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QC検定1級【論述】合格者による実践アドバイス!記述例有り

 

本記事のテーマ

QC検定1級 論述問題の対策方法を伝授

 

本記事のターゲット

・QC検定1級取得を目指して勉強を頑張っている受検者

・参考書や過去問で勉強できる手法や実践と違って、

 論述はどのように対策すれば良いか分からず、困っている方

・自分の論述問題の解答がどのくらいの点数なのか分からず、悩んでいる方

・QC検定1級合格者の論述解答例参考にしたい方

・準1級合格者で二次試験のみ受検(一次試験免除)で”絶対”に合格したい方

以上のような方に向けて記事を書きます。

 

QC検定の論述試験とは

QC検定(Quality Control 検定)の論述試験は、品質管理に関する知識と実践的なスキルを評価するためのテストです。

この試験は、製造業や品質管理の分野で働くプロフェッショナルにとって重要な資格であり、受検者の品質管理に関する理解度を深く評価します。

 

試験の目的と内容

QC検定の論述試験では、単なる知識の暗記ではなく、受検者が実際の問題解決に品質管理の原則をどのように適用できるかを評価します。

試験内容は以下のようなトピックを含むことが一般的です:

・品質管理の基本原則

・統計的品質管理(SQC)

・実験計画法

・問題解決のためのツールと手法

・品質改善のための手法

・ISO9001などの品質管理システムに関する知識

 

試験の形式

QC検定1級の二次試験として、試験時間30分で答案用紙に論述します。

論述内容は、実際の作業環境やシナリオを模倣したもので、受検者は自分の知識と理解を活かして具体的な解答を事前準備しておくことが望ましいです。

また、試験で使用する答案用紙(原稿用紙)は「横30×縦25=750字」です。

※横30マス×縦25マスの用紙です。

↑ QC検定の論述対策についての他のネット情報で錯綜していますが、私が実際に1級受検時、横と縦のマスをカウントしましたので上記で間違いありません。

 

出題される問題は手法から2問、実践から2問の計4問で、この中から自分でひとつ選択し解答する。

解答にあたっては問題文にも記載あるように「対象業務に関するあなたの立場(管理者,実施者,責任者など)を明確にすること」を忘れないようにしてください。

 

手法と実践、いずれの問題を選択するかは受検者のこれまでの経験や業務内容によりますが、大事なことは「複数のパターンで解答例を準備しておくこと」です。

どの範囲やテーマで問われるかは試験本番まで分からないため、準備段階ではあまり問題を絞り込まず、できるだけ広い範囲で解答例を持っておくようにしてください。

 

 

論述問題のオススメ勉強グッズ

↑ 私がQC検定1級受検時に使用していたテキストたち(+タイマー)

 

私自身の経験をもとに、QC検定1級論述対策をするうえでオススメの勉強グッズは以下3点。

 

①原稿用紙

なんといってもまずはコレ!原稿用紙の準備について他のQC検定合格者の方があまり述べておられないので一番に持ってきました。

論述試験では30分という短い時間で750字を手書きすることになります。

問題を読んで、どれに解答するかを決めて、さらに題意に沿った解答の流れをイメージする。実際に「書く」という行為に使える時間は20分程になります。

そんな中で試験官が読みやすいある程度丁寧な字で記述するためには、事前の練習が絶対必要です。

 

手書きで文章を書く(しかも人に読ませることを前提)というのは、マークシートを塗るのとはまた違った大変さがあります。

横30字×縦25字(750字)ボリュームの文章の書き方、章立ての仕方などを原稿用紙を使って練習しておくことをオススメします。

 

私が使っていたのは上記リンクのコクヨの7mm方眼で「37×25字」となります。

実際の試験の「30×25字」より多いので、まず最初に余剰の7マス分に線を引いて隔離し、この余った部分は余白として解答記述前のストーリー思考過程でのメモ的な役割で使っていました。

 

いずれにしても、ただノートや白紙に書くよりも、750字という制限と横30字×縦25字に慣れておくために原稿用紙の使用を推奨します。

 

②タイマー

次はタイマーです。

論述問題の試験時間30分に慣れるために時間を測りながら練習をします。

部屋にある掛け時計などより、勉強机の上に置けて見やすい「タイマー」の方がオススメです。

 

先ほど私が使用していたテキストたちの右側に写っているのが、私が使用していたタイマーです。

キッチンタイマーなどでも代用できますが、こちらの良いところは残り時間が赤色で視覚的に分かりやすいのと、ポモドーロテクニックを活用した勉強で論述試験の時間計測用途以外でも勉強全般で使えることです。

 

本番の試験時は緊張や焦りがあって普段、自宅で勉強している環境とは違うため、私は「27分」で設定して論述問題に取り組んでいました。

 

③論述対策問題集

QC検定1級の「過去問」には論述問題の解答例はないため、受検者はその他のテキストで勉強することになります。

上記リンクの問題集は日科技連から出版されているQC検定1級の対策問題集で、「論述」の予想問題20問と、その具体的な解答例が掲載されています。

 

・ プロセス,ストーリー,方策が過不足なくまとめられている
・ プロセス,ストーリー,方策に誤りがない

といった論述問題の評価基準だけではなく、具体的な解答記述と考え方が説明されているため、非常に参考なります。また、論述に充分なページを割かれているというのも他の問題集や過去問にはない特徴になります。

 

論述問題の内訳としては、実践に関する問題が9問、手法に関する問題が11問で計20問が掲載されています。

 

例えば実践に関する問題としては、

問題① あなたの所属する会社などの組織において方針管理が実施されている場合,各部門において方針管理と日常管理が具体的にどのように行われているかを記述し,さらに双方を効果的に進めるために工夫していることについて記述しなさい.

 

問題② あなたが関与した,または所属する組織の事例を用いて,”外注先の育成”について,実施されている方策を具体的に述べるとともに,外注先を育成するための効果的な方法について記述しなさい.

などの問題と具体的解答例が収録されている。

 

 

また、手法に関する問題としては、

問題③ ノンパラメトリック法に関して,この手法を用いるのに適した状況,不適切な状況について,あなたの所属する組織で用いた事例をもとに説明しなさい.さらに,ノンパラメトリック法の活用方法と注意点について記述しなさい.

 

問題④ あなたが関与した,または所属する組織において実施されている信頼性/寿命試験に関するプロセス・判定方法を具体的に記述し,さらにお客様への品質保証の観点から問題点とその対策について記述しなさい.

などの精選問題と具体的解答例が収録されている。

 

 

論述問題は、製造業で実際に品質管理や品質保証の業務に携わっている方であれば、自分の体験をエピソードにして具体的な事例を解答しやすいけど、そういった仕事をこれまであまり経験されていない方の場合、何を書いて良いか途方に暮れてしまいます。

本書は、解答例が豊富なので、そういった方に向けても非常に役立つ問題集です。

 

注意点としては、本書は2007年刊行で現在は絶版となっており、入手が難しいです。

本ブログ記事を書いている現在、上記リンクのAmazonで確認すると在庫がなく、新品の販売はありません。マーケットプレイスで中古の販売のみとなります。

 

中古本についても、いつなくなってしまうか分からないため、受検者は早めに購入された方が良いと思います。

(余談ですが、マーケットプレイスで定価より高いプレミア的な値段になっている場合はメルカリなどフリマサイトで見つかるかもしれませんので探してみてください。)

 

 

QC検定1級 論述問題 解答のポイント

本番試験での解答に当たっては、よく問題の題意を理解するとともに、ポイントをはずさないように記述することが重要です。

自らの経験と実施事例や指導事例などを踏まえて、具体的に記述します。だらだらした文章は避け、用語やキーワードは正確に説明するとともに、文章はできるだけ箇条書きにするとよいです。

 

評価基準

下記の観点で論述が展開されているかを評価基準とする

・ プロセス,ストーリー,方策が過不足なくまとめられている

・ プロセス,ストーリー,方策に誤りがない

・ 効果,特徴や問題点の考察が妥当である

・ 十分な経験に基づく記述であることがわかる

・ 記述に特別な工夫が見られる

・ 当たり前でないアイデアが見られる

 

 

具体的解答例-実践分野に関する問題-

解答例その1

問題

あなたの所属する会社などの組織において機能別管理が具体的にどのように行われているかを記述し,機能別管理の特徴とそれを効果的に進めるための実施のポイントについて記述しなさい.

 

解答例(708字)

私は自動車部品製造会社で品質保証の責任者を務めている。私たちの組織では機能別管理が日常的に実施されており、そのプロセスと特徴、効果的な実施のためのポイントについて以下に記述する。

 

1.機能別管理の実施

・設計:製品の仕様を詳細に検討し、安全性と機能性を確保する。

・材料調達:品質とコストを考慮して最適な材料を選定する。

・製造:設計仕様に従って製品を製造し、工程ごとに品質チェックする。

・品質保証:全工程を監視し、製品が品質基準を満たしていることを確認する。

・販売・サービス:市場提供と顧客フィードバックを収集する。

2.機能別管理の特徴:

・専門性:各部門が特定の機能に特化しており、高度な専門知識とスキルを有している。

・責任範囲の明確化:各部門の責任範囲がはっきりとしており、業務の効率化が図られている。

・効率性:各部門の専門性を最大限に活かし、業務を効率的に進めることができる。

3.効果的な実施のためのポイント

・コミュニケーションの強化:部門間の情報共有と密なコミュニケーションを促進する。

・目標の共有:全社的な目標を共有し、各部門が協力して目標達成を目指す。

・継続的な教育とトレーニング:従業員のスキルと知識を常に向上させるために、継続的な教育とトレーニングを提供する。

・問題解決能力の向上:問題が発生した際は迅速に対応し、原因を究明して再発防止策を講じる。

 

機能別管理を効果的に進めるためには、部門間の壁を取り除き、オープンでコラボレーションしやすい環境を作ることが重要である。各部門が専門性を生かしながらも、会社全体の目標達成のために協力し合うことで、品質の高い製品を効率的に製造し、お客様の満足を得ることができる。

 

 

解答例その2

問題

あなたの所属する会社などの組織において品質マネジメントシステムの内部監査が実施されている場合,内部監査が具体的にどのように行われているかを記述し,さらにそれを効果的に進めるための方策について記述しなさい.

 

解答例(687字)

私は自動車部品製造会社で品質保証業務の責任者として従事しており、品質マネジメントシステムの内部監査に関与している。以下に、内部監査のプロセスとそれを効果的に進めるための方策について記述する。

 

1.内部監査のプロセスと計画

・監査計画の策定:監査対象を特定し、リソースとタイムラインを割り当てる。

・監査チームの選定:適切なスキルと知識を持つ監査員を選び、チームを編成する。

2.監査の実施

・現場訪問とデータ収集:計画に基づき現場を訪れ、関連する証拠を収集する。

・評価と分析:収集したデータを分析し、現状と要求仕様とのギャップを評価する。

3.監査報告とフィードバック

・監査結果の報告:監査の結果をまとめ、関係者に報告書として提出する。

・フィードバックの受け入れ:部門からのフィードバックを受け入れ、改善の機会を議論する。

4.是正措置とフォローアップ

是正措置の実施:問題点に対しては、迅速かつ効果的な是正措置を講じる。

フォローアップの実施:是正措置が適切に実施されたかを確認するためにフォローアップを行う。

5.効果的な内部監査のための方策

・透明性の確保:監査プロセスを公開し、関係者が理解しやすいようにする。

・継続的なスキルアップ:監査員のスキル向上と知識の更新を促進する。

・コミュニケーションの強化:監査対象部門とのコミュニケーションを密にし、信頼関係を築く。

 

以上のプロセスと方策を実施することで、品質マネジメントシステムの効果的な運用が可能となり、組織全体の品質向上が期待できる。内部監査は組織の品質保証とリスク管理の観点から重要な役割を果たしており、その運用の効果性が求められる。

 

 

具体的解答例-手法分野に関する問題-

解答例その3

問題

管理図の効果的な活用方法と注意点について,あなたが関与した,または所属する会社などの組織における事例を用いて記述しなさい.

 

解答例(708字)

私は食品製造会社で品質保証の責任者として勤務している。最近、一部の製品で品質バラツキの問題が発生し、これを解決するために管理図とヒストグラムを利用した工程分析を行った。

 

1.問題点の特定

・製品の重量にバラツキがあり、規格外の製品が出荷されるリスクがあった。

・定期的なサンプリング検査でこのバラツキが確認された。

2.管理図の活用

・製造ラインからランダムにサンプルを抽出し、重量のデータを収集した。

・X-R管理図を作成し、プロセスが統計的に制御されているかを確認した。

・管理図から、特定の時間帯にプロセスが不安定になっていることが分かった。

3.ヒストグラムの活用

・同じデータセットを用いてヒストグラムを作成し、データの分布を確認した。

・ヒストグラムから、データの分布が左右非対称であり、特定の重量範囲に偏りがあることがわかった。

4.特徴と問題点の整理

・分析の結果、設備の調整不足と作業者の操作ミスが問題の主な原因であることが判明した。

・特に、作業者の疲労が蓄積する時間帯にミスが多発していることがわかった。

5.改善策の実施と評価

・設備の定期的なメンテナンスを強化し、作業者の労働時間を見直し、適宜休憩を取るように指導した。

・改善策を実施した後、再度管理図とヒストグラムを利用して分析を行い、プロセスの安定性が向上し、品質バラツキが大幅に減少したことを確認した。

 

この経験から、管理図とヒストグラムはプロセスのバラツキとその原因を可視化し、効果的な改善策を講じる上で非常に有用なツールであることを再認識した。今後もこれらのツールを適切に活用し、品質保証のレベルをさらに向上させていく所存です。

 

解答例その4

問題

実験計画法を用いて最適条件をもとめる場合のステップと注意点について,あなたが関与した,または所属する組織の事例を用いて記述しなさい.

 

解答例(690字)

私はビール製造会社で品質保証業務の実施者として勤務している。製造工程の中で特に重要な工程として発酵プロセスがあり、最適な発酵条件を見つけるために、実験計画法を活用した事例を以下に記述する。

 

1.問題の特定

・発酵工程の温度と圧力の変動が製品の品質に影響を及ぼしていた。

・これらの条件が不適切な場合、ビールの風味や香りが低下する。

2.目標の設定

・発酵工程における温度と圧力の最適な条件を特定すること

・製品の品質を一定に保ち、顧客の満足度を高めること

3.実験計画の設計

・温度と圧力を変数とし、それぞれ異なるレベルで実験を行う計画を立てた。

・実験の結果をもとに、最適な条件を見つけることを目標とする。

4.実験の実施

・設定された条件で発酵実験を行い、ビールの品質を評価した。

・各条件下でのビールの風味、香り、色を詳細に記録した。

5.データの解析

・実験結果を分析し、最適な発酵条件を特定した。

・統計的手法を用いて、データの信頼性を確認した。

6.最適条件の特定と実施

・解析の結果、最適な温度と圧力の条件を実施することで、製品品質が向上した。

・実際の生産プロセスにおいても、この条件を適用し、品質の改善を確認した。

7.注意点と学び

・実験計画法を使用する際には、変数と水準の設定が非常に重要である。

・実験の再現性を確保するため、慎重に実験を設計し実施する必要がある。

・実験結果の解析には統計的手法を活用し、データの信頼性を確認することが重要。

 

このプロジェクトを通じて、実験計画法を用いることで製造プロセスの最適化が可能であることを体感し、品質向上と生産効率の向上に繋がる貴重な経験を得ることができた。

 

以上、4つの問題の解答例を記載しました。

さらに他の解答例もご覧になりたい方は、以下の記事を参照ください。

 

《手法分野》過去問解答例

instant.engineer

 

《実践分野》過去問解答例

instant.engineer

 

 

さいごに

QC検定1級【合格】を目指されている方に向けて、QC検定1級で避けて通れない論述問題(二次試験)の対策について、今回ブログ記事を書きました。

 

QC検定の論述試験に合格することは、受検者が品質管理の専門家として必要なスキルと知識を有していることを証明するものです。

これにより、職場での昇進や新しい職務の機会を得ることができ、プロフェッショナルとしての信頼性を高めることが期待できます。

 

また、QC検定の論述試験は、品質管理の分野で専門的なキャリアを築きたい人々にとって重要なステップでもあります。この試験を通じて、自分の知識とスキルを証明し、プロフェッショナルとしてさらに成長していきましょう。

Good Luck!!