トヨタの「問題解決」とは
トヨタの「問題解決」のアプローチは、根本原因を徹底的に探求し、持続可能な解決策を実施することに焦点を当てている。
このプロセスは、「なぜ?」という質問を繰り返し、表面的な症状ではなく、問題の根本原因に到達することを目指し、問題が再発しないように、その原因を取り除くための具体的な行動計画を立てる。
トヨタでは、全ての従業員が問題解決のスキルを身に付け、日常の業務に活用することが期待されており、これによって組織全体の品質と効率が向上する。
問題解決は継続的な改善の文化を築く上で不可欠であり、トヨタの成功の裏にはこの問題解決の哲学が深く根付いている。
問題解決の手順があれば、実際に問題解決に取り組むときに手助けとなる。
良い指針があれば、不必要に悩むこともなく、手順通りに進んで行くことができる。
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トヨタ式「問題解決」はこう進める!
問題解決を実際に進める時は、以下のステップに沿って行う。
1.現状把握
・問題が発生した時点で、それを隠さずに透明にし、関係者全員が認識する
・「5W1H」(Who, What, When, Where, Why, How)を用いて問題を具体的に定義する
①現状分析(現場主義、QC7つ道具活用)
②問題整理の効率化(不良の定義づけ、数値化)
③重点管理(ABC分析、パレート分析)
2.原因の追究
・「5つのなぜ」(5 Whys)を使用して、問題の根本原因を特定する
・表面的な問題だけでなく、背後にある深い原因を掘り下げる
①現場で迅速なアクション
②問題の原因となるばらつきの把握
③問題の具体的なチェック(4M+環境、3ム(ムリ・ムダ・ムラ)、5つのなぜ)
④簡単な手法の活用(QC7つ道具、IE手法、VE手法)
3.対策・立案
・根本原因に対して効果的な対策を考え、具体的な計画を立てる
・短期的な応急処置と、長期的な恒久的な対策を区別する
①経験と勘と知恵の活用
②ブレーンストーミング(5W1H)
③改善案着想の手順(目的追求、選択と控除、好適化)
④現実にできるものから立案(4M、環境、5S)
4.実行
・立案した対策を実際に実行する
①実施事項、目標年月、推進責任者
②不良対策実行計画表を公表
5.結果・効果の確認
・立案した対策を実際に実行し、その効果を検証する
・定量的なデータを用いて効果を評価し、目標達成度を測る
①効果は改善目標の他に相乗効果も
②結果は誰もがわかるように(グラフ化)
③結果は金額で示す
④結果比較の注意(絶対比較、相対比較)
⑤維持結果にともなう注意(安全面、経済面、人間工学面)
⑥効果が出なかったら迅速なフィードバック
6.維持
・効果的な対策を標準化し、同様の問題が再発しないようにする
・さらなる改善の余地を探し、持続的な改善を推進する
①実施事項で効果のあったものは歯止めを行う
②監督者、作業者が間違いなく行えるシステム(標準化・ポカヨケ)
トヨタの問題解決手法は、単に問題を修正するだけでなく、プロセスとシステムを改善し、将来的に同じ問題が発生しないようにすることを目指している。
このアプローチは、「カイゼン(改善)」の哲学に基づいており、持続的な改善と効率化を推進する。