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「目で見る管理」を効果的に実践するための10個のKPI

「目で見る管理」とは

「目で見る管理」とは、作業現場やプロセスを視覚的に管理しやすくするための方法や仕組みのこと。この手法は、情報や状態を簡単に理解できるようにし、迅速な意思決定を支援することを目的としている。

 

例として、トヨタ工場の生産ラインでの「アンドン」システムが挙げられる。これは、機械の異常や部品の不足など、何らかの問題が発生した際に、光や警報音などでその情報を視覚的に示すシステムである。問題が発生すると、アンドンが点灯または点滅し、作業員や管理者はすぐにそれを認識し、迅速に対応することができる。

 

「目で見る管理」により、現場の状態が一目でわかるため、問題が発生した際の対応速度が向上する。また、作業員自身が自分の作業環境を把握しやすくなるため、生産性の向上や品質の確保に寄与する。

 

この管理方法は、製造業に限らず様々な業種や分野で応用可能であり、情報を視覚的に示すことで、作業の効率化やエラーの削減、そしてチーム全体のコミュニケーションの向上を図ることができる。

 

「目で見る管理」を効果的に実践するための10個のKPI

目で見る管理において注視すべき項目は多岐にわたるが、以下に10個の主要な項目を挙げる。

 

1.品質状態

製品の品質は顧客満足度と直結しており、不良品率やクレームの発生状況を視覚化することが重要である。不良の早期発見と対応がブランド信頼性の維持に寄与する。

 

2.安全情報

作業現場の安全は最優先事項であり、安全警告や避難経路、安全標語を目立つ位置に表示することが重要である。これにより事故防止と迅速な緊急対応を図ることができる。

 

3.在庫状況

適切な在庫管理はコスト削減と生産効率の向上に寄与する。在庫量と需要のバランスを視覚化し、過剰在庫や品切れを防ぐ。

 

4.作業進捗

プロジェクトや生産ラインの進捗状況を表示し、計画通りに作業が進んでいるかを確認する。進捗の可視化はチームのモチベーション向上にも寄与する。

現場の何を見ると進捗状況が分かるのかを認識することが重要である。例えば各工程のかんばんと現物量、手持ちの状況、生産管理板、ガントチャート(日程計画表)

 

5.機械・設備の状態

機械や設備の稼働状況やメンテナンススケジュールを表示し、予期せぬダウンタイムを防ぎ生産効率を維持する。

 

6.作業者の作業状況

作業員の位置や担当作業を視覚的に示し、人員の適切な配置と効率的な作業を促進する。

 

7.パフォーマンス指標

生産効率や作業効率を示す指標を表示し、チームの目標達成に向けたモチベーションを向上させる。

生産現場においては、「OEE(設備総合効率)」がよく用いられるパフォーマンス指標の一つである。これは、設備の稼働時間、性能効率、品質を総合的に評価し、設備の全体的な生産効率を数値化する指標である。

 

8.スケジュール

生産スケジュールや作業シフトを視覚的に示し、全員が同じ計画を共有し調整を容易にする。

可視化によって作業員や管理者は何がいつ行われるべきかを明確に把握することができる。計画通りに作業が進むことを確認し、必要に応じて調整を行うための重要なツールである。

 

9.作業標準

特定の作業やプロセスを実行する際に従うべき手順や基準を示したものであり、作業の安全性、効率性、品質を保証するために極めて重要である。

この標準化された手順を遵守することで、作業員は個々の判断に頼ることなく、一貫して高品質な結果を生み出すことが可能となる。また、新しい作業員の教育やトレーニングを迅速かつ効果的に行うための基盤ともなる。

 

10.環境状況

作業場の温度や湿度、照明といった条件を示す指標であり、これらが作業員の健康と作業効率に直接影響を及ぼす。

適切な環境を維持することで、労働条件を改善し、生産性の向上を図ることができる。

 

これらの項目は、生産性と品質、作業員の安全と快適性を向上させるために、目で見る管理の中で重要な役割を果たす。

 

日本のモノづくり トヨタ生産方式の基本としくみ

日本のモノづくり トヨタ生産方式の基本としくみ

  • 作者:佃 律志
  • 日本能率協会マネジメントセンター
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