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2023年に読んだ本を振り返る

2023年、1年間に読んだ本を感想とともに振り返る。

読んだ本はすべてブクログで記録しており、今年は計14冊だった。

Sakujinの本棚 (sakujin) - ブクログ

資格試験の勉強に重きを置いているので、月ごとではムラがある。

 

2023年もっとも印象に残ったのはこの1冊!

苦行の末、日本に多大な貢献をした伊能忠敬の生涯についての本がナンバー1。面白すぎて一度通読した後、2回目に細かな描写も拾い上げながら丹念に読み返した。

隠居するような高齢から途方もない事業に挑む姿勢、初志貫徹、技術へのひたむきさ、なければ作る精神など学ぶことが大変多い。

後10年、20年して、自分が中年になった時に新しいチャレンジや環境の変化などあった時にこの本の存在を思い返すこと間違いなし。

伊能忠敬の本をいくつか読んで、ついでに間宮林蔵の本なども買ったが、そちらはまだ未読。

 

それでは、2023年に読んだ本をブクログで記載した感想とともに振り返っていく。

 

2月
シンプルに考える

シンプルに考える

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”仕事は与えられるものではなく、自らつくりだすものです。つまり、すべての根底には主体性があるということ。主体性がなければ、絶対にいい仕事はできないし、活躍することもできません。”

上記の著者主張は非常に学びになった。おっしゃる通りと思う。あと、決断を早めて、且つ、的確なものとするために部下や現場に権限移譲を推奨する部分も参考になった。前者はよく言われるが、移譲することで的確なものとなることはこれまであまり言われてなかったと思う。

 

4月

サラリーマン金太郎で著名な本宮ひろ志による人物伝漫画。上巻では幼少期から佐原の伊能家に婿入りして家業の商いで名をあげていく途上まで。

伊能忠敬と言えば、義務教育の社会科で日本地図を作った人として有名だが、上巻においてはまだ地図の作成は始まらない。婿入りした先で先祖がその時代にしては極めて稀な精緻な測量地図を部分的に残していたのを見つけてそこから行動のヒントを得たこと、自由に好きなことをするためには財力と権力が必要なことを出自の苦い実体験から肝に銘じたという重要なエピソードが2点登場するものの、地図作成の着手はまだ遠い。

下巻で語られるであろうなぜ地図を作るのか?日本全土というおよそ個人で成し遂げ難い大変な仕事をなぜ決死の覚悟で引き受けたのか?を知るのが楽しみだ。

あと、妻のミチとの多少の濡れ場があって小学校低学年の子どもにはまだ見せれない。

 

忠敬個人の願望と当時の幕府の思惑が一致して蝦夷地の測量、東日本の測量、そして西日本を含む日本全土の測量と段階的に仕事が大きくなっていく。

何より、生涯を賭けて前人未踏の偉大な事業に挑むという強い覚悟がなけれなできなかったことだが、鎖国中に外国勢力からの防衛という当時の時代背景も絶妙に絡み合った。要はタイミングが良かった。

作中では1コマであっさり描かれているが、地図作りの道具である象限儀、枝先羅針盤も忠敬の発明とは恐れ入る。これら優れた道具を発明した経緯みたいなところまではさすがに触れられていない。

 

妻や子供、天文の師など自分よりひとまわりもふたまわりも若い人たちが相次いで死んでいく、ただ一人生き続ける老いぼれの忠敬がなぜ自分は生きているのか、生かされているのか自問する場面がラストにあるが、秀蔵やイネの言う通り、天に生かされているとしか言いようがない。

忠敬らが作り上げたこれまで世界のどこにもなかったほど精緻な地図を見た西洋人が感嘆する様は、日本人として誇らしい気持ちになった。

 

5月

集英社の学習漫画 世界の電気NEXT はじめてこのシリーズを買った。漫画の絵が最近みられるような過度にデフォルメされた”いまどきの絵”になってなくて、割と馴染みのある昔(平成前期)のテイストで安心して読めた。

内容については、前半生はあっさりで蝦夷への第一次測量以降が割と詳細に描かれる。51歳という高齢で隠居したから、やりたいことをやり出せたその長い下積みである名主としての活躍やそこに至る経緯はほとんど割愛気味だが、限りある紙面で何を重視するかだけなのでそこは仕方ない。

 

日本全土の測量が計10回行われたこと、その内離島をターゲットにした9次測量は弟子たちに制止されて参加できなかったことなど本書で初めて知った。さらに西日本の測量で、幕府に認められ、予算や人員の割り付けもされた後、責任も大きくなったが一部の行き過ぎた行動で厳しい処分を下したりなど、道中の関所をめぐってのトラブル以外の人の管理の難しさがあったことも学びになった。

国立天文台准教授縣先生の巻末の解説が、非常にコンパクトにまとまっていて読みやすい。本書を読んで改めて意識したことは、伊能忠敬は天文学者であること、そして地図づくりの契機となった第1次測量は最初から地図づくりを目指した訳ではなく、天文学の探求で緯度一度を調査することが最初の目的であったこと。

 

笑っていいともの最終回が2014年3月31日、本書が刊行されたのが同じ年の4月17日。国民的人気且つ長寿番組が終わるタイミングで、これまでのタモリの足跡を辿る趣旨の本。いいともの足跡ではなく、タモリというエンターテイナーの足跡だ。

タモリ自身への取材は残念ながらないが、周辺の様々な関係者への取材や古い文献や記事などを紐解いて今日に至る経緯を辿って行く。取材や資料の読み込みは非常に丁寧な印象を持った。いいともが始まる前の時代の深夜番組やラジオを担当していた業界スタッフ、ジャズ研時代の仲間の談が多く出る。著者も残念がっているがいいともプロデューサーの横澤彪氏への取材は叶わなかったようで、それもあってかいいとも以前のタモリの伝聞が多い。

 

私はタモリといえば、いいともで、お昼の顔で、それ以前の深夜番組でアングラ的な活躍をしていた時代は一切知らない。ラジオについても同様無知だった。本書で紹介された物議をかもしたラジオの名物コーナーのNHKつぎはぎニュースについて、今でもYouTubeで当時の音声を聴くことができた。

NHKから抗議で中止とあったがそれも頷ける。それ以上に苦情が来るまで放送できていた当時の気概というか奔放さが、リアルタイムでは知らない世代だけど懐かしいように感じる。タモリのANN最終回で淡々としていた下り、ANN最終回の放送も全編がYouTubeにアップされていて、今でも聴くことができる。冒頭の牧師になりきっての最終回を告げる挨拶やスポンサー紹介といった冒頭10分を聴いただけでもとても面白い。30年ほど前の放送なのに喋りは同時から秀逸で今初見で聴いても非常に楽しめる。BIG3は伊達じゃない。

 

最後に、九十九氏の次の言葉を含む本書から得た学びを紹介する。

「密室芸」を起点に、タモリは「ANN」で若者、「今最」では大人へと版図を拡大していく。次なる対象はいよいよ「一般視聴者」。これまでにない難物である。「そこでタモリさんはこだわりを持たなかった。それは正解やと思います」

 

9月

文学史に残る偉人たちの「逃げた」エピソード集。逃げた対象は様々で人間関係、家族、金銭問題、仕事、勉強と多岐に渡るが、借金に悩まされていた文豪が目立つ。

あれほど偉大な人物でも、このような下世話な出来事もあるのだから、一般人である我々が過剰に気負う必要なない。ストレスフルな現代でどうしても辛いことがあった時、逃げるという選択肢もあるんだよ・・という慰めというか、事例の紹介が本書の主旨だが、この本に登場する文豪たちの逃げっぷりが凄すぎて圧倒される。

 

一般常識が通じないというか、社会通念上ありえないだろ!というツッコミを何度も入れながら読んだ。「豪胆」と表現すれば聞こえは良いが、近くにいた人々は色々な迷惑・被害にさらされたのだろう。

逃げている最中など、人生のピンチと思える中で名作を生みだしたり、逃げた体験自体が後々になって文学作品として昇華したりといったエピソードも多い。逃げることは絶対に悪ではないというススメとともに、人間万事塞翁が馬的な訓話も含まれている。個人的には谷崎潤一郎の人物伝が気になった。

 

検索から生成へ 生成AIによるパラダイムシフトの行方

検索から生成へ 生成AIによるパラダイムシフトの行方

  • 作者:清水 亮
  • エムディエヌコーポレーション(MdN)
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『Chat GPTはブームではない。新しい時代の幕開けなのである』という帯に惹かれて梅田の紀伊国屋書店で購入。

コンピュータやインターネット勃興期の振り返りから検索エンジンの移り変わり、GPUなど半導体デバイスの進化など今日までのネット技術や歴史を概観する。そしてその上で、検索エンジンに代わって次に主流となる生成AIについて述べられている。

検索エンジンにキーワードを打ち込んで情報を得ることは仕事や日常生活で当たり前になっているが、昔からあったものではなく、ここ20年で登場した技術、習慣だ。現時点では生成AIを普段使いするまでは至っていないが、1年もしない内に皆が当然の如く使っていくのだと思う。その潮流は間違いないだろう。

 

本書の一部について、大規模言語モデルを使って執筆したと著者が告白しているが、どこを人間が書いて、どこをAIが担当したのかはまったく区別がつかない。

Chat GPTに色々な指示を出して、その回答例が示されているが、特に気になった「会話のキャッチボール」を難なく行える点だ。何か特定のテーマについて考えるようAIに指示を出し、AIが回答する。その回答について不足を感じたり、さらに補充させたい時、続けて指示を出せばAIは素直に回答する。

こういった活用ができるというのが衝撃で、アイアンマンに登場する「ジャービス」を誰でも個人が持てるような時代になったようだ。生成AIをうまく壁打ち役として使うことで一人でブレインストーミングを行えるようになったと著者は述べるが、生成AIを活用することで人は自ら思考をやめるのではなく、むしろAIとの対話を通じてさらに深く考えることができるのだと気付いた。

 

仕事とは「方針管理」と「問題解決」であるというのは、トヨタだけでなくすべての業種・業界の仕事に通ずると思う。

A3教育について本書で度々言及されるが、冒頭に結論を書くのは間違い、結論をいきなり読んでも伝わらないというのはまさにそうだと思った。トヨタでは、冒頭に書くのは「問題点の背景説明」とのことだ。結論から書け、というのがビジネスの常識にようにいわれることがあるが、前半の方に書くのは望ましいが、先頭に書くのは変だ。

 

トヨタ生産方式でよく登場する7つのムダだが、実は事技系職場における7つのムダというのもあったらしい。以下に記述する。

1.会議のムダ

2.根回しのムダ

3.資料のムダ

4.調整のムダ

5.上司のプライドのムダ

6.マンネリのムダ

7.「ごっこ」のムダ

 

10月

本書で、百田氏が発見し提唱する「新・相対性理論」の骨子は、

「人間社会のあらゆることは『時間』が基準になっている。有限の時間の中で生きている人類にとっては、「時間」くらい重要なものはない。そして、その観点から多くを見ていくと、今までの解釈とはまるで違ったものが見えてくる。」である。

今までの解釈とは違う見え方について本書の前半9割であれこれ様々な切り口で展開されている。できれば最初に上記の結論を示し、その後に「まるで違ったもの」の個別例について述べていることがもっと分かりやすい構成にしてほしかった。

まとめが本書の終盤に集中するので、本の先頭から普通に読み進める読者は、著者の時間についての考察や一般論じみたことをひたすら読むだけで、結局何を言いたいか分からず、モヤモヤする。

本書のタイトルにもある「成功」については、最終盤に唐突に登場し、曰く、

 「時間を無駄にしない」

あるいは言い方を変えて、

 「やることの優先順位を間違えない」 である。

なんだ、そんなことかと見限るのは早計で、時間=人間の生命そのものという前提を様々な切り口で浸透した後にこの言葉に触れると、ただ単純にいきなりこのありきたりな標語に接する時とはまた違った感慨がある。

 

 

最近、日本保守党の結党で注目されている2人の共著。

帯にある『子供に「天皇」を説明できますか?』の通り、天皇という世界史で他に類を見ない存在がありながら、一方で自国民である私たち自身に認識が不足しており、適切に説明できない。説明できないのは、理解が不十分だからに他ならない。

本書を読んで、おぼろげながら日本という国、そして天皇がいることの有難み、他国から見た特異さ、世界の中に特別,別格であることが見えてきた。本書で指摘されているが、自国を知り、他国を知ることで多様性が理解できる。それが真のグローバリズムというのはまったくその通りの指摘であると思う。

 

歴代天皇の中でも特に昭和天皇に関しての記述が多いと思う。

第1次大戦後のドイツ皇帝ヴィルヘルム二世を引き合いに出して、ポツダム宣言受諾後(敗戦後)に行われたマッカーサーと昭和天皇の会談の場面は、涙が出るほどの感慨を受けた。

戦後、GHQによる検閲や情報統制、その後の日本国内での自主的な規制や教育の見直しにより、日本国と天皇の絆や、天皇が戦前・戦後に果たした役割について考える機会や考えるための情報、素材を失ってしまった。

学校教育でこれらに触れたり、得ることは現状難しいが、現在の日本は他の独裁国のような情報統制下にはなく、本書のような志ある人によって刊行された出版物がまだ手に入る国であるので、自ら学び、過去の事績に則した省察と未来の適切な選択を行っていけるようにしたい。

 

最後に、百田氏が本書で「近未来にナショナリズムの揺り戻しがある」と未来予測している箇所は少し将来に希望が持てる気がした。自分たちの国や民族について、再考、振り返る時代が来ると。

その時、日本に住むぼくたちは、「天皇」という存在をそれぞれが考えることになる。その答えの一部について示されたのが本書である。

 

 

リーマンショック時には赤字となったトヨタだが、コロナショック時は他の自動車会社に先駆けて業績を回復させ、また他社が決算の見通しを示せない、同社だけはいち早く対応できた。

コロナで日本中に不安が立ち込める中でのトヨタの活躍、果たした役割は顕著で本業を素早く回復させ、関連会社含む雇用や経済活動を維持しただけでなく、フェイスシールドの製造、医療機器メーカへの生産性向上の支援活動などが記憶に新しい。リーマンショックの時に何を反省し、その後どういった実践を重ねて危機管理を行ってきたかについて述べた本。

よく、企業の「体質改善」という言葉を耳にする。トヨタにおいても平時から常に体質改善を続けているが、それは「原価の低減」と「生産性の向上」を追求し続けることを意味する。

株主総会で当時の豊田章男社長が「体質強化は進んでいるのか?」に答えて語った言葉が以下である。

「トヨタは確実に強くなったと思います。そして、その強さを自分以外の誰かのために使いたいと思っております。なんといってもリーマン・ショック時よりも200万台以上、損益分岐点を下げることができたのですから」

また、本書にはもう一つの特徴がある。それは「トヨタの保全」に着目、取材したことだ。保全が表舞台に登場することは珍しく、著者も書いているがこれまでの保全への取材はほとんどなかったらしい。私はここの部分を読むために本書を購入した。

 

11月

Amazonで評価が高かったので読んでみたけど、、微妙だった。ビジネス書や自己啓発書をいくらか読んだことのある読者にとっては、過去に何かの本に書いてあったことの寄せ集めに思えてしまう。オリジナリティはあまりなくて、受け売り専門書だ。

私は本書で初めて知ったが、「瞬読」という速読術がある界隈で有名な著者らしい。フロンティアである右脳を使いこなすために、、とかそういった文言が多く登場する。脳科学への言及も多いけど、その割にはソースの記載はなく、参考書籍に至ってはゼロ。本書に記載されていることはほぼ著者の妄想、妄言なのかもと話半分ほどで読んだ方が良い。

disばかり書いても仕方ないので良かった点を2つ。

即断即決を本書は推奨する立場で、

「世の中に時間をかけることで得することはほとんどない」

「時間をかけることに価値はなく、どれだけ短時間でクオリティの高い仕事を提供できるかどうかが大事」

という部分は同意。

そのために”すぐ対応すること”を著者は徹底して訓練、実践していてそこに関しては学びになった。

あと、プロローグに登場するドラえもんのひみつ道具『3倍時間ペタンコ』はアクセルワールドの加速世界を彷彿とさせる。どちらの作品も、圧倒的なスピードで処理することへの憧れとか羨望があるからこそ成立する。

 

フォレスト出版ということで、装丁が黒地にピンクと書店でひと際目立つのと、タイトルに「麻薬」と付くことで一見過激に見える本書だが、内容は至って正統派。

勉強を習慣化、つまり依存させるための方法論。

勉強が完全に生活の一部として溶け込んで、苦もなく開始できるようになれば理想だし、必然的に勉強時間が増えるので成績が上がることも間違いない。

本書では「勉強の自動化」と表現される。勉強の開始だけを意味するものかと思ったが、よくよく考えれば本書や他の勉強本でも言及されるスモールステップややる気の側坐核理論(簡単な作業をいざ開始するとやる気が出てきて案外たくさんできたりする)で続いたりするので、自動化は、離陸時のエネルギーを含みつつももう少し広範な意味のようにも思えた。

本書では、勉強依存のために①情熱、②密着、③達成、④環境が重要とされる。これらすべてが必ず必須という訳ではなく、複数あるに越したことはないが、時と場合に応じて組み合わせて適用することを推奨されている。

勉強の習慣化の本であり、それほど目新しいこともなく、他の類書で述べられていることも多い。

自分としては、7章に登場した「ツァイガルニク効果」がこれまで聞いたことがなく、学びになった。キリの良いところまで終える、あるいは終えたいという気持ちはこれまで当然のことであったが、あえて直前でやめて次の開始をスムーズに行わせるというテクニックは面白い。ただし、本書では定常的に行うものではなく、あくまで勉強の習慣化の過程における一時的な利用だ。

 

子供を公文に通わせ始めて、今は算数1教科だけだけど、今後国語も検討している中で本書を見つけたので読んでみた。結論は国語も開始することに決めた。

自分はメルカリでこの本を買ったが、250頁あるソフトカバーの単行本なのに定価が900円と安い。新書くらいの価格だ。

子供を公文式に行かせる前ではなく、行かせ始めた後に本書を読んだが、中学卒業まで続けようと決意を新たにできた。以下、重要な箇所をピックアップする。

・公文式は世界46か国(本書刊行の2010年時点)で展開されている。KUMONは世界共通で、日本で生まれた教育システムと知らずに通っている子供もたくさんいるようだ。

・文化や習慣、価値観や教育システムが異なる様々な国や地域でKUMONは受け入れられているのか?

 →公文式教材が「読み・書き・計算」の基礎学力を高校レベルまで養成することを目的に作られているから。「読み・書き・計算」はどんな学問においても根幹となる絶対不可欠な基本の力であり、その基本となる力を誰もが年齢に関係なく個人別に身につけていける普遍的な学習法だから。

・公文式は高校の数学教師であった公文公(とおる)が、小学生である息子のたけしに算数を家庭学習で教えたことから始まった。たけしは父が自作したプリントで算数、数学をスモールステップで体系的に学び、小学生の間に微分・積分まで習得した。

・次の教材レベルへ進むかの判断は、100点を取れたかに加えて解答時間も指標になっており、公文式では「標準完成時間」を用いて学力の定着度を判断する。

・公文式の数学教材のゴールは微分・積分。

・公文式国語の中心となる学習法は「縮約」で、「要約」とは若干異なる。

・公文式の国語教材は、読解力を培い、高度な読書能力を養成することを目指ざしている。童謡から適切な段階を経てレベルが上がっていき、最終のゴールはルソーの『社会契約論』を読むまで。