楕円孔のa/b比とKtの関係を示すInglis解の曲線。a/bが大きいほどKtが急増

孔の形状が円形ではなく楕円の場合、その縦横比によってKtが大きく変わります。1913年にC. E. Inglis(イングリス)が導いた解は次のとおりです。

 K_t = 1 + 2\dfrac{a}{b}

各記号の意味は次のとおりです。

  •  a:応力方向に垂直な楕円の半径(長半径)
  •  b:応力方向に平行な楕円の半径(短半径)

この式から、a/b比が大きいほど(孔が応力方向に対して細長くなるほど)、Ktが急速に増大することがわかります。具体例は次の通りです。

  •  a/b = 1(円孔): K_t = 1 + 2 = 3(Kirsch解と一致)
  •  a/b = 2: K_t = 1 + 4 = 5
  •  a/b = 5: K_t = 1 + 10 = 11
  •  a/b = 10: K_t = 1 + 20 = 21

細長い孔ほど応力が集中しやすいため、設計実務では次の点に注意します。

第一に、長孔を採用する場合は長軸を応力方向に対して垂直に配置します。これにより同じ穴面積でもKtを大幅に下げられます。第二に、亀裂(理想的にはb→0)の極限ではKtが無限大に発散します。これが「亀裂の進展は止まらない」という破壊力学の出発点であり、亀裂応力拡大係数 K_Iが登場する背景でもあります。

 

5. 段付き軸フィレットとピーターソン図表

段付き軸の模式図とピーターソン図表。R/dと直径比D/dごとのKt曲線

機械部品で頻出するのが、直径が段階的に変わる段付き軸(stepped shaft)です。段差の肩部にはフィレット(R)が設けられますが、ここで応力集中が生じます。

段付き軸のKtは次の3つの幾何パラメータで決まります。

  • 直径比  D/d:太い側の直径と細い側の直径の比
  • 相対フィレット半径  R/d:フィレット半径と細い軸径の比
  • 荷重種別:引張・曲げ・ねじりで異なる図表を使う

これらに対するKtを解析的に求めるのは困難なため、実務ではピーターソン図表(Peterson Stress Concentration Charts)を参照します。横軸にR/d、縦軸にKtを取り、D/dごとに複数の曲線が引かれた設計資料です。

ピーターソン図表は1930年代にR. E. Petersonが整理を始めて以来、改訂を重ねながら現在も機械設計の基準として使われ続けています。CAEが普及した今日でも、設計初期の見積もりや結果の妥当性検証に欠かせない資料です。

図表上の値が引かれていない領域に当たるときは、より大きなKtを示す側の曲線を採用するのが安全設計の原則です。

 

6. 代表形状別Kt早見表

代表的な切欠き形状ごとのKt典型値を示す横棒グラフ。段付き軸・キー溝・円孔・楕円孔を比較

設計実務では、特定の形状について「だいたいいくつ」というKtの相場感を持っておくことが重要です。次表は、機械工学便覧やPeterson設計便覧などの標準的な参考書に基づく典型値です。

形状 条件 Kt(典型値) 備考
無限平板・円孔 引張 3.0 Kirsch解の厳密値
無限平板・楕円孔 a/b = 2 5.0 Inglis解(長軸方向応力)
無限平板・楕円孔 a/b = 5 11.0 細長孔・亀裂状
段付き軸 D/d = 1.5、R/r = 0.1 2.0〜2.5 ピーターソン図表参照
段付き軸 D/d = 1.5、R/r = 1.0 1.4〜1.6 フィレット半径が大きいケース
丸棒・キー溝 標準規格品 2.5〜3.5 溝の深さと底半径に依存
有限幅平板・円孔 孔径/幅 = 0.2 2.5 無限平板より低下

これらはあくまで設計初期の見積もり値です。精密な強度評価が必要な場合は、有限要素法(FEM)による応力解析でKt実値を確認することが推奨されます。

応力評価に関連する基礎指標として、ミーゼス応力断面二次モーメントの理解も併せて押さえておくと、Ktとの組み合わせ評価がスムーズになります。

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7. Kt計算の実例 ー ピーターソン図表の読み方

本章では、典型的な3つの計算例を通じてピーターソン図表の使い方を体得します。

実例① 段付き軸の引張応力集中

問題:細い側の直径50 mmの丸棒が、太い側の直径75 mmへ段階的に変化する構造があります。段差の肩部フィレット半径は5 mmです。引張荷重がかかるときの応力集中係数Ktを求めます。

解き方:

  1. 直径比を計算: D/d = 75/50 = 1.5
  2. 相対フィレット半径を計算: R/d = 5/50 = 0.1
  3. 段付き軸引張用ピーターソン図表のD/d = 1.5の曲線で、R/d = 0.1に対応するKtを読み取り
  4. Kt ≈ 2.2

仮に公称応力が100 MPaであれば、肩部の最大応力は \sigma_{\max} = 100 \times 2.2 = 220MPaに達します。この値が材料の疲労限度を超えれば、数百万サイクルで疲労破壊する可能性が高まります。

実例② 有限幅平板の円孔

問題:幅100 mm、厚さ10 mmの平板の中央に直径20 mmの貫通穴が開いています。引張荷重を加えるときのKtを求めます。

解き方:

  1. 相対孔径を計算: d_h/w = 20/100 = 0.2(孔径/板幅)
  2. 有限幅平板円孔用のピーターソン図表で、相対孔径0.2に対応するKtを読み取り
  3. Kt ≈ 2.5(無限平板の3.0より低下)

有限幅平板では、孔の左右に有限の材料領域があるため応力が分散され、Ktが無限平板より小さくなります。これは「両端から荷重伝達経路が広がる」イメージで理解できます。

実例③ V字溝(切欠き)の応力集中

問題:直径30 mmの丸棒の表面に、深さ2 mm、底半径0.5 mmのV字溝が一周加工されています。引張荷重時のKtを求めます。

解き方:

  1. 相対切欠き深さ: a/d = 2/30 \approx 0.067
  2. 相対溝底半径: \rho/d = 0.5/30 \approx 0.017
  3. 切欠き専用図表(機械工学便覧など)を参照
  4. Kt ≈ 2.8〜3.2(溝底半径に強く依存)

切欠きのような急鋭な形状は、わずかな寸法差で応力集中が大きく変動します。たとえば溝底半径ρが0.5 mmから0.6 mmへ0.1 mm増えるだけで、Ktが3.2から2.9程度に下がり、疲労寿命が顕著に延びる可能性があります。

加工時の品質管理が直接、製品寿命に跳ね返る一例です。

 

8. KtとKf(疲労切欠き係数)の違い

S-N曲線で滑らか試験片と切欠き試験片を比較。実測のKfがKtによる予測より小さくなる関係

応力集中係数Ktは弾性域での幾何学的な応力上昇倍率ですが、疲労強度設計では別の係数Kf(Fatigue Strength Reduction Factor、疲労切欠き係数)が用いられます。

Kfは、滑らか試験片の疲労限度と切欠き試験片の疲労限度の比として実測値から定義されます。

 K_f = \dfrac{\sigma_\infty^{\text{smooth}}}{\sigma_\infty^{\text{notch}}}

ここで重要な事実は、多くの場合  K_f \lt K_t となることです。つまり、Ktで予測したよりも実際の疲労寿命低下は緩やかであり、材料側に「応力集中をある程度受け流す」性質が存在します。

両者の主な違いを次表にまとめます。

項目 Kt(応力集中係数) Kf(疲労切欠き係数)
定義 局所応力 ÷ 公称応力(弾性解析) 滑らか試験片疲労限 ÷ 切欠き試験片疲労限
大きさ 常に K_t \geq 1.0  1.0 \leq K_f \leq K_t
材料依存 なし(純粋な幾何量) あり(靭性・表面性状・粒径などに依存)
主な用途 静的弾性応力解析、CAE結果評価 疲労強度設計、S-N曲線の補正

疲労破壊では、応力集中点で局所降伏が生じて応力が再分配されるため、Ktをそのまま使うと過保守な設計になりがちです。一方でKfを直接実測するのはコストがかかるため、両者を結ぶ概念として「切欠き感度q」が用いられます。

 

9. 切欠き感度qとNeuberの式

Neuberの式に基づく切欠き底半径ρと切欠き感度qの関係を、材料定数aごとに示した曲線

KtとKfの差を定量的に橋渡しするのが、切欠き感度(Notch Sensitivity)qです。両者の関係は次式で表されます。

 K_f = 1 + q(K_t - 1)

切欠き感度qは0から1の範囲を取り、それぞれの極限の意味は次のとおりです。

  • q = 0:材料が応力集中に全く感受しない( K_f = 1)
  • q = 1:応力集中の影響をそのまま受ける( K_f = K_t)
  • 0 < q < 1:部分的に感受する(一般的なケース)

切欠き感度qを材料・形状から推定する代表的な経験式が、Neuber(ノイバー)の式です。

 q = \dfrac{1}{1 + \sqrt{a/\rho}}

ここで aは材料定数(鋼で約0.1〜0.5 mm、アルミ合金で約1〜2 mm)、 \rhoは切欠き底半径です。

この式から読み取れる設計上の重要な示唆は次の2点です。

第一に、切欠き底半径ρが大きいほどqは1に近づくため、KfはKtに接近します。フィレットを大きくする設計の効果は、形状側でKtを下げることと、qの変化を通じてKfを下げることの2段重ねで現れる、という点です。

第二に、同じ形状でも材料定数aが小さい(高強度鋼など)ほどqは大きくなります。一般に「高強度材ほど切欠きに敏感」と言われる理由がここにあります。引張強度の高い材料を選んだのに疲労寿命が思ったほど延びない、というのは設計現場でよく遭遇する典型例です。

 

10. 設計でKtを下げる実務テクニック

応力集中を制御することは、同じ材料・同じ重量でより高い強度を引き出す近道です。設計現場で実際に効く具体的施策を、3つの観点に分けて整理します。

① 切欠きの回避と配置最適化

  • 応力の低い領域に配置:曲げ梁の場合は中立軸付近、段付き軸では応力勾配が緩やかな部位を選ぶ
  • 貫通穴を優先:可能なら止まり穴(ブラインドホール)ではなく貫通穴とし、底部の応力集中を回避する
  • 応力流線を遮らない経路:荷重の伝達経路に対して斜めや直交ではなく、流れに沿う形状を選ぶ
  • 複数孔の干渉に注意:孔同士が近接すると個別Ktより大きな相互作用Ktが発生する場合がある

② 形状による応力集中の緩和

  • フィレット半径の最大化:段付き軸では R/d \geq 0.1を確保。R/dを0.05から0.2に拡大するだけで、Ktが2.5から1.5程度まで下がる
  • テーパーの導入:急激な段差ではなく傾斜面で径を変える。段付き軸より応力集中が大幅に緩和される
  • 段数の分割:1段で大きく径を変えるよりも、複数段に分けて緩やかに変化させる
  • 孔の形状最適化:長孔は長軸を応力方向に垂直に配置、円形が原則

③ 材料選定と表面処理

  • 切欠き感度qの低い材料を選定:延性の高い軟鋼やアルミ合金は高強度鋼よりqが小さい傾向
  • ショットピーニング:表面に圧縮残留応力を導入し、見かけのKfを大幅に低減
  • 窒化・浸炭処理:表面硬化層により疲労き裂発生を抑制
  • 表面粗さの管理:疲労部位は R_a \leq 1.6μm(研削仕上げ相当)を仕様化
  • 残留応力の管理:鍛造・溶接後は応力除去焼鈍で引張残留応力を低減

これらの施策は単独でも効きますが、複数を組み合わせることで相乗効果が出ます。設計初期に「Ktの目標値」を定め、形状・材料・工程の3軸で同時に最適化を進めるのが実務の王道です。

溶接部の応力集中評価については、別途溶接強度設計の記事でも触れています。

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11. Ktを理解する設計メリットと規格対応

フィレット半径R/d拡大によりKtが低下し、疲労寿命が桁単位で延長される効果を示す2連グラフ

Ktを正しく扱えるようになることは、単なる学術的知識ではなく、企業利益に直結する強みになります。代表的なメリットを3つ紹介します。

① 疲労破壊の事前防止

部品が疲労破壊で月々クレームが発生している場合、Ktを評価せず形状を決めていることが原因の一つになり得ます。フィレット半径をR/d = 0.05からR/d = 0.2に拡大するだけで、Ktが2.5から1.5程度に低下し、Basquin則(疲労寿命の応力依存)に基づけば寿命が10倍以上延びる場合があります。クレームの根絶に向けた最優先施策の一つです。

② 軽量化と安全性の両立

自動車・航空機部品では重量削減が常に求められます。単純に肉厚を削るのではなく、Kt最適化で同強度を維持しつつ材料を軽合金へ置換することで、重量と安全性のトレードオフを突破できます。これは利益率の改善とCO2削減の両面で評価される取り組みです。

③ 規格・QMS監査への対応

自動車業界のFMEA(故障モード影響分析)や、プロセス能力指数Cpkの評価では、疲労モードの議論でKtが明示的に登場することが増えています。JIS B 0102(歯車用語)、JIS Z 2273(金属材料の疲労試験方法)、ISO 1099(金属疲労試験)など、多くの規格・標準がKtの考え方を前提としています。Ktの理解はQMS監査・設計レビュー対応の必須教養です。

プロセス能力評価について体系的に学びたい場合は、次の記事も参考になります。

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12. まとめ

応力集中係数Ktは、機械設計者が疲労破壊を未然に防ぐために避けて通れない概念です。本記事の要点を改めて整理します。

Ktは K_t = \sigma_{\max}/\sigma_{\text{nominal}}で定義される無次元量であり、形状のみで決まり材料には依存しません。基準となる値として、無限平板円孔のKirsch解では K_t = 3、楕円孔のInglis解では K_t = 1 + 2(a/b)が知られており、これらが応力集中問題の出発点となります。

実務では、段付き軸や有限幅平板など解析的に解けない形状についてピーターソン図表を参照し、D/dとR/dからKtを読み取ります。疲労設計においてはKtそのものではなく、切欠き感度qを介して関連付けられる疲労切欠き係数Kfを用いることで、過保守でも過小評価でもない設計が実現します。

そして最も重要なのは、Ktは「読み取って終わり」の数値ではなく、フィレット拡大・テーパー導入・表面処理といった具体的な対策で能動的に下げていく対象であるという視点です。Ktを2.5から1.5へ下げるだけで疲労寿命は10倍以上延びる可能性があり、これは部品コスト・クレーム件数・規格対応の3拍子で利益に直結する改善です。

応力集中を制すれば、部品の信頼性と製造効率は一段階どころか二段階上がります。日々の設計レビューでKtを意識し、形状の小さな選択が大きな寿命差を生むという感覚を養っていただければ幸いです。