本記事のテーマ
QC検定1級 論述試験(二次試験) 手法分野 過去問の具体的な解答例を共有する
本記事のターゲット
・QC検定1級取得を目指して勉強を頑張っている受検者
・参考書や過去問で勉強できる手法や実践と違って、
論述はどのように対策すれば良いか分からず、困っている方
・自分の論述問題の解答がどのくらいの点数なのか分からず、悩んでいる方
・QC検定1級合格者の論述解答例を参考にしたい方
・準1級合格者で二次試験のみ受検(一次試験免除)で”絶対”に合格したい方
上記の方に向けて記事を書きます。
★先にこちらの記事をお読みください。
↑ 今回の記事は上記の”続き”です。あまりに文字数が多くなったため、記事を分割しました。
★関連記事はこちら《実践分野に関する論述問題と解答事例集》
↑ 実践分野の論述過去問と解答例は上記の記事でUPしています。
品質管理検定レベル表(Ver.20150130.1)が改訂され、それが適用された第20回試験(2015年9月実施)の過去問から問題文と具体的な解答例を掲載していきます。
実験計画法における完全ランダマイズの重要性
第20回試験(2015年9月6日)問[1]
問題
実験計画法を活用する際,完全ランダマイズの重要性を説明せよ.さらに,完全ランダマイズができない場合の対処方法について,あなたが関与したまたは自社の事例を用いて記述せよ.
解答例(708字)
私はプラスチック製品の製造会社で品質保証業務の担当者として勤務しており、射出成形工程の管理をしている。実験計画法における完全ランダマイズの重要性と、それが困難な場合の対処法について記述する。
1.完全ランダマイズの重要性
目的:実験結果を歪める外部要因を排除し、真の因果関係を把握する。
効果:実験条件の影響を正確に評価し、変動やばらつきをランダムな誤差として扱う。
2.射出成形工程における適用
背景:成形条件が製品品質に大きく影響する。
問題:機械差や環境変化などコントロール不能な要因が存在する。
解決策:完全ランダマイズで外部要因の影響を最小化したい。
3.完全ランダマイズが難しい場合
背景:生産ラインや機器の差、時間帯による温湿度の変動など、完全にランダマイズが困難な状況が存在。
対処法:似た特性を持つグループ(ブロック)を作り、その中でランダマイズするブロック配置法を採用。
事例:特定の機械が温度変動に弱いと判断された場合、その機械を使用する試験は別のブロックとして設定し、同じブロック内でランダマイズを実施。
効果:外部要因の影響を部分的にコントロールし、より正確な実験結果を得ることが可能になった。
4.結果と評価
成果:外部要因の影響を抑え、正確な実験結果を得た。
評価:製品品質のバラツキが減少し製造プロセスの安定化を確認できた。
5.まとめ
ブロック配置法等の工夫により、完全ランダマイズが困難な状況でも品質保証の向上と製造プロセスの最適化が可能である。
この方法を通じて、製品品質の向上と製造プロセスの安定化に貢献した。完全ランダマイズ及び適切な対処法は、プロセスの特性を正確に把握し、品質保証を図る上で重要な手法である。
疑似相関
第20回試験(2015年9月6日)問[2]
”見せかけの相関(または,擬似相関)” への対応について,あなたが関与したまたは自社の事例 を用いて記述せよ.
解答例(688字)
私は食品製造会社で包装および検査工程の責任者を務めている。「見せかけの相関(擬似相関)」について、私が直接関与した事例を用いて記述する。
1. 擬似相関について
擬似相関は、二つの変数が統計的に相関関係にあるように見えるが、実際には第三の変数が両者に影響を与えているために生じる誤った相関関係である。
2. 問題の発生
当社の工程で、包装速度を上げると製品の不良率が上がるというデータが出てきた。最初は生産効率の向上が品質に悪影響を与えていると捉えられた。
3.擬似相関の解明
この問題に対処するため、包装速度と不良率の間に存在する第三の変数を特定する作業を行った。調査の結果、真の原因は機械の保守不足であることが明らかになった。包装速度が上昇すると機械の摩耗が激しくなり、それが不良率の増加に繋がっていたのである。
4. 対応策
この発見を受けて、機械の保守計画の見直しとともに、包装速度の上昇に伴って保守の頻度を増加させることを決定した。さらに、機械の部品をより耐久性のあるものに交換することで、安定した品質を長期間維持できるように指導した。
5. 結果
これらの対策を実施した結果、包装速度を上げても不良率が上昇するという問題は解消され、生産効率と品質を同時に向上させることが可能となった。これにより、顧客満足度が向上し、企業としての信頼性も高まった。
この事例を通じて、擬似相関に惑わされずにデータの背後にある真の原因を見極め、適切な対策を講じることの重要性を学んだ。また、生産効率と品質は必ずしも相反するものではなく、適切な管理と改善策によって両者を両立させることができるということを実感した。
回帰分析
第21回試験(2016年3月20日)問[1]
問題 [1]
回帰分析で作成したモデルの妥当性を確認する方法とその重要性について,あなたが関与したまたは自社の事例を用いて記述せよ.
解答例(714字)
私はミニ四駆の製造会社で品質保証業務を担当する責任者として、品質の維持向上を目指して日々の業務にあたっている。製品の品質に関するデータを解析し、製造プロセスの最適化を図るために回帰分析を利用している。
1. 問題点の特定
多色成形技術を用いる際、異なる材質や色の樹脂を一体成形する過程で、温度や圧力の微妙な変化が製品の品質に影響を与えることがわかっていた。これにより、バリ、ショートショット、ヒケなどの不良が発生していた。
2. 回帰分析の利用とその妥当性の確認
製造プロセス中の温度や圧力、冷却時間などのパラメータと製品の不良率との関係を調査するために回帰分析を利用した。その結果、特定のパラメータが不良率に影響を与えていることが明らかになった。回帰分析で作成したモデルの妥当性を確認するため、残差分析を行い、モデルがデータに適切にフィットしているかを確認した。残差プロットを作成し、残差がランダムに分布しているかを確認することで、モデルの妥当性を評価した。
3. 改善策の実施と成果
回帰分析を通じて得られた知見を基に、製造プロセスの条件を調整し、不良率を低減することに成功した。これにより、製品の品質が向上し、顧客満足度の向上と製造コストの削減が実現された。
4. 今後の課題と展望
今後は、さらなるデータの収集と分析を行い、製造プロセスの最適化を図っていく。また、機械学習を利用した予測モデルの構築も検討しており、より高度な品質保証を実現することを目指している。
回帰分析によるモデルの妥当性を確認し、それを基に製造プロセスを最適化することは、品質の維持向上とコスト削減に直結する。このプロセスを通じて、当社製品の品質保証と効率化を実現している。
管理図の活用と実験計画法
第21回試験(2016年3月20日)問[2]
プロセスの維持管理にとどまらず,さらなる改善を行った際に,どういう視点で管理図を活用し,その結果をどのように実験計画法に結び付けていったか,さらにその結果を維持管理にどのように結び付けたか,あなたが関与したまたは自社の事例を用いて記述せよ.
解答例(732字)
私はミニ四駆の製造会社で品質保証部門を担当し、製品の品質向上と製造プロセスの効率化を指導している。ボディの射出成形プロセスにおいて管理図を活用し、その結果を実験計画法に結び付け、さらにその成果を維持管理に活かすための取り組みを行った。当社の事例を以下に記述します。
1.管理図の活用
当社では、ミニ四駆のボディ製造において、射出成形機を利用している。管理図を活用し、製品の寸法や外観に関するデータをリアルタイムで監視した。バリ、ヒケ、そり等の形状に関する不良が発生した際には、迅速に原因を特定し、プロセスの調整を行った。この取り組みにより、製品の品質安定化を図ることができた。
2. 実験計画法との結び付け
管理図によりプロセスのバラツキを把握した後、実験計画法を用いてプロセスの最適化を図った。スクリューの速度、材料の補給量、冷却時間等の加工条件を変えながら実験を行い、品質に最も影響を与える要因を特定し、最適な加工条件を設定した。これにより、品質のばらつきを抑え、製造効率の向上を実現した。
3. 結果の維持管理への結び付け
改善されたプロセス条件を新たな標準として設定し、継続的に管理図を用いて監視を行った。これにより、品質の安定とともに、生産効率の向上を維持することができた。また、新たな不良が発生した際には、再度管理図と実験計画法を用いて原因を特定し、迅速に対応する体制を整えた。
4. まとめ
管理図と実験計画法を組み合わせることで、ミニ四駆のボディ製造プロセスの品質向上と効率化を実現できた。品質保証部門の責任者として、この取り組みをリードし、チーム全体で継続的な改善を図った。このアプローチにより、高品質かつ効率的な製品製造が可能となり、市場競争力を高めることができた。
分割実験
第22回試験(2016年9月4日)問[1]
通常の実験では,実験順序はランダムとすることが大原則である.しかし,ある因子の条件をたびたび変えるのは技術的,経済的に困難なことがあり,ランダムに水準を変えることは不可能に近いこともある.そのような場合に用いられるのが分割実験である.分割実験について,あなたが関与したまたは自社の事例を用いて,解析の具体的な方法について記述せよ.
解答例(694字)
私はミニ四駆の製造会社で品質保証の責任者として、日々の品質管理と製品の品質向上の指導的立場である。分割実験に関する具体的な方法と当社の事例について記述する。
1. 分割実験の概要
分割実験は、全ての因子の水準をランダムに変更することが難しい場合に適用される手法である。この方法を用いることで、効率的に必要なデータを収集し、品質向上を図ることが可能である。射出成形機の設定変更は時間とコストを要するため、分割実験を採用した。
2. 問題点と対策
射出成形プロセスでは、ボイドや偏肉などの不良が発生しやすい。これらを防ぐためには、機械の設定を最適化する必要があるが、全ての条件をランダムに変更すると時間がかかりすぎる。そこで、影響が大きいと考えられる主要な因子から順に最適化を進める分割実験を採用した。
3. 分割実験の具体的な手法
分割実験では、影響が大きいと予想される因子を選び出し、その因子のみを変更して実験を行う。他の因子は固定する。この方法により、効率的に最適な条件を見つけ出すことができる。具体的には、「射出速度」「保圧時間」「冷却時間」を調整し、不良率の低減を図った。
4. 実施結果と今後の課題
分割実験を実施した結果、不良率は大幅に低下し、製品の品質は向上した。しかし、改善の余地はまだ残されており、継続して分析と改善活動が必要である。材料の品質や環境条件が変わると、最適な条件も変化する可能性があるため、定期的な見直しと更新が求められる。
以上が分割実験に関する具体的な方法と私が関与した事例である。品質の向上と効率的なプロセス改善を実現するために、分割実験は有効な手法であると考えている。
主成分分析
第22回試験(2016年9月4日)問[2]
主成分分析は,品質問題を解決するのに役立つ多変量解析手法の一つである.主成分分析を用いて品質問題を解決するにあたって留意すべき点を,あなたが関与したまたは自社の事例を用いて記述せよ.
解答例(724字)
私はビール製造工場で品質保証の責任者として従事している。ビール製造の各プロセスでの品質管理は、製品の最終的な品質に大きく影響する。当社で主成分分析を利用した品質問題の解決事例について記述する。
1. 問題の特定と背景
ある時期、微妙な風味の違いが報告された。風味はビールの重要な品質特性であり、顧客満足に直結しているため、深刻な問題であった。原因究明のため、各工程のデータを収集し分析を行った。
2. 主成分分析の利用
主成分分析は、多数の変数から主要な情報を抽出し、データのパターンを明らかにする手法である。原料の品質データ、仕込み条件、発酵状況、熟成環境、ろ過条件など製造プロセス全体のデータを収集し、これらのデータを主成分分析にかけることで、風味の違いを引き起こしている主要因子の特定を行った。
3. 問題の解決とプロセスの改善
分析の結果、原因は原料の麦芽にあることが判明した。特定のロットの麦芽の品質が劣っており、これが風味に影響を与えていた。原料の受け入れ基準を見直し、品質管理を強化した。また、仕込み工程でも微調整を行い、風味に影響を与える要因をコントロールした。
4. 成果と今後の課題
改善の結果、製品の品質は安定し、顧客満足度が向上した。この経験から、原料の品質管理の重要性と、多変量解析手法を用いたデータ分析の有効性を改めて認識した。今後は、予防策としてこれらの手法を積極的に取り入れ、常に品質改善に努めていく必要があると感じている。
このケースでは、主成分分析を用いることで、複雑なデータの中から問題の原因を迅速に特定し、適切な対策を講じることができた。これは品質保証の分野において非常に有効な手法であり、今後も積極的に活用していきたいと考えている。
ワイブル確率紙
第24回試験(2017年9月3日)問[1]
あなた自身が関与した,ワイブル確率紙あるいは累積ハザード紙を用いてデータを解析し,問題の解決あるいは信頼性の向上を実現した事例について,QC ストーリーに則して説明せよ.
また,その際のデータの取り方,ワイブル確率紙あるいは累積ハザード紙の使い方についての注意点も併せて述べよ.
解答例(717字)
私は油圧ショベル製造メーカーの品質保証の責任者として、製品信頼性向上と問題解決を指導している。当社のスイングフレーム製作工程において発生する溶接不良に着目し、ワイブル確率紙を使用したデータ解析を行った。
1. 問題の特定
溶接不良が頻発し、製品全体の品質に影響を与えていた。不良の種類と発生頻度を解析し、その原因を突き止める必要があった。
2. データ収集とワイブル確率紙の選定
製品の故障率が時間に依存する特性を把握するため、不良製品のデータを収集し、ワイブル確率紙にプロットした。これにより故障データの分布を明らかにし、製品の信頼性を評価した。この手法は、故障データの分布を明らかにし、製品の信頼性を評価するのに適している。
3. 解析とメリット
ワイブル確率紙にプロットしたデータから、不良の発生パターンと故障率の時間依存性を解析した。この解析により、故障率の変化を視覚的に把握できた。不良がランダムか時間依存かを判断でき、原因特定と対策の優先順位付けが可能となった。
4. 問題解決と信頼性向上
解析結果をもとに、特定の溶接工程と材料の品質管理を強化した。これにより、溶接不良の発生頻度を大幅に減少させ、製品の信頼性を向上させた。ワイブル分析を利用することで、迅速かつ効果的な問題解決が実現した。
5. 今後の展望
この事例からワイブル分析が製造プロセスにおける問題解決と信頼性向上に有効であることが確認できた。引き続きデータ収集と解析を行い、品質と信頼性向上を図っていく。
以上が、私が関与したワイブル確率紙を用いたデータ解析による問題解決と信頼性向上の事例である。活用においては、データの正確性と外れ値に注意し、バラツキを正しく解釈することが重要である。
X-R管理図
第24回試験(2017年9月3日)問[2]
X-R管理図に関して,データの取り方,作り方,考察の仕方を初心者に教える際の留意点について,あなたがこれまでに関与した事例に基づいて説明せよ.
解答例(683字)
私はボルト製造工場の品質保証責任者として製品品質の維持と向上を指導している。品質管理の一環として、X-R管理図を使用して製造プロセスの変動を監視し、適切な品質保証を行うための教育ポイントと留意点を記述する。
1. データの取り方
X-R管理図を作成する前に、適切なデータ収集の重要性を伝える。トリミング工程を例にとると、毎時ランダムに5本のボルトを抜き取り、寸法を計測する。このサンプリングは、工程全体の状態を正確に反映するため、一定期間にわたり継続的に行う。
2. X-R管理図の作り方
得られたデータをもとに、各サンプルの平均値(X)と範囲(R)を計算し、X-R管理図を作成する。管理限界を設定し、プロセスが管理下にあるかどうかを判断する。
3. 考察の仕方
X-R管理図を使用する目的は、プロセスの安定性を確認し、異常があれば早期に発見し対策を講じることである。管理図上で点が管理限界を越える、あるいは不規則なパターンを示す場合、プロセスに問題が存在する可能性がある。これをトリガーに原因分析を行い、必要な改善策を実施する。
4. 初心者への教育ポイント
X-R管理図の使用目的と重要性を理解させることが最初のステップである。次に、データの正確な取り方、管理図の正しい作り方を指導し、実際にデータを使って練習させる。また、異常パターンが出た際の対応策も教育する。
5. 留意点
X-R管理図を効果的に使用するためには、定期的な教育と訓練が不可欠である。また、データの取り方や管理図の読み方に誤りがないよう、注意が必要である。プロセスの変動を正確に把握し、品質向上へつなげることが目標である。
品質工学におけるパラメータ設計
第25回試験(2018年3月18日)問題[2]
品質工学におけるパラメータ設計の基本的な考え方を記述せよ.特に,静特性のパラメータ設計と動特性のパラメータ設計の違いについて記述せよ.
次に,あなたが関与したまたは自社のパラメータ設計の事例を用いて,成功した場合には何が功を奏したのか,うまくいかなかった場合には何が原因だったのかを記述せよ.
解答例(735字)
私はビーダマン製造メーカーにおいてバネ工程の品質保証責任者を務めている。品質工学の中で特に重要なパラメータ設計の基本と、静特性及び動特性の違いについて当社の事例を基に記述する。
1. パラメータ設計の基本
品質工学におけるパラメータ設計は、製品やプロセスの性能を目標値に近づけ、外部からのノイズや変動の影響を最小限に抑えることを目的とする手法である。
2. 静特性のパラメータ設計
静特性はバネが外部からの影響を受けず、静かな状態でどのように振る舞うかを指す。ある特定の荷重がバネにかかったときに、バネがどれだけ変形するかを測定することが静特性の評価であり、ばね定数、材質、コイルの巻き数、線径などの要素がある。
3. 動特性のパラメータ設計
動特性はバネが動作中や外部の変動がある状態での性能を指す。バネが繰り返し圧縮、解放される過程での耐久性や、温度変化といった外部条件の影響を受けても製品の性能が安定するよう調整することが重要となる。例えば、疲労限度を超えない耐久性設計、動摩擦の管理、応力集中の回避である。
4. パラメータ設計の成功事例:バリ除去
コイリング工程後のバリを効果的に除去するために、主要な制御因子として、研削工具の種類、研削速度、圧力を選定した。バリの大きさや形状のばらつきといったノイズ因子を識別し、バリ除去の効率と品質を測定する実験を計画し、データを収集した。収集したデータを分析し、品質を最大化するための最適な制御因子のレベルを決定した。
ビーダマンという子供が使用する玩具においては、品質と安全性が最優先であり、適切なパラメータ設計が不可欠である。静特性と動特性の違いを理解し、継続的な改善と教育を通じて、製品の品質と安全性を確保していくことが我々の使命である。
回帰分析と残差の検討
第26回試験(2018年9月2日)問題[1]
回帰分析は回帰モデルに基づく統計的手法であり,回帰モデルの誤差項にはいくつかの仮定が置かれている.誤差項に置かれた仮定の妥当性を,残差を用いて検討することは,回帰分析において重要なプロセスである.
あなたが関与したまたは自社の事例のなかで,残差の検討の重要性を感じた事例について,その事例を簡潔に示し,実施した残差の検討方法,その検討によって発見された問題点およびその対処方法と成果を整理して記述せよ.
解答例(689字)
私はミニ四駆の製造会社で品質保証業務の責任者として従事しており、射出成形加工における品質保証を担当している。残差の検討の重要性を体感した事例とその対応について記述する。
1. 問題の発生とその背景
当社の射出成形ラインでミニ四駆のボディを量産している際、特定のロットでヒケとそりの発生率が通常よりも高くなるという問題が発生した。射出成形機の構造として射出装置、型締め装置、金型があり、それぞれのパラメータが品質に影響を及ぼしていた。
2. 残差の検討方法と発見された問題点
この問題を解決するために、射出成形の各パラメータとヒケ、そりの発生率との関係を回帰分析により検討した。残差を用いて回帰モデルの誤差項の妥当性を評価したところ、特定の条件下で残差が系統的なパターンを示していることが判明した。これは、モデルがデータを適切に説明できていないことを意味し、モデルの再評価が必要であることを示唆していた。
3. 対処方法とその成果
発見された問題に対処するために、射出速度と保圧圧力の調整を行った。これにより、残差がランダムなパターンを示し、モデルの誤差項の仮定が妥当であると評価された。この調整により、ヒケとそりの発生率が大幅に低下し品質が安定した。
4. 結論
この事例を通じて、残差の検討が回帰分析において重要であること、そしてそれが品質保証活動においても非常に有効な手段であることが実感できた。特に射出成形のような複雑なプロセスにおいては、残差の検討を通じて問題の発見と解決を図ることができ、品質の向上と安定に寄与する。これからも残差の検討を重視し、品質保証活動を推進していく所存である。
↑QC検定過去問《論述試験》を解答事例含めてさらに詳しく学びたい方は、こちらのテキストがオススメです。