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読書メモ:「来場者4倍のV字回復!サンリオピューロランドの人づくり」 小巻亜矢

 

来場者4倍のV字回復!  サンリオピューロランドの人づくり

来場者4倍のV字回復! サンリオピューロランドの人づくり

  • 作者:小巻 亜矢
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

著者の生来のコミュニケーション能力やコミュニケーションそのものに対しての考え方・捉え方と大学院で対話的自己論を学んだことがパークスタッフの育成や関係づくりに大いに役立ったとわかる。雰囲気を良くするためにスタッフの応対から改善したというのは優先順位的にも費用対効果的にも確かにまずすべきことだったと思う。そして著者は、元々の性格なのかもしれないが楽天家であると思う。ピューロランドを十数年振りに訪れた時の感想からよくわかる。
"課題が明確だということは、良くなる余地が多いということ。すぐにテコ入れできることであふれている。ピューロランドは可能性の宝庫。そう確信しました。"
あれがダメ、これがダメ。だからできない言い訳を探して自分の失敗を正当化するのは簡単だけど、こういう風に考えれるとすべて上手く回り出しそうだ。

 

 *

 

以下、読書での私的メモ。

 

サービス、インフラ、コンテンツ。久しぶりに訪れたピューロランドは課題満載でした。
決してスタッフが悪かったわけではありません。さまざまな要因が複合的に絡み合って、負の連鎖が起きていたのです。素人の私が見ただけでも、ここもダメ、ここもダメとすぐに気がつく。
課題が明確だということは、良くなる余地が多いということ。
すぐにテコ入れできることであふれている。ピューロランドは可能性の宝庫。そう確信しました。
 
 
でも結局、悩んでいる時点で「無理です」という選択肢はない。背中を押してくれる何かがほしかったのだと気付きました。
 
 
「2年で黒字にする」これはもう、ぐずぐずしていられない。すぐに行動を起こすべし。
私自身がビジョンを持とう。自分の中で期限を決めよう。
コーチングでは、期限を決めるというのはとてもパワフルな問いかけです。期限を決めることで、思考も言動も変わります。2年という数字に緻密な根拠はありませんでしたが、やる気や情熱のスイッチが確実に入りました。
 
 
質問を通じて参加者から引き出したかったのは、ピューロランドへの思いです。
組織の力を高めるには、メンバーの思いを引き出し、気づきや原動力に変えることが大切です。
リーダーになった瞬間に、上から「こうしましょう」と押し付ける人もいますが、そのやり方では反発を招くだけです。
 
 
自己開示につながるアイスブレイクを冒頭に入れたのは、スタッフの笑顔を引き出すためです。接客サービスには、笑顔が不可欠です。でも、「笑顔になってください」とお願いしたところで、できない人は100回言っても無理です。
一方、自分のことを話すと大抵、人は照れくさくなったりして思わず笑みを浮かべます。表情は、心のありように直接繋がります。オープン時間前に朝礼で表情を緩めておくと、仕事中も笑顔で、前向きに過ごしやすくなります。
 
 
「どう?」
声をかける時に使う定番フレーズです。「どう?」という言葉には「最近の仕事はどう?」や「体調はどう?」など、いろいろな意味が含まれます。相手が抱えているモヤモヤや、私に伝えたいことを引き出せる魔法の2文字です。
 
 
人の不幸の上に成り立つ仕事なんて、みじめだ。他人の足を引っ張るエネルギーを、どうして前向きな力に転換できないのだろう。それぞれ頑張っているのは同じなのに、満たされない思いは自己研鑽ではなく、他者批判や他者への攻撃で埋めようとしている。世間の女性たちの悲しい現実に、自分の無力さを痛感させられました。同時に、会社にいたときは当然だったサンリオのカルチャーの崇高さが私の中で際立ってきました。
「みんななかよく」という理念を掲げていた、サンリオの職場が恋しくなりました。
 
 
そのうち、肌の悩みの根本にあるのは心の悩みだと気付きました。
女性の悩みは経済的な自立はもちろん、精神的に自立していないから生まれるのではないか。女性が美しく「自分を生きる」には、化粧品で見た目をきれいにするのではなく、精神的・経済的に自立することこそ大切なのではないかと思うようになりました。
 
 
ひとりの自分という存在のなかには、さまざまな価値観や役割、得意なこと、不得意なこと、理想像などがあります。自分というのは、いろいろなシーンに応じて変わっていくものです。そして、そこには常に感情が付いてきます。
今の自分は何を感じ、どうしたいのか。自分と向き合いながら理解するのが対話的自己論の核です。この手法を知ることで、自分を客観視しつつ、その時々で納得しながら道を選択することができます。