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分散分析(1要因)3つの母平均の差の検定:エクセル解析

 

統計学がわかる ファーストブック

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↑勉強中のテキスト。第6章「3つ目のライバル店現る - 分散分析(1要因)」

p138 確認テスト

 

◆問題

ある小学校で、算数の分数の計算を教えるためのマンガを使った新しい教材を開発した。しかし、この教材の効果は従来のものと比べ、はっきりした差は見られなかった。そこで今回はさらにマンガとテキストをデザインし直して新しいマンガ教材を開発した。

この効果を調べるために、あるクラスでは従来の教材で教え(統制群)、別のクラスでは以前のマンガ教材で教え(旧マンガ群)、もうひとつ別のクラスでは新しいマンガ教材で教えた(新マンガ群)。一日おいて、分数の計算テストをした結果、10店満点で以下のようになった。これを分散分析したい。

f:id:yuinomi:20200906100802p:plain

1.3 つの群における、平均と標準偏差を求めなさい

2.この検定での帰無仮説、対立仮説をいいなさい

3.分散分析表を作りなさい(小数点第3位を四捨五入)

4.有意水準1%としたき、この分散分析表からいえることを書きなさい

 

◆解答

帰無仮説:「統制群、旧マンガ群、新マンガ群におけるテストの平均点には差がない」(=言い換えると、「平均点はすべて等しい」)

対立仮説:「統制群、旧マンガ群、新マンガ群におけるテストの平均点の少なくともひとつの組み合わせに差がある」

 

では、分散分析を行っていく。郡内の平方和と群間の平方和を求める。

郡内の平方和は標本分散xサンプルサイズで計算する。

例えば統制群では標本分散1.57 x サンプルサイズ15=23.60となる。他の群も同様に計算する。

f:id:yuinomi:20200906103340p:plain

次に群間の平方和を求める。

群間の平方和=(郡内平均-全体平均)2  x サンプルサイズで計算する。

 

統制群、旧マンガ群、新マンガ群の3つの群について「郡内の平方和」と「群間の平方和」を計算できた。一旦ここまでを整理すると、以下のようになる。

f:id:yuinomi:20200906103954p:plain

 

平方和の計算はこれで完了なので、次は分散分析表を埋めていく。

まずは、既に求めている群間・郡内の平方和を入力する。

f:id:yuinomi:20200906104134p:plain

 

次は自由度についてだ。

群間の自由度=群の数-1=3-1=2

郡内の自由度については、今回は3つの群でサンプルサイズが異なるので以下の式で計算する。

(統制群のサンプル数-1)+(旧マンガ群のサンプル数-1)+(新マンガ群のサンプル数-1)=(15-1)+(14-1)+(16-1)=42

 よって、群間の自由度2と郡内の自由度42を入力する。

f:id:yuinomi:20200906104144p:plain

 

平均平方は平方和÷自由度で計算する。さらにFは群間の平均平方÷郡内の平均平方だ。

完成した分散分析表を以下に示す。

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計算の結果、F値が5.79となった。あとはF分布表と見比べて、この5.79が起こる確率がどの程度かを見積もればよい。F値は群間÷郡内で計算していたので、群間が分子、郡内が分母となる。

f:id:yuinomi:20200906111200p:plain

http://ktsc.cafe.coocan.jp/distributiontable.pdf

 

F分布表から横軸が自由度2、縦軸が自由度42になるところを読み取る。

黒字と赤字の2つの数値が表にあるが、黒字が有意水準5%(0.05)、赤字が有意水準1%(0.01)を示す。今回は有意水準1%で検定をしたいので赤字を読み取ると、5.15とある。

 

よって、今回計算したF値は5.79 であり、有意水準1%の5.18より大きく棄却域に入るため、帰無仮説は棄却される。(=つまり、対立仮説が採択される)

結論としては、統制群、旧マンガ群、新マンガ群におけるテストの平均点の少なくともひとつの組み合わせに差があることが検定の結果、明らかになった。

  

追加検証:結局、新マンガの教材で成績は上がったのか?

「統計学がわかる」テキストの練習問題としては、上記の結論までで終わっているが、ここからさらに検討を続けてみる。今回の問題は、マンガを使った教育方法を刷新したことで成績が向上したかどうか、が検定したい内容であった。分散分析の結果、従来の方法、旧マンガ、新マンガの3つのいずれかの組み合わせに有意な差があるとわかったのだが、本来知りたかったのはマンガ教材を新しくしたことによって、良くなったのか、変わっていないのか、だったはずだ。

 

そこで、テキストにはないが勝手に追加の検討として、旧マンガ群と新マンガ群の2つを検定してみる。問題文を読むと、今回の検証はそれぞれ別のクラスで実施しているため母集団が異なり、「対応のないt検定」で分析することになる。

 

旧マンガと新マンガについて対応のないt検定を行った結果を以下に示す。

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帰無仮説は「旧マンガ群と新マンガ群でテストの得点に差がない」とする。

細かな計算過程は省略するが、t値が「-1.70」となった。

さて、ではt値が-1.70というのがどの程度の確率で起こることなのかをt分布表で確認する。自由度は(旧マンガ群のサンプルサイズ-1)+(新マンガ群のサンプルサイズ-1)=13+15=28である。有意水準1%(α=0.01)のところを読み取ると、「2.763」とある。

 

f:id:yuinomi:20200906113753p:plain

http://www2.vmas.kitasato-u.ac.jp/lecture0/statistics/ttest.pdf

 

計算したt値は-1.70であり、有意水準1%(-2.763 ~ 2.763の範囲内にあり)帰無仮説は棄却されない。よって、「旧マンガ群と新マンガ群でテストの得点に差がない」と結論付けられる。 

・・・ということで、最も知りたかった新マンガに教材を変えたことによる教育効果は、見られなかったということになる。

分散分析では結果があると出ていただけに少し残念だ。

 

そして、さらについでに、統制群と旧マンガ、統制群と新マンガも対応のないt検定を実施してみることにする。

 

◆統制群と旧マンガ ー対応のないt検定ー

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計算の結果、t値は-1.58となった。自由度は(15-1)+(14-1)=27なので、t分布表から有意水準1%(α=0.01)で2.771のためこちらも帰無仮説は棄却されない。

 

◆統制群と新マンガ ー対応のないt検定ー

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計算の結果、t値が-3.47となった。自由度は(15-1)+(16-1)=29なので、t分布表から1%有意水準(α=0.01)は2.758である。

今回計算したt値-3.47は有意水準1%(-2.758 ~ 2.758範囲より外にあり)棄却域に入っているため帰無仮説は棄却される。

 

以上3回のt検定結果をまとめると、

統制群=旧マンガ群

旧マンガ群=新マンガ群 であるが、

統制群≒新マンガ群 ということになる。

 

(↑上記については、今後も追記します。)