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読書メモ:「最強の働き方」 ムーギー・キム

 

” 「気付かなかった基本、知らなかった仕事術」を求めて書店をさまよっている人がいるが、大切なのは、知っているのだが身についていない「本当に大切な基本」への納得度と目線を高め、これらを確実に実行に移すことなのだ。 ”

序盤に出てくるこの一文と出会えただけで、本の値段のモトは十分に取れたと思う。
副題にもあるが著者が仕事を通して出会った色々な凄い人が次々出てくるのだが、その紹介は大体が『業界最大手の某投資銀行でトップアナリストとして活躍する○○さん(仮名、○歳)』といった調子が続くので、本当にこの人たちはすべて実在するのか?と凄い人たちが登場すればするほど逆に創作臭が増して、本の内容を鵜呑みにする前にきびしく吟味したくなる。インドでの結婚式のくだりで友達紹介があって、確かにINSEAD時代の財産としての友人は多いのはわかるが、あまり仮名等のぼかしが入った、けれど経歴抜群な人が出てくるとよくある米系の有名な成功哲学にオーラが似てくる。
お土産のコップ選びに徹底的にこだわる上司の話は実用的で、実践的ですごく参考になった。

 

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以下、読書での私的メモ。

 

ビジネススクールで「モンテカルロシミュレーション」を学ぶより、メールを一瞬で返した方が出世は早い。マーケティング4Pでぶつぶつチャートをつくるより、目線を高くして、顧客の期待を上回る心構えを持つ方が大切だ。
 
 
「気付かなかった基本、知らなかった仕事術」を求めて書店をさまよっている人がいるが、大切なのは、知っているのだが身についていない「本当に大切な基本」への納得度と目線を高め、これらを確実に実行に移すことなのだ。
 
 
よく「一流とそうでない人の違いは何ですか?」と聞く人がいるが、一流の人はなにも「目新しい、聞いたことのないウルトラCを実践している」わけではない。誰も知らなかった秘宝など存在せず、そもそもこれら、既知の基本の一つひとつの達成度に、大きな差がついているのだ。
 
 
こうした「文章を短くすることへのこだわり」は仕事能力を大きく左右する。まずなんといってもお客さんは忙しい中、大量の書類に目を通すので、長い文章をじっくり読んでくれる時間などない。またそもそもメールは短くないと焦点がぼやけてしまい、それだけ肝心なポイントが忘れられやすくなる。
 
 
メモを完璧にとることは、仕事の安心感と信頼性を高めるうえで絶大な効果を発揮する。そもそもお客さんに満足してもらうためには相手が話していたことを完全に把握しておくことが基本だし、上司に喜んでもらうためには自分がリクエストされたことを漏れなく把握しておく必要がある。
仕事ができて信頼される人というのは、「この人に任せておけば、言ったことは正確に理解され、漏れなく実行してもらえる」という安心感を与えるものだ。
 
 
構造化されたメモは、高い論理的思考能力の象徴
一流の人のメモは、それをワードに起こすだけでそのままミーティングメモとして通用するし、そのピラミッド構造に整理されたメモを部下に渡すだけで、立派なパワーポイントスライドに変換することも可能である。
結果的にミーティングの時間が無駄にならず、ミーティングが終わるころには話の要点とネクスト・ステップがまとめられていて、見事なミーティングメモが出来上がっている。
 
 
整理能力が高い人は総じて調査能力も高く、仕事も速いうえに正確で、仕事の生産性が全般的に高いのだ。
 
 
人の評価は、客観的事実ではなく主観と感情で決まる要素が大きいだけに、そもそも「いいやつだ」と認識されているかどうかは、キャリア上の出世にとって決定的に重要だ。
 
 
この実験では、アメリカの研究家、ウォルター・ミシェルが4歳の子どもにマシュマロを与え、15分間我慢したらあとでもうひとつのマシュマロを与えるとしたものだ。
その後、長期にわたってマシュマロを我慢できた子とそうでない子の人生をトラックしたところ、その後の学力や職業、収入で大きな差がついていたのだ。これは一見、「食い意地が張っている」と笑い飛ばして終わる問題ではなく、人生全体を左右する「自制心」の象徴的な問題なのだ。
「満足を得るタイミングを遅延させることができるかどうか」は、目先の利益より長期的利益を選べるかという自制心をあらわすのである。
 
 
人の精神年齢の自然成長は、20歳くらいで止まることが多い(精神年齢の自然成長とは、放っておいても発達していく精神年齢のことを指す)。
人によっては中学生くらいでピタリと精神年齢の成長が止まる人もいる一方で、30、40、50になってもどんどん成長していく人もいる。この差はひとえに「いかに偉くなっても、自分はまだまだ足りないと自戒し、向上心をもって勉強する習慣をもっているかどうか」にかかっているのだ。
学習習慣がない人は、自分の限られた知識と経験値だけで勝負してしまいがちだ。新たな積み重ねがないので、会って1時間は面白い話ができても、あとが続かない。その後1ヶ月後に再会、いや、1年後に再会しても、下手したら5年後に再会しても、人としての成長を一切感じさせないのだ。
 
 
しかしよくよく聞いてみると、主に藤原和博さんのような立派な先生方が言っていたことを受け売りして語っているだけで、自分は何もできていないのである。彼らは何かを表層的にかじることはできても、「実行できるほどの深い体得」からは程遠い。実行できるのは「居酒屋での、人生経験が浅い後輩への説教のみ」という、たんなる似非評論家の人も少なくないのだ。
結果的に、いろいろなことを少しずつかじり評論はするものの、何も実行できないという「器用ビンボー」ならぬ「啓発ビンボー」が多発しているのだ。
 
 
教養に関しては常に幅広く視野を拡大して世界観を広げるのが望ましい。しかし、自分が「これで食べていく」という職業に関しては、考えてばかりではなく、実行に移すエクセキューションで勝負しなければならないのだ。
 
 
いつまでも「スキルアップ」や「来る勝負の日に備えての準備」という大義名分で、自己啓発にばかり励んでいる場合ではない。「この勉強、面白い!」という理由だけで勉強ばかりしている人は、「啓発貧乏神」にとりつかれて結局、自己実現ができないのだ。
さあ、啓発貧乏神様を企業家精神(アントレプレナーシップ)で除霊しよう。勉強家・評論家・批評家で終わるのではなく、実際に一回やって見せることの方が、よっぽど大切なのだ。
 
 
仕事の質にこだわる お土産のコップ選びひとつにも徹底的にこだわる
 
 
ほかの人がやらないレベルで「エキストラ・ワンマイル」を行く
「エキストラ・ワンマイル」を行くリサーチをしているか
「限界点からストレッチしているか」
 
 
会社に「レガシー」を残す
「レガシー」というのは「その人が組織を去っても残る組織的財産」のことである。「組織的財産」はたとえあなたが会社を辞めて給料が発生しなくなっても引き続き会社に便益をもたらしつづけるので、会社にとってこれほどありがたいことはない。そういう期待以上の働きをする一流の人材は人材マーケットでは引っ張りだこになるし、在籍する会社の中では出世コースを駆け上がることになる。
こう考えた時、いままで私たちは転職したとき、もとの会社に「自分がいたからこそもたらされた肯定的な組織的変化」を残してきただろうか。また、いまから次の会社に移る前に、そのようなレガシーを自分のいまの会社にもたらしているだろうか。
 
 
悪い情報を先出しせよ
「将来予測のほとんどははずれる」と思っておくのが基本であり、賢明な人ほど失敗したときの対応力も立派である。彼ら彼女らは、予測が当たるかどうかよりも、予測が間違っていたことが判明した場合に、速やかにその旨を報告し、自ら信頼回復のリカバリーショットを打てるかどうかが重要になることを知っている。
これに対して二流の人ほど下手な言い訳を重ねたり自説に固執したりして、結果として傷口を広げてしまうことが多いのだ。失敗したときに信頼を保つポイントは、物事がうまくいかなくなったときに、「透明で正直、時に心配になるほどバカ正直」という印象を与えることである。
難しいことだが結局自分を守るのは、間違ったことが判明した時点で、いかにそれが言いづらくても、正直に開示することである。自分にできる防衛策は「透明性を担保することだけ」と言い聞かせなければならない。
 
 
「ムーギー、香港のタイクーンとか見てみろ。ビジネスをみんな10個も20個もやって大儲けしているだろう?今後は好きなビジネスを4つ、5つは自分でやるようでなければ、割に合わない人生が待っているよ」
「好きなことは何なんだ? 好きなことは全部やれ」と「5年後どうなっていたいんだ? それに近づくことをやれ」という言葉であった。