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読書メモ:「ロボットとシンギュラリティ」 木野仁

 

ロボットとシンギュラリティ

ロボットとシンギュラリティ

  • 作者:木野仁
  • 発売日: 2019/08/27
  • メディア: 単行本
 

ロボット工学者が過去から現在までのロボットの変遷について冷静に語った本。著者によると昨今マスコミで喧伝されているようなAIや人工知能の発達によって、特定の職業が今後10年でなくなるといったことは過剰に煽りすぎだと指摘する。偏りすぎていないのでニュートラルな気持ちで読めた。
本書で紹介された様々なロボットの中で興味を持ったのは、TITAN-XI、東大の情報システム工学研究室が開発中の空中浮遊するドラゴン、ロシアの原子力魚雷ポセイドン。3つ目はロボットに該当するのか微妙だが、人工知能で海中を自動航行するのである意味ロボットと言えるだろう。ロボットの種類や最新技術について広く学べる良書だと思う。

 

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以下、読書での私的メモ。

 

先駆的な四足ロボットで特に有名なのは、広瀬茂男・東京工業大学名誉教授が中心に開発したタイタンシリーズである。タイタンシリーズには様々なものがあり、単なる四足移動だけでなく、足裏にローラが取り付けられ、整地を移動する際にはローラースケートのように移動するものもある。
 
 
ドローンの発展系、その名も「ドラゴン」。東京大学情報システム工学研究室で開発された空中ロボットである。4つのリンク部が関節により接続されていて、それぞれのリンクには2つの小型プロペラが装備されており、全体では8つのプロペラが装備されている。
 
 
 
軍事目的の極めつけが核兵器を搭載した「核魚雷」である。ロシアが開発している原子力魚雷「ポセイドン」はAUVの魚雷で、人工知能を用いて長距離を自動航行する。つまり攻撃目標の位置を入力すれば、あとは自動航行で障害物などを回避しながら海中を移動し、目標物に攻撃するというものだ。動力が原子力であるため数千kmの航行距離を持つだけでなく、最も恐ろしいのがポセイドンは核弾頭を搭載可能な点である。一度発射されれば海底を静かに航行し、レーダーなどで見付けられる可能性は極めて低い。
 
 
多くの探査車は複数のタイヤを用いた移動機構を有する。ただし、一般の自動車とは異なり、パンクの恐れがあることや気圧の関係で自動車用のタイヤは使われず、専用に開発されたホイールを駆動させる。本体背面には充電用の太陽電池パネルを有し、日中に充電を行なってその電力で移動や計測などを行うものが多い。本体には各種センサやロボットアームなどを搭載し、様々な作業を行う。当然、天体では作業する数ヶ月〜数年は修理が一切できないので、通常のロボットよりもかなりの堅固さを要求される。
2011年に打ち上げられたNASAの火星探査用の宇宙船「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」には火星地上用の探査機「キュリオシティ」が搭載された。キュリオシティは2012年より現在までの8年以上の長期間にわたり、火星での調査を続けている。
 
 
一般に火山噴火は地震ほど頻繁には起きないため、そもそも我々の生活にも馴染みがなく、火山噴火に対する防災意識も低い。しかし、火山は大きな噴火が起こると、桁違いの被害を及ぼす可能性がある。
例えば、九州南部の海中火山(鬼界カルデラ)では約7300年前に破局噴火を起こしており、縄文文化で栄えていた九州を壊滅させたと言われている。その火山は現在でもランクAの活火山に指定されており(気象庁)、今日も破局噴火の危険性が指摘されている。