Instant Engineering

エンジニアの仕事効率を上げる知識をシェアするWeb記事/機械設計/TPS/QC品質管理

ヤング率とは?単位と求め方・鉄アルミ一覧

金属部品や構造体の設計で「たわみが大きすぎる」「剛性が足りない」と指摘されたことはありませんか。
たわみや変形量を定量的に評価するうえで欠かせないのが、材料固有の重要な弾性定数であるヤング率(縦弾性係数)です。
ヤング率が大きい材料ほど変形しにくく、同じ荷重条件でもたわみが小さくなります。
本記事では、ヤング率の定義からフックの法則との関係、引張試験による求め方、鉄鋼・アルミニウムをはじめとする主要金属材料のヤング率一覧表、さらに温度依存性やポアソン比・せん断弾性係数との関連、片持ちはりのたわみ計算例まで、設計実務で必要となる知識を体系的に解説します。

 

1. ヤング率とは?縦弾性係数の定義

ヤング率(Young's modulus)とは、材料に外力を加えたときの「変形しにくさ」を数値で表した物理定数です。
縦弾性係数とも呼ばれ、記号 E で表します。

 

具体的には、材料に引張または圧縮の力を加えたとき、応力  \sigma とひずみ  \varepsilon の比として定義されます。

 

 E = \dfrac{\sigma}{\varepsilon}

 

ここで、応力  \sigma は単位断面積あたりに作用する力であり、ひずみ  \varepsilon は元の長さに対する変形量の比率です。
ヤング率が大きい材料ほど、同じ力を加えても変形量が小さく、「硬い」あるいは「剛性が高い」材料であるといえます。

 

たとえば鉄鋼材料のヤング率は約 206 GPa であるのに対し、アルミニウムは約 70 GPa です。
同じ荷重を同じ断面積の棒に加えた場合、アルミニウムは鉄鋼の約3倍たわむことになります。
この値は材料固有の物性値であり、形状や寸法には依存しません。

 

なお、ヤング率という名称はイギリスの物理学者トーマス・ヤング(Thomas Young, 1773–1829)に由来します。
ヤングは1807年に弾性係数の概念を体系化しました。

 

ヤング率は「弾性率」「弾性係数」「縦弾性係数」とも呼ばれます。
JIS(日本産業規格)では「縦弾性係数」が正式名称ですが、実務では「ヤング率」の呼称が最も一般的です。
英語では Young's modulus または modulus of elasticity と表記されます。
材料メーカーのカタログや JIS 規格表では「縦弾性係数」として記載されていることが多いため、覚えておくと便利です。

 

2. フックの法則と応力-ひずみの関係

フックの法則と応力-ひずみ線図

ヤング率を理解するうえで基本となるのが、フックの法則(Hooke's law)です。
これは「弾性域において、応力はひずみに比例する」という法則であり、次の式で表されます。

 

 \sigma = E \varepsilon

 

この関係が成り立つ範囲を弾性域(elastic region)と呼びます。
弾性域では荷重を除去すると材料は元の形状に完全に復元します。
応力-ひずみ線図で見ると、弾性域はグラフの原点から比例限度までの直線部分に相当し、その傾きがヤング率  E です。

 

応力-ひずみ線図では、弾性域を超えると塑性域に入ります。
塑性域では荷重を除去しても変形が残る永久変形(塑性変形)が生じます。
弾性域から塑性域へ移行する境界の応力を降伏応力(降伏点)σy と呼びます。

 

設計において重要なのは、ヤング率は弾性域でのみ有効な定数であるという点です。
塑性域に入ると応力-ひずみの関係は非線形になるため、ヤング率は適用できません。
機械部品は通常、弾性域内で使用されるため、ヤング率は応力計算やたわみ計算の基盤となります。

 

なお、応力-ひずみ線図の弾性域における直線の傾きを「初期弾性率」、塑性域での任意点の接線の傾きを「接線弾性係数」と区別する場合もあります。
一般に「ヤング率」という場合は初期弾性率を指します。

 

関連記事

instant.engineer

 

3. ヤング率の単位と換算

ヤング率の単位換算

ヤング率の定義式  E = \sigma / \varepsilon において、ひずみ  \varepsilon は無次元量です。
したがって、ヤング率の単位は応力と同じ「力 ÷ 面積」の次元をもちます。

 

SI単位系ではパスカル(Pa)が基本単位ですが、金属材料のヤング率は非常に大きな値になるため、実務ではギガパスカル(GPa)が一般的に使われます。

 

 1 \, \text{GPa} = 10^3 \, \text{MPa} = 10^9 \, \text{Pa}

 

また、工学分野では  \text{N/mm}^2 \text{kgf/mm}^2 も使われます。
それぞれの換算関係は次のとおりです。

 

 1 \, \text{GPa} = 1{,}000 \, \text{MPa} = 1{,}000 \, \text{N/mm}^2

 

 1 \, \text{GPa} \approx 101.97 \, \text{kgf/mm}^2

 

たとえば鉄鋼材料のヤング率 206 GPa は、206,000 MPa、206,000 N/mm² と表すこともできます。
旧計量単位の kgf/mm² では約 21,000 kgf/mm² に相当します。

 

設計図面や材料規格表では GPa と MPa が混在することがあるため、常に単位を確認する習慣が大切です。
とくに CAE(有限要素解析)ソフトウェアでは入力単位系の設定ミスが致命的なエラーにつながることがあります。
たとえば単位系を mm-N-MPa に設定した場合、ヤング率は 206,000(MPa)と入力する必要があり、206(GPa)と入力すると結果が 1,000 倍ずれるため、解析前の入力確認を怠らないようにしましょう。

 

4. ヤング率の求め方(引張試験)

引張試験によるヤング率の測定

ヤング率は引張試験によって実測できます。
JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準拠した手順は以下のとおりです。

 

まず、規格に定められた寸法の試験片を万能試験機にセットし、一定速度で引張荷重を加えます。
このとき、試験片にひずみゲージまたは伸び計(エクステンソメータ)を取り付けて、荷重とひずみを同時に記録します。

 

得られた荷重-伸び曲線から、応力-ひずみ線図を作成します。
荷重  F と試験片の元の断面積  A_0 から応力を計算し、伸び  \Delta L と元の標点距離  L_0 からひずみを求めます。

 

 \sigma = \dfrac{F}{A_0}, \quad \varepsilon = \dfrac{\Delta L}{L_0}

 

応力-ひずみ線図の弾性域(直線部分)の傾きがヤング率です。
具体的には、弾性域内の2点  (\varepsilon_1, \sigma_1) (\varepsilon_2, \sigma_2) を選び、次の式で算出します。

 

 E = \dfrac{\sigma_2 - \sigma_1}{\varepsilon_2 - \varepsilon_1}

 

JIS K 7161-1(プラスチック)ではひずみ 0.05% と 0.25% の2点間で求める方法が規定されています。
金属の場合も同様に、弾性域内の十分に離れた2点を用いることで精度が向上します。

 

引張試験以外にも、超音波パルス法(音速測定)や共振法(固有振動数測定)でヤング率を非破壊で求める方法があります。
超音波法では、材料中の縦波音速  v_L と密度  \rho から次の近似式で推定できます。

 

 E \approx \rho \, v_L^2

 

ただし、この式はポアソン比の影響を無視した近似であり、正確な値を得るには横波音速も測定して補正する必要があります。

 

引張試験で注意すべき点として、試験速度(ひずみ速度)の影響があります。
金属材料では常温付近でのひずみ速度依存性は小さいですが、樹脂材料やゴム材料はひずみ速度によってヤング率が変動します。
また、試験温度によってもヤング率は変化するため、試験条件(温度、ひずみ速度、試験片形状)を明記することが重要です。

 

5. 鉄鋼材料のヤング率一覧

鉄鋼材料のヤング率一覧

鉄鋼材料は機械設計で最も多用される材料群です。
ヤング率は鋼種によらずほぼ一定で、約 200〜210 GPa の範囲に収まります。
これは、ヤング率が結晶構造の原子間結合力に依存するためであり、炭素量や合金元素による影響は小さいことが特徴です。

 

代表的な鉄鋼材料のヤング率を以下に示します。

材料 ヤング率(GPa) 備考
工業用純鉄 205 フェライト単相
SS400(一般構造用圧延鋼材) 206 JIS G 3101
S45C(機械構造用炭素鋼) 205 JIS G 4051
SCM435(クロムモリブデン鋼) 206 JIS G 4105
SUJ2(高炭素クロム軸受鋼) 208 JIS G 4805
SUS304(オーステナイト系ステンレス) 193 JIS G 4303
SUS430(フェライト系ステンレス) 200 JIS G 4303
SUS631(析出硬化系ステンレス) 204 JIS G 4303
SK85(炭素工具鋼) 206 JIS G 4401
SKD11(合金工具鋼) 210 JIS G 4404
鋳鉄(FC200) 100 片状黒鉛の影響で低い
球状黒鉛鋳鉄(FCD450) 170 球状黒鉛で改善

注目すべきは、SS400 と S45C、SCM435 のヤング率がほぼ同じであることです。
つまり、鋼種を変えても剛性はほとんど変わりません。
「たわみを減らしたい」場合は、材料を変えるのではなく、断面二次モーメントを大きくする(断面形状を変える)ことが有効な対策となります。

 

一方、鋳鉄(FC200)は黒鉛が片状に分布しているため、ヤング率が 100 GPa と鋼材の約半分になります。
片状の黒鉛がクラックの起点として働き、実効的な断面積が減少するためです。
球状黒鉛鋳鉄(FCD450)は黒鉛が球状化されることで応力集中が緩和され、170 GPa まで改善されます。

 

SUS304 のヤング率が 193 GPa と炭素鋼より低いのは、オーステナイト(FCC)構造であるためです。
BCC 構造の炭素鋼に比べて原子充填率は高いものの、原子間距離が異なるため結合力が変わり、結果としてヤング率が低くなります。

 

6. アルミニウム合金のヤング率一覧

アルミニウム合金のヤング率一覧

アルミニウムおよびその合金は、軽量化が求められる航空宇宙・輸送機器分野で広く使われます。
ヤング率は約 68〜73 GPa で、鉄鋼材料の約 1/3 です。

 

代表的なアルミニウム合金のヤング率を以下に示します。

 

材料 ヤング率(GPa) 用途例
A1050(純アルミニウム) 69 化学プラント、装飾品
A2017(ジュラルミン) 73 航空機部品、機械部品
A2024(超ジュラルミン) 73 航空機構造材
A5052 70 板金加工品、船舶
A5083 71 圧力容器、LNGタンク
A6061 69 構造材、自転車フレーム
A6063 69 押出形材、サッシ
A7075(超々ジュラルミン) 72 航空機構造材

 

アルミニウム合金も鉄鋼と同様に、合金種によるヤング率の差は小さいことがわかります。
密度はアルミニウムが約 2,700 kg/m³、鉄鋼が約 7,870 kg/m³ ですから、比剛性(ヤング率 ÷ 密度)で比較すると次のようになります。

 

 \text{鉄鋼の比剛性} = \dfrac{206}{7.87} \approx 26.2 \, \text{GPa} \cdot \text{cm}^3\text{/g}

 

 \text{アルミの比剛性} = \dfrac{70}{2.70} \approx 25.9 \, \text{GPa} \cdot \text{cm}^3\text{/g}

 

比剛性はほぼ同等です。
これは「同じ重さで同じ剛性を実現できる」ことを意味しており、軽量化を目的としてアルミニウムに置き換える場合は、断面寸法を大きくとる設計が必要になります。

 

たとえば、鉄鋼製の板厚  t の板をアルミニウムに置き換えて同じ曲げ剛性を維持したい場合、板厚を  t' = t \times \left(\dfrac{206}{70}\right)^{1/3} \approx 1.43t に増やす必要があります。
重量は密度比と板厚比の積で求まり、 (2.70/7.87) \times 1.43 \approx 0.49 となるため、約半分の重量で同等の剛性が得られます。

 

7. 非鉄金属・その他材料のヤング率一覧

非鉄金属・その他材料のヤング率比較

銅、チタン、マグネシウムなどの非鉄金属や、セラミックス、樹脂のヤング率を示します。
材料選定で剛性を比較する際に参考にしてください。

 

材料 ヤング率(GPa) 密度(g/cm³)
タングステン 411 19.3
アルミナ(Al₂O₃) 370 3.9
炭化ケイ素(SiC) 450 3.2
チタン(Ti) 116 4.5
チタン合金(Ti-6Al-4V) 114 4.4
銅(Cu) 130 8.9
黄銅(C2801) 100 8.5
りん青銅(C5191) 110 8.8
マグネシウム合金(AZ31) 45 1.8
ポリカーボネート(PC) 2.4 1.2
ナイロン 66(PA66) 2.8 1.1
CFRP(炭素繊維強化プラスチック) 70〜200 1.6

 

セラミックスは金属を大幅に上回る剛性をもちますが、脆性が高い(割れやすい)ため、衝撃荷重や繰り返し荷重が加わる用途には不向きです。
一方、CFRPは繊維方向に高いヤング率を示しますが、方向によって値が異なる異方性材料です。

 

チタンは鉄鋼の約半分のヤング率(116 GPa)ですが、密度も約半分(4.5 g/cm³)であるため、比剛性は 116 ÷ 4.5 ≈ 25.8 GPa·cm³/g と鉄鋼やアルミニウムとほぼ同等になります。

 

樹脂材料はヤング率が金属の 1/100 以下と非常に低いため、構造部材としてそのまま使うと大きくたわみます。
ただし、炭素繊維やガラス繊維で強化した複合材料は金属並みのヤング率を実現できるため、航空宇宙や高級スポーツ用品、レーシングカーのボディパネルなどで採用が進んでいます。
マグネシウム合金は金属の中で最も軽量ですが、ヤング率も 45 GPa と低く、剛性が必要な用途には適していません。

 

8. ヤング率とポアソン比・せん断弾性係数の関係

ヤング率とポアソン比・せん断弾性係数の関係

等方性材料(結晶方位による性質差がない材料)では、ヤング率  E、ポアソン比  \nu、せん断弾性係数(横弾性係数) G の間に次の関係式が成り立ちます。

 

 G = \dfrac{E}{2(1 + \nu)}

 

ポアソン比 ν とは、軸方向にひずみが生じたとき、それと直交する方向に発生するひずみの比率です。
軸方向のひずみを εx、横方向のひずみを εy とすると、次のように定義されます。

 

 \nu = -\dfrac{\varepsilon_y}{\varepsilon_x}

 

代表的な金属のポアソン比は 0.25〜0.35 の範囲です。
たとえば鉄鋼は  \nu \approx 0.30 であり、これを上の式に代入するとせん断弾性係数は次のように計算できます。

 

 G = \dfrac{206}{2(1 + 0.30)} = \dfrac{206}{2.60} \approx 79.2 \, \text{GPa}

 

この値は、文献値として広く知られている鉄鋼のせん断弾性係数  G \approx 79 \, \text{GPa} とよく一致します。

 

同様に、体積弾性係数(体積圧縮率の逆数) K も次の関係で求められます。

 

 K = \dfrac{E}{3(1 - 2\nu)}

 

等方性材料では、 E \nu G K のうち任意の2つが既知であれば、残りの2つを計算で求めることができます。
これは弾性力学における重要な基本原理です。

 

実務でよく使う数値として、代表的な金属のポアソン比を挙げておきます。
鉄鋼は 0.28〜0.30、アルミニウム合金は 0.33、銅は 0.34、チタンは 0.34 です。
ポアソン比が大きい材料ほど、軸方向に引張ったときに横方向の収縮量が大きくなります。

 

9. ヤング率に影響する因子(温度・結晶構造)

温度によるヤング率の変化

ヤング率は材料固有の定数ですが、いくつかの因子によって変動します。
設計でとくに注意すべき因子を解説します。

 

温度の影響

温度が上昇するとヤング率は低下します。
これは、温度上昇に伴い原子の熱振動が激しくなり、原子間結合力が弱まるためです。
鉄鋼材料では、常温(20℃)から 400℃ まで温度が上がると、ヤング率は約 15〜20% 低下します。

 

 E_{400°\text{C}} \approx 0.80 \sim 0.85 \times E_{20°\text{C}}

 

高温環境で使用する部品(ボイラー、タービンなど)の設計では、使用温度でのヤング率を用いてたわみや熱応力を計算する必要があります。

 

結晶構造の影響

金属の結晶構造はヤング率に大きく影響します。
鉄の場合、α鉄(BCC構造)のヤング率は約 210 GPa ですが、γ鉄(FCC構造、オーステナイト相)では約 193 GPa に低下します。
SUS304 のヤング率が炭素鋼より低いのは、室温でオーステナイト相(FCC)が安定であるためです。

 

加工硬化・熱処理の影響

焼き入れ、焼きなまし、冷間加工などの熱処理や加工によって、降伏応力や引張強さは大きく変化します。
しかし、ヤング率はほとんど変化しません。
これは、ヤング率が転位密度や結晶粒径ではなく、原子間の結合力(金属結合のポテンシャルカーブの傾き)で決まるためです。

 

この性質は設計上とても重要です。
「高強度な材料に変えれば剛性も上がる」と考えるのは誤解であり、同じ結晶構造の鉄鋼材料であれば、SS400 でも SCM435 でもヤング率は約 206 GPa のままです。
剛性を上げるには、材料変更ではなく形状変更(断面二次モーメントの増大)が効果的です。
ただし、形状変更の際は応力集中にも配慮してください。

 

10. 設計実務でのヤング率の使い方(たわみ計算例)

片持ちはりのたわみ計算例

ヤング率は、機械設計におけるたわみ計算や座屈計算に直接使用します。
ここでは、片持ちはり(カンチレバー)の先端たわみを計算する例を紹介します。

 

片持ちはりの先端に集中荷重  F が作用するとき、先端のたわみ  \delta は材料力学の公式から次のように求められます。

 

 \delta = \dfrac{F L^3}{3 E I}

 

ここで、 L ははりの長さ、 E はヤング率、 I は断面二次モーメントです。

 

計算例

長さ  L = 500 \, \text{mm} の SS400 製角棒(断面 20 mm × 30 mm)の先端に  F = 100 \, \text{N} の荷重を加えた場合のたわみを計算します。

 

断面二次モーメント(たわみ方向に対して高さ 30 mm を取る場合)は次のとおりです。

 

 I = \dfrac{b h^3}{12} = \dfrac{20 \times 30^3}{12} = 45{,}000 \, \text{mm}^4

 

SS400 のヤング率  E = 206 \, \text{GPa} = 206{,}000 \, \text{N/mm}^2 を代入します。

 

 \delta = \dfrac{100 \times 500^3}{3 \times 206{,}000 \times 45{,}000} = \dfrac{1.25 \times 10^{10}}{2.781 \times 10^{10}} \approx 0.449 \, \text{mm}

 

同じ寸法をアルミニウム合金 A6061( E = 69 \, \text{GPa})に変更すると、たわみは次のようになります。

 

 \delta = \dfrac{100 \times 500^3}{3 \times 69{,}000 \times 45{,}000} = \dfrac{1.25 \times 10^{10}}{9.315 \times 10^{9}} \approx 1.34 \, \text{mm}

 

アルミに変更するとたわみは約3倍になることが確認できます。
これはヤング率の比(206/69 ≈ 3.0)に一致しており、同じ断面形状では材料のヤング率がたわみを直接支配することがわかります。

 

同様に、ヤング率は柱の座屈荷重にも大きく影響します。
オイラーの座屈荷重  P_{\text{cr}} は次の式で表されます。

 

 P_{\text{cr}} = \dfrac{\pi^2 E I}{L_k^2}

 

ここで Lk は有効座屈長さです。
ヤング率 E が座屈荷重に比例するため、アルミニウムに材料変更すると座屈荷重も約 1/3 に低下します。
長柱を用いる構造や薄肉部材の設計ではとくに注意が必要です。

 

関連記事

instant.engineer

 

まとめ

本記事では、ヤング率(縦弾性係数)の定義から、フックの法則との関係、単位と換算、引張試験での求め方、そして鉄鋼・アルミニウム・非鉄金属の一覧表まで解説しました。

 

要点を整理すると、ヤング率は応力-ひずみ線図の弾性域における傾きであり、材料の「変形しにくさ」を表す固有定数です。
鉄鋼材料は約 200〜210 GPa とほぼ一定であり、鋼種を変えても剛性は変わりません。
アルミニウム合金は約 68〜73 GPa で鉄鋼の約 1/3 ですが、比剛性(ヤング率/密度)ではほぼ同等です。

 

設計実務では、たわみ計算や座屈計算にヤング率が直接使われます。
「剛性が足りない」課題に対しては、鋼種の変更ではなく断面形状の最適化(断面二次モーメントの増加)が効果的です。
アルミニウムへの材料変更で軽量化を図る場合は、比剛性がほぼ同等である点を踏まえ、断面寸法の拡大を検討してください。
高温環境で使用する部品の設計では、使用温度におけるヤング率の低下を十分に考慮して計算する必要があります。

 

関連記事

instant.engineer