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読書メモ:『「スマート革命」で成長する日本経済』 片山修

 

「スマート革命」で成長する日本経済

「スマート革命」で成長する日本経済

  • 作者:片山 修
  • 発売日: 2013/07/05
  • メディア: Kindle版
 
図書館で借りて飛ばし読み。家庭の電力量計に通信機能を持たせてリアルタイムで使用量/コストを見える化すれば確かに節電の意識は持つかもしれないが、それ以上に発展することもない。スマート化は単品で実施しても効果が薄く、ひとつの家庭の中でも幅広い機器が、供給側の電力会社も含めた地域全体がつながることによってシナジー的に効果が増してくるのだろう。その”効果”というものが、具体的にどんなものでどれだけのうれしさがあるかと言うのは、まだ実は明確になっていなくて、スマート化によって即時性と双方向の情報授受が実現できた時、どんなことができるかを実証試験で模索している段階のように思えた。
パッケージ型インフラ輸出については日立やJR東日本の取り組みが紹介されていて、今後の日本の経済的成長について希望を持てるような内容だった。単品販売のコストだけでは勝負できないので、運用ノウハウや保守、周辺サービスなど包含的にパッケージ化してこそメリットが出せるのだろう。
 
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以下、読書での私的メモ。
 
現在、注目されている「パッケージ型インフラ輸出」の一つに、鉄道の海外輸出がある。
世界の鉄道マーケットは、西ヨーロッパやアジア大洋州を中心に、平均2.5%で成長し、20年に22兆円規模に伸びると予測されている。
『ジャベリン』を通して、信頼性の高さを証明できたのが、一番のポイントだと思います。11年2月に『ジャベリン』は、無故障走行距離26万kmを記録し、全英の電車の中で最高の信頼性を実現しました。英国の鉄道の無故障走行距離の平均が4.6万kmということからも、『ジャベリン』の信頼性がいいか、おわかりいただけると思います。
 
「環境変化のメガトレンド」の第一点は、「人口増加」と「都市集中化」だ。この二点は、とくに新興国で顕著であるという。
11年10月末、世界の人口は、70億人を突破した。今後もアジア、アフリカを中心に増え続け、50年にはこれらの地区の人口はさらに1.5倍に膨らむとみられている。その頃、世界の人口は、91億5000万人になる。とりわけ新興国では、都市への人口流入が加速している。都市集中化だ。1950年に29%にすぎなかった世界の都市人口は2009年に約50%まで上昇した。
 
 
インフラ系のビジネスは、ゼロから始めたら時間がかかるし、市場で認知されて、お客さまを獲得するまでが難しい。だから、すでに市場でプレゼンスを持つ会社を買うわけです。
 
 
ダイナミックプライシング
 
首都圏の電気消費量はイタリア一国分を上回る
安定した高品質の電気が求められるのは、とくに産業用の電気である。なかでも製造業において、周波数の変動は、製品の品質や工程に影響を及ぼす。日本の産業は、世界最高水準の電気のほか、停電が少ないといった高い信頼性によって、支えられている。
 
 
JR東日本は、世界の鉄道と比較して、三つの特徴的要素がある。
第一に、駅、車両、軌道のほか、電力供給、信号、ITシステム、土木構造物など、鉄道インフラのすべてを保有する、完全統合型の鉄道モデルを構築している。そして、オペレーションやメンテナンスも行なっている。
第二に、鉄道に関わるエネルギーシステムをすべて保有しており、供給側と需要側の双方で電力のきめ細やかな制御を実現するなど、スマート化に関する技術やノウハウを提供できる。
第三に、鉄道車両の製造工場「新津車両製作所」を持ち、鉄道車両のライフサイクルのすべてに関与している。