本記事のテーマ
QC検定1級 論述試験(二次試験) 実践分野 過去問の具体的な解答例を共有する
本記事のターゲット
・QC検定1級取得を目指して勉強を頑張っている受検者
・参考書や過去問で勉強できる手法や実践と違って、
論述はどのように対策すれば良いか分からず、困っている方
・自分の論述問題の解答がどのくらいの点数なのか分からず、悩んでいる方
・QC検定1級合格者の論述解答例を参考にしたい方
・準1級合格者で二次試験のみ受検(一次試験免除)で”絶対”に合格したい方
上記の方に向けて記事を書きます。
★先にこちらの記事をお読みください。
↑ 今回の記事は上記の”続き”です。あまりに文字数が多くなったため、記事を分割しました。
★関連記事はこちら《手法分野に関する論述問題と解答事例集》
↑ 手法分野の論述過去問と解答例は上記の記事でUPしています。
品質管理検定レベル表(Ver.20150130.1)が改訂され、それが適用された第20回試験(2015年9月実施)の過去問から問題文と具体的な解答例を掲載していきます。
- QC工程図
- 方針管理① 策定後のフォロー
- 方針管理② 方針の具体化
- 工程FMEA
- トレーサビリティ
- 調達先の管理
- 再発防止① 品質クレームの処置
- 再発防止② 応急処置と恒久処置
- 社内標準化
- 全員参加の品質保証
- 企業の社会的責任
- 工程異常
- P,A,F品質コスト
QC工程図
第20回試験(2015年9月6日)問題[3]
あなた自身または関係する部門で用いられるQC 工程図が重要な品質文書である意味を説明し,どのような情報が盛り込まれなければならないかを理由を含めて記述せよ.さらに,作成された QC工程図はどのように活用されるか具体例をあげ,社内の標準化との関係も記述せよ.
解答例(701字)
私は化粧品製造会社の品質保証の責任者として勤務している。QC工程図の重要性と適切な活用法について以下に記述する。
1.QC工程図の重要性
QC工程図は製造プロセスと品質管理の各ステップを示すものであり、製品の品質を保持し、向上させるために不可欠である。これにより、従業員は工程と品質管理の要点を正確に把握し、品質のバラツキを防ぎ、問題が発生した際には迅速に対応することが可能である。
2.QC工程図に盛り込むべき情報
QC工程図には、製造工程、検査ポイント、使用機器、測定方法、許容範囲、責任者など、品質保証に必要な詳細情報を含める必要がある。これにより、品質管理がより効果的となり、製品の信頼性が向上する。
3.QC工程図の活用法
当社ではQC工程図をトレーニングツールとして活用し、新入社員や他部門からの異動者が効率的に基本を学ぶことができる。これにより、従業員全体の品質意識が向上し、製品の品質が安定する。また、不具合が発生した際には、QC工程図を参照し、迅速に問題の解決を図ることが可能となる。
4.社内標準化との関係
QC工程図は社内の品質管理標準を形成し、それを従業員間で共有するツールとしている。これにより、異なる製造ラインや工場間での品質管理の一貫性が保たれ、製品品質が安定する。また、標準化されたQC工程図を用いることで、継続的な改善活動も促進される。
以上のように、QC工程図は製造現場における品質管理と保証に極めて重要な役割を果たしており、その作成と活用は製品品質の向上と製造効率の向上に寄与している。私の立場からは、QC工程図を効果的に活用し、品質管理体系として定着させることが求められている。
方針管理① 策定後のフォロー
第21回試験(2016年3月20日)問題[4]
あなたが関与したまたは自社の事例を用いて,方針(目標および方策)策定後の定期的な方針の達成状況の確認方法を記載し,かつその段階で着目すべき点についてあなたが考える重要事項を3項目あげ,その理由を記述せよ.
解答例(693字)
私は化粧品製造会社の品質保証部門で責任者として、品質向上を目的とした方針の策定およびその達成状況の定期的な確認を指導している。方針策定後の達成状況の確認方法と、着目すべき重要事項について自社の事例を基に記述する。
1.方針の達成状況の確認方法
方針策定後の達成状況の確認のために、以下のステップを踏む。
・目標値の設定:具体的な目標値を設定し、それを達成するための行動計画を立てる。
・モニタリング:目標に対する進捗状況を定期的にモニタリングし、データを収集する。
・評価:収集したデータを基に、目標達成度を評価する。
・フィードバックと改善:評価結果を基にフィードバックを行い、改善策を講じる。
2. 着目すべき重要事項とその理由
方針の達成状況を確認する段階で特に重視すべき三つの重要事項は以下の通りである。
・データの正確性:モニタリングのデータは方針達成の評価に直結するため、その正確性は非常に重要である。データの収集と管理には細心の注意を払い、誤りや偏りがないようにする。
・コミュニケーション:方針達成のためには、関連する全てのスタッフが同じ目標に向かって努力する必要がある。そのため、方針、目標、進捗状況を明確に共有し、スタッフ間のコミュニケーションを促進する。
・継続的改善:方針達成のためには、一度設定した目標に対して満足せず、常に改善の余地を探し続ける姿勢が必要である。評価結果を基に、継続的な改善策を講じることで、品質保証のレベルをより高い水準に引き上げる。
これらのアプローチと重要事項に注意を払うことで、私たちは品質保証部門として自社製品の品質向上と顧客満足度の向上に寄与している。
方針管理② 方針の具体化
第25回試験(2018年3月18日)問題[3]
方針管理において散見されるのが,「スリムで強靭な企業体質をつくる」というような抽象的な項目である.企業経営には重要な項目であるが,目標も設定しにくく,半年や1年の節目での達成度評価もあいまいなものとなりやすい.このようなことを防ぐために,方針の具体化や周知徹底,達成度評価のための数値化できる指標などが必要となる.
あなたが関与したまたは自社の事例を用いて,抽象的な方針を組織内に展開した際に留意した点を,下記の観点から記述せよ.
①(上位方針などからの)抽象的項目の例
②どのような項目に具体化したのか(誰が,何を,いつまでに,どのくらい)
③設定した達成度評価指標と達成状況
④各項目の達成状況から,上位の抽象的項目の達成はどうだと判断できたか,またその根拠
解答例(638字)
私はビール製造工場で品質保証業務の責任者を務めている。以前、経営陣から示された「効率的な生産体制の構築」という抽象的な方針を具体化し、組織内での展開を指導した経験を以下に記述する。
1. 抽象的項目の例
「効率的な生産体制の構築」は、コスト削減と生産効率の向上を目指していると解釈した。この抽象的な表現から、具体的な目標と行動計画を導き出す必要があった。
2. 具体化した項目
ビール製造工程において、原材料の使用効率、設備の稼働率向上がキーとなる。そこで、以下の具体的な項目に落とし込み、目標を設定した。
・原料使用量の最適化:麦芽とホップの使用量を見直し、3ヶ月以内に1%削減を目標とした。
・設備稼働率の向上:設備の保守・メンテナンス計画を見直し、稼働停止時間を3ヶ月以内に5%削減を目標とした。
3. 達成度評価指標と達成状況
これらの項目に対する達成度評価指標を設定し、実績を評価した。
・原料使用量の最適化では、使用量の削減に成功し、目標の1%削減を達成した。
・設備稼働率の向上では、稼働停止時間の削減に成功し、5%の改善を達成した。
4. 抽象的項目の達成判断と根拠
上記の具体的な項目の達成により、効率的な生産体制の構築に対して大きく寄与できたと判断する。材料の無駄削減と設備の可動率向上は、コスト削減と生産効率向上に直結し、企業が競争力を持ち続ける上で不可欠です。これらの成功は、数値で明確に示され、全員が認識しやすい形であり、組織全体で効率的な生産体制を実現する文化が根付いた。
工程FMEA
第22回試験(2016年9月4日)問題[4]
システムやプロセスの構成要素における故障モードが全体へ及ぼす影響のメカニズムを解析・評価し,トラブルを事前に予測して未然防止するために工程FMEAが活用される.
あなたが関与したまたは自社の工程FMEAを活用した事例を用いて,どのように解析・評価したかを例示したうえで,この事例によって得られた成果,事例からあなたが学んだ工程FMEA活用上の留意点を記述せよ.
解答例(719字)
私は油圧ショベル製造メーカーで品質保証業務に従事し、品質向上とトラブル未然防止のため、工程FMEAを活用して問題解決に努めている。当社でスイングフレーム製作時の鋼板と鉄鋼の溶接工程において実施した工程FMEAの事例をもとに記述する。
1. 問題の認識
溶接工程において、品質不良が発生しやすいという認識があり、これによる製品の強度不足が懸念されていた。この問題を解決し製品の信頼性を確保することが求められていた。
2. 工程FMEAの実施
故障モードとして「溶接の不均一」、「溶接材料の品質不良」、「作業者のスキル不足」を特定し、それぞれの要因となり得る事項を洗い出した。例えば、「溶接の不均一」には、「溶接温度の管理不足」や「溶接速度の不適切」などがあった。
3. 対策の策定
リスクの低減を目指し、溶接温度の管理を徹底し、溶接速度の適正化を図ることによって、「溶接の不均一」を防ぐためのプロセスを確立した。さらに、作業者のスキル向上を目指して研修を実施し、溶接材料の品質管理を強化した。
4. 成果の評価
これらの対策によって溶接不良の発生率が低下し、製品の強度と信頼性が向上した。製品の品質向上により顧客満足度が向上し、製造コストの削減にも寄与した。
5. 学んだ留意点
この事例から、潜在的なリスクを事前に洗い出し、具体的な対策を講じることの重要性を学んだ。人材育成と材料管理の強化が品質向上に直結すること、そしてプロセス各段階でのチェックとフィードバックの重要性を再認識した。
今回の成功を踏まえ、今後も工程FMEAを活用して製造プロセスの見直しを行い、品質向上を図っていく。特に、新しい材料や技術の導入にあたっては、事前にリスク評価を行い、品質確保に努める。
トレーサビリティ
第24回試験(2017年9月3日)問題[3]
製品に関するトレーサビリティについて,あなたが関与したまたは自社の事例を用いて,①対象製品,②考慮の対象となっているもの,③識別の方法および遡及範囲,④記録の管理方法,⑤トレーサビリティを確立したことによる効果に分けて記述せよ.
解答例(718字)
私は油圧ショベル製造メーカーで品質保証業務の責任者を務めている。品質の向上と問題発生時の迅速な対応を実現するため、当社でのトレーサビリティに関する取り組みについて記述する。
1. 対象製品
トレーサビリティの対象としている製品は、特にスイングフレームとベースフレームである。これらの部品は油圧ショベルの構造の中心となり、安全性と耐久性が求められる。
2. 考慮の対象となっているもの
トレーサビリティの考慮対象としているのは、使用材料、製造工程、出荷後の製品状況などである。特に溶接工程における品質管理が重要であり、溶接不良がないかを厳密にチェックしている。
3. 識別の方法および遡及範囲
各製品には一意の識別番号を割り当て、製品に刻印している。この識別番号を用いて、使用した材料のロット、製造時の検査記録、出荷先情報などを速やかに遡ることが可能である。遡及範囲は製造から最終ユーザーに至るまでとしている。
4. 記録の管理方法
製造から出荷、保守メンテナンスに至るまでの全記録をデジタルデータベースで管理している。これにより、データの検索性と信頼性が向上している。
5. トレーサビリティを確立したことによる効果
トレーサビリティの確立により、製品に問題が発生した際の迅速な対応が可能である。問題の原因を素早く特定し、必要に応じてリコールや修理の対象範囲を絞り込むことができるようになっている。これにより、ブランドの信頼性の維持とコスト削減に寄与している。
以上のように、私たちは製品トレーサビリティの確立を通じて、製品の品質保持とリスク管理を強化し、顧客満足度の向上に貢献している。これからも改善と技術革新を続け、安全で信頼性の高い製品を提供していく所存である。
調達先の管理
第20回試験(2015年9月6日)問題[4]
組織が顧客へ製品・サービスを提供するために必要な原材料,部品,設備,ソフトウェア,役務 などのすべてを自組織内で確保することは難しく,他社や他組織から調達するものも多い.その結果,調達先の品質管理に起因する製品・サービスの不具合が発生した場合,その不具合を調達先が自らの力で改善することが難しいことがある.
あなたが関与したまたは自社の事例で,調達先に起因した重大な品質不具合の事例をひとつ取り上げで,調達先の品質を改善するために,どのように対応したかについて,次の観点から要点を簡明に記述せよ.
① 調達先に起因した品質不具合の具体的な内容,並びにその問題に対するあなたの立場および役割
② 調達先における品質不具合の原因追求,および主な再発防止対策
③ ②に関して調達先を指導した主要事項,および改善の成果
④ 調達先に相因する品質不具合を防止するために,この事例から学んだあなたの考え・意見
解答例(702字)
私は化粧品製造会社の品質保証部門で指導的立場にあり、調達先からの部材や原材料の品質管理が私の主な責務である。今回、調達先に起因した重大な品質不具合の事例とその対応について以下に記述する。
1.調達先に起因した品質不具合の具体的な内容
製品に使用される特定の色素に品質不具合が発覚した。この色素は外部の調達先から購入しており、製品に斑点が発生する原因となっていた。
2.調達先における品質不具合の原因追求および再発防止対策
調達先を訪問し、彼らの製造プロセスを調査した結果、製造工程の最終検査で使用される測定器具の校正が定期的に行われていなかったことが判明した。これにより、不良品が製造ラインを通過し、最終製品に斑点として現れていた。再発防止対策として、調達先には測定器具の定期的な校正と検査記録の管理を徹底するよう指示した。
3.調達先への指導と改善の成果
・年間の校正スケジュール表の作成と管理の徹底
・校正を行った際の結果の文書化と保存方法
・測定器具の校正結果が基準を満たさない場合、直ちに報告し原因分析と対策を講じる体制を整備
上記内容を調達先に指導し、測定器具の定期校正と検査記録の管理を強化した結果、色素の品質は安定し、製品の斑点問題は解消した。
4.調達先に起因する品質不具合を防止するために
この事例から学んだことは、調達先の品質管理が直接自社製品の品質に影響を与えるということである。今後は調達先選定のプロセスを見直し、品質保証を重視した評価基準を設ける必要があると感じている。また、調達先とのコミュニケーションを強化し、彼らの品質改善活動を継続的にサポートしていくことが重要であると考えている。
再発防止① 品質クレームの処置
第22回試験(2016年9月4日)問題[3]
品質問題の再発防止活動は重要である.顧客からの品質クレームに対し行った処置(クレームの処理,原因の特定,再発防止策の必要性の評価,再発防止策の計画・実施,取った処置の有効性のレビュー)について,あなたが関与したまたは自社の事例を用いて記述せよ.ただし、事例については再発が防止できた事例に限る.
解答例(742字)
私はビール製造工場で品質保証の責任者として、日々の業務の中で品質問題の解決にあたっている。顧客から寄せられた品質クレームに関する再発防止活動の事例について記述する。
1.クレームの処理と原因の特定
ある日、顧客からビールの味が変わったとのクレームが寄せられた。直ちに問題の製品を回収し、詳細な分析を行った。分析の結果、ビールの味の変化は麦芽の品質に起因していることが判明した。特定のロットの麦芽が品質基準を満たしていなかった。
2.再発防止策の必要性の評価と計画
原因が明らかになった後、再発防止策の必要性を評価した。品質基準を満たしていない麦芽を使用したことは製品品質に直結する重大な問題であるため、再発防止策の計画と実施が必須であると判断した。
3.再発防止策の実施
・原料供給者とのコミュニケーション強化:麦芽の品質基準を再確認し、品質管理プロセスを共有することで問題の再発を防止。
・社内プロセスの見直し:原料受け入れ時の品質チェックを強化し、品質基準を満たしていない原料は使用しないようにした。
・教育とトレーニング:従業員に対して品質意識の向上と正しい品質チェックの検査方法を教育した。
4.処置の有効性のレビュー
再発防止策の実施後、その有効性を定期的にレビューした。6ヵ月間のモニタリングを通じて、製品の品質は安定し、顧客からのクレームは大幅に減少した。これにより、取った処置の有効性を確認できた。
この事例を通じて、品質問題の再発防止活動の重要性を再認識した。原因の特定から再発防止策の計画・実施、その効果の確認まで、一連のプロセスを丁寧に実施することが必要である。私の役割はこのプロセスを指導し、品質保証活動を通じて製品の信頼性を高めることであり、今後もこの責任を果たしていく所存です。
再発防止② 応急処置と恒久処置
第27回試験(2019年3月24日)問題[3]
ある製品の製造工程で発生した不適合に対しては,応急処置および恒久処置を行う必要があるが,再発防止を目指す恒久処置については実施項目とその手順が定まっていることが多いのに対し,応急処置については人に委ねられる部分が多く,組織立った行動となっていない場合が多い.
あなたが関与したまたは自社の事例を用いて,応急処置を実施した内容を具体的に記述せよ.また,その事例で検討の甘さや実施漏れによって起こった問題があれば記述し,反省点や改善すべき点について述べよ.まとめとして,応急処置の注意すべき項目について,あなたの意見を述べよ.
解答例(690字)
私はアイスクリーム製造メーカーの品質保証部門で責任者を務めている。品質管理の過程で、不適合品の発生は避けられない現象であり、その対応として応急処置と恒久処置が必要である。当社での応急処置の具体的な事例とその問題点、改善策について記述する。
1. 応急処置の具体例
フリージング工程において、アイスクリームのミックス温度が規定値を超える不適合が発生した。これに対し、私たちは生産ラインを停止し、冷却装置のパワーを上げることでミックス温度を下げる応急処置を行った。これにより温度は規定値に戻り、生産ラインは再開された。
2. 問題点と反省点
この応急処置は一時的な問題解決にはなったが、後日の分析で冷却装置のコンプレッサーが故障していたことが判明した。このコンプレッサーは以前から動作不良を起こしており、適切なメンテナンスと部品交換を怠った結果であった。これにより品質保証としての責任を果たせていないと認識し、今後は応急処置だけでなく、根本的な原因を迅速に特定し、恒久処置を施すことが必要であると学んだ。
3. 応急処置の注意すべき項目
応急処置は一時的な対策であり、根本的な問題解決には至らない。応急処置後は速やかに問題の原因を特定し、恒久処置を講じる必要がある。応急処置時には、対策が他の工程に悪影響を与えないか検討し、全体的な品質保証の観点から最適な対策を選択する必要がある。
応急処置は有効な一時的対策であるが、根本的な原因特定と恒久処置の重要性を忘れてはならない。私たちはこの経験を教訓とし、品質保証体制の強化を図っていく。応急処置を行う際は、迅速な原因特定と適切な対策選択が重要である。
社内標準化
第24回試験(2017年9月3日)問題[4]
社内標準化では,定めた標準が確実に守られていることが大切である.
そのためには,なぜその標準があるのか,標準を守らないとどのようになるのかという基本的な事項を完全に理解させることから始める必要がある.さらに,標準が順守できる能力を身につけさせることも重要となる.
あなたが関与したまたは自社の標準を用いて,下記の観点から記述せよ.
①標準を定めた背景
②標準の内容とねらい
③標準の順守状況の把握
④その成果の具体例(単なる品質向上ではなく,何が,どうなったのかを例示すること)
⑤反省と今後の課題
解答例(679字)
私はアイスクリーム製造メーカーにおいて品質保証業務の責任者を務めている。この立場から、社内標準化の重要性とその実施の具体例を以下に記述する。
1. 標準を定めた背景
過去にフリージング工程の温度管理が徹底されておらず、製品の品質がバラつく問題があった。これにより顧客の信頼を損ない、市場での競争力が低下していた。
2. 標準の内容とねらい
フリージング工程における温度を-20±2℃に保つことを標準とし、これを守ることで製品の品質安定化と顧客満足度の向上を目指した。この温度帯で凍らせることでアイスクリームの食感と風味が最も良くなると考えられている。
3. 標準の順守状況の把握
従業員が毎日チェックリストを用いて温度管理を行い、月に一度の内部監査を実施して順守状況を確認。不適合が見つかった場合は直ちに是正措置を講じる。
4. 成果の具体例
標準化を実施してから6ヵ月後、製品の品質バラつきが大幅に減少し、顧客からのクレームが前年比で50%減少した。さらに、製品の風味と食感が安定し、ブラインドテストでの評価が向上。これにより市場シェアが3ポイント向上した。
5. 反省と今後の課題
標準の導入初期は従業員からの抵抗があり、順守状況が芳しくなかった。これを受け、なぜこの標準が必要なのかを従業員に対して徹底的に説明し、理解を促進することが重要だと学んだ。今後は教育とコミュニケーションを一層強化し、標準の順守を継続的に推進していく。
この取り組みを通じて、製品の品質安定化と顧客満足度の向上が図れた。これからも品質保証の責任者として、標準の遵守と品質向上に努めていく所存である。
全員参加の品質保証
第25回試験(2018年3月18日)問題[4]
ある企業では,「一人ひとりが品質保証」を掲げて品質保証に取り組み,全従業員が「私の品質保証項目」カードを作成し,その内容を納入箱に載せて納品するようにした結果,特にヒューマンエラー起因の不適合件数が低下した事例がある.このように,品質保証は品質保証担当部署のみが取り組むものではなく,全員が参画すべきものである.
あなたが関与したまたは自社の事例の中から,全従業員で品質保証に取り組むための仕掛けを作った例をあげ,下記の観点から記述せよ.
① 仕掛けを必要とした企業または職場の背景
② 仕掛けた意識高揚策と狙い
③ 具体的行動にどうつなげたか
④ その成果の具体例(単なる品質向上ではなく,何が,どうなったのかを例示のこと)
⑤ 反省と今後の課題
解答例(689字)
私はボルト製造工場において、品質保証業務の責任者として勤務している。以前、当社で全従業員が品質保証活動に参加する体制を整える取り組みを指導した経験を記述する。
1. 職場の背景
当工場では、従業員の品質意識にバラつきがあり、特にヒューマンエラー由来の不良品が多発していた。トリミングや検査の工程での注意不足が原因で、これが顧客からのクレームに繋がっていた。
2. 意識高揚策と狙い
これを解決するために「私たちの品質保証」キャンペーンを実施した。従業員がそれぞれの工程で重要と考える品質保証の項目を自ら考え、それをカードに記述して工場内に掲示するというものである。この活動の目的は、従業員一人ひとりが自分の仕事に責任を持ち、品質向上への意識を高めることにあった。
3. 具体的行動につなげるために
より具体的な行動に移すため、月に一度のミーティングを開催し、各自がカードに記述した品質保証項目を基にその月の改善活動を報告し合う体制を取った。また、優れた改善活動には賞を与えることで、従業員のモチベーションを高める工夫も行った。
4. 成果の具体例
取り組みの結果、トリミングや検査工程でのヒューマンエラーによる不良品の発生率が大幅に減少した。以前は月に5件程度発生していたクレームが、取り組みを開始して半年後には1件以下に減少した。
5. 反省と今後の課題
今回の取り組みを通じて、品質保証活動は全員が参画することでより効果を発揮するとの確信を得た。ただし、導入初期には従業員の反発も存在した。今後の課題としては、初めから従業員を巻き込み、理解と協力を得るための仕組み作りが重要であると考えている。
企業の社会的責任
第26回試験(2018年9月2日)問題[3]
企業の社会的責任に関する行動についての社内への周知徹底に対し,自社の成功事例と失敗事例のどちらかについて,下記の観点から記述せよ.
① 達成しようとした社会的責任の内容
② 社内に周知した方法と内容
③ 対象としたステークホルダー (誰のための行動か)
④ 対象ステークホルダーへの影響度(どのようなことがどれくらい想定されていたか)
⑤ 対象ステークホルダーの反応(結果)
⑥ 成功要因または失敗要因として考えられたこと
⑦ 成功要因または失敗要因を踏まえた標準化への活動
解答例(549字)
私はビーダマン製造メーカーでトリガー射出成型工程の品質保証業務を担当している。玩具という特性上、怪我のリスクにつながるバリやスケールの除去不足は特に重点的に検査が必要である。当社の社会的責任の事例について記述する。
1. 社会的責任の内容
子供たちに安全なビーダマンを提供する責任
2. 社内への周知方法と内容
・月1全体会議での具体的なバリやスケールの除去不足品の実例提示
・エンジニアと作業員向けの品質向上ワークショップ実施
・現場の声を集めるための意見箱の設置とフィードバックの共有
3. 対象ステークホルダー
製品を使用する子供とその保護者
4. 対象ステークホルダーへの影響度
品質低下が子供の安全に直結し、重大な影響の可能性
5. 対象ステークホルダーの反応
品質向上への取り組みが評価され、信頼性向上
6. 成功要因
・品質への意識改革、具体的取り組みの実施
・チェックリスト導入による品質管理の徹底
・社員教育の充実と現場フィードバックの活用
7. 標準化への活動
・端面研削工程でのバリチェックポイントの追加
・トリガーバネの弾力性と耐久性を確保するための材料選定基準の策定
・不良品発生自の迅速な原因分析と再発防止策のドキュメント化
工程異常
第26回試験(2018年9月2日)問題[4]
工程異常の検出からプロセスに対する適切な処置に至る組織的な活動を行うための情報の媒体として工程異常の報告書が活用される.
あなたが関与したまたは自社の事例を用いて,工程異常の報告書に記載する重要な項目についてその内容を具体例によって示したうえで,この事例によって得られた成果,事例からあなたが学んだ工程異常の報告書を活用するときの留意点を記述せよ.
解答例(713字)
私はアイスクリーム製造メーカーにて品質保証部門の指導的立場である。工程異常の検出からプロセスに対する適切な処置に至る組織的な活動について当社の事例を基に記述する。
1. 工程異常報告書の重要な項目と具体例
工程異常報告書には、以下の項目を記載した。
・異常発生日時と場所:フリージング工程において、ミックスの温度が規定値を超えた状態で検出された。
・異常の詳細と原因:温度管理装置の故障により、フリーザー内の温度が規定値を超えて上昇していた。
・影響範囲:該当する時間帯に製造されたアイスクリームの全量が品質不良となる可能性があった。
・対応内容と担当者:生産ラインは直ちに停止され、メンテナンス担当者が温度管理装置の修理を行った。
・再発防止策:定期的な装置の点検と温度管理装置の更新プログラムを導入した。
2. 得られた成果と学び
本事例から迅速な対応が重大な品質問題を未然に防ぐことができるという成果を得ることができた。また、装置の故障は予測が難しく、日頃からの点検とメンテナンスの重要性を再認識した。
3. 工程異常報告書の活用時の留意点
工程異常報告書を活用する際には、記載された情報が正確であること、そして迅速に対応できる体制を整えることが重要である。また、報告書は関係者全員が閲覧しやすい形で共有されるべきであり、今後同様の問題が発生した際に迅速に対応できるよう、過去の事例を活用することが大切である。
工程異常報告書は品質向上のための重要なツールであり、その正確な記述と共有が今後の製造プロセスの安定と品質向上に寄与する。私たちはこのツールを最大限活用し、お客様に安心してお楽しみいただけるアイスクリームを提供し続けていく所存である。
P,A,F品質コスト
第21回試験(2016年3月20日)問題[3]
品質保証,品質管理にかかわる費用を品質コストと呼び,予防コスト(Pコスト),評価コスト(Aコスト),失敗コスト(Fコスト)に分解することができる.
自社(自組織)の事業について,各品質コストにどのようなものが該当するか,コストの状況(総品質コストの多寡やPコスト/Aコスト/Fコストの構成比率など)を可能な範囲で具体化したうえで,そこから読み取れる課題と今後の進むべき方向を記述せよ.
解答例(686字)
私は化粧品製造会社で品質保証業務を担当している。自社のスキンケア製品に関する事例を基に、各品質コストの具体例とその課題、今後の方向性について述べる。
1. 各品質コストの具体例
・Pコスト:原料の品質管理、製造工程の最適化、従業員の品質教育などが該当。例えば、アレルギー反応を引き起こさないように、原料の選定には最大限の注意を払っている。
・Aコスト:製品の安全性と効果を確認するための皮膚テスト、品質検査などが含まれる。
・Fコスト:製品リコールやクレーム対応にかかる費用が該当する。過去には原料の不良による製品リコールがあり、大きな損失を被った経験がある。
2. 品質コストの状況と課題
現状、PコストとAコストが高い水準にあり、品質の維持・向上には成功しているが、コスト効率の面で改善の余地がある。特に、評価コストが高いことから、検査プロセスの効率化や新しい評価技術の導入を検討する必要がある。
3. 進むべき方向
・Pコストの最適化:予防策としての教育訓練やプロセス改善を継続しつつ、その効果を定量的に評価し、コスト対効果を高める。
・Aコストの効率化:評価プロセスを見直し、最新の検査技術を導入することで、より迅速かつ正確な評価を可能にし、コストを削減する。
・Fコストのリスク低減:原材料の品質管理をさらに強化し、製造プロセスのモニタリングを徹底することで、製品不良やリコールのリスクを低減する。
これらの取り組みを通じて、品質の維持・向上とコスト効率の両立を目指し、市場競争力を強化していく必要がある。これは、経済的利益の向上だけでなく、消費者の信頼を得る上でも極めて重要である。
↑QC検定過去問《論述試験》を解答事例含めてさらに詳しく学びたい方は、こちらのテキストがオススメです。