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読書メモ:「最強マフィアの仕事術」 マイケル・フランゼーゼ

 

マフィアの世界で若くして組織の上流への上り詰めたという著者だが、最後まで本書を読んだ感想は、正直拍子抜けした、だ。ジェノヴェーゼファミリーのカポ、マリオとの話し合いや、著者がマフィア時代に実父とノービィ・ウォルターズとの交渉(シットダウン)の描写は臨場感があって読み応えがあって面白った。しかしそういったのはごく一部で、本書の大部分は巷によくあるビジネス書や自己啓発書に書かれてあるのと何ら変わらない。具体的には、信頼できる仲間を見つけろ、ビジネスの成功には努力が必要、税金は必ず払え等々。
元マフィアの著者が、「企業犯罪は割に合わない」「違法行為は必ず誰かが見ている」と説くのは、もはやなんと表現すれば良いか分からない。丸くなって一般論を述べるのではなく、シットダウンでは沈黙を通すなどマキャベリ的思想にもっとフォーカスしてほしかった。

 

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以下、読書での私的メモ。

 

マフィア組織のピラミッド階層
ドン、アンダーボス、コンシリエーレ、カポ、ソルジャー
 
 
資産もない普通の人が成功するには、いったいどうすればいいのか?
まずは、成功を約束してくれる秘密の方程式など存在しない、と自分に言い聞かせることだ。
「成功とお金を手に入れる10の秘訣」などという文句は、まやかし以外のなにものでもない。目を覚ませ。
 
 
マフィアで大成する者は、必ず夜明けとともに行動を起こす。(中略)
ハードに働かなくても成功できると思っているなら、引き出しいっぱいのシルクのパジャマを買えばいい。甘い考え方をしている人間にできるのはその程度の贅沢だ。
ビジネスで成功するための秘密の方程式は存在しない。ただし、成功者に共通することが一つある。それはハードワーク、つまり”努力”だ。
もちろん、努力すれば必ず成功できるとは限らない。努力も成功につながる一要素でしかない。しかし、努力なくして成功はありえない。
 
 
「二人は一人に勝る。共に苦労するだけ、得るものも大きい」 ソロモン
 
 
ビジネスは基本が肝心だ。計画を立て、計画に沿ってハードに働き、自分のすべき仕事に集中し、優秀な仲間をつくる。そうして土台を固めることが、成功への第一歩なのだ。
 
 
「勤勉な者はいずれ指示する立場になるが、怠惰な者は労働を強いられるだけで終わる」 ソロモン
 
 
何一つ譲らなければ何一つ得られないなら、何かをあきらめるほうがいい。戦術的撤退は”妥協”であり、”負け”よりはマシな結果が生まれる。
 
 
「話を聞かないうちに答えることは、無知の証しであり恥と知れ」
「たとえ無知でも、何も語らなければ賢者に見える。黙っていれば聡明な人だと思ってもらえる」 ソロモン
 
 
マフィアの世界で長く生き残っているメイドマンは、最小限の言葉で最大限の効果を得ることができる男たちだ。なぜ長生きできるのか? 口を閉ざすべきときを知っているからだ。
交渉の場では、まず相手にしゃべらせた方が有利になる。たとえ自分が会話の口火を切らねばならないとしても、手短かに要点だけを述べるにとどめるべきだ。相手の好きにしゃべらせておけば、いずれつけ込む隙が生まれる。私はそれを利用して数々の商談で勝ってきた。
 
 
立ち上げから二年以内にうまくいかなくなる企業は非常に多い。誰もが知っている大企業を興した人物であっても、必ず最初は失敗している。
マクドナルドの創設者レイ・クロックは、その前に不動産事業で失敗した。
ヘンリー・フォードは、今のフォードの前に自動車会社を二社倒産させた。
R・H・メーシーも、ニューヨークでメーシーズ・デパートをオープンさせる前に七店経営したが、いずれも失敗に終わった。
盛田昭夫と井深大は炊飯器を開発したが、米が焦げてしまうこともあって100台しか売れなかった。その後、日本初のテープレコーダーを制作・販売してようやく、ソニーの土台が生まれた。
ヒューレット・パッカードのビル・ヒューレットとデイヴィッド・パッカードも、レタス収穫機や体重減少装置などを製作して失敗した。
あのウォルト・ディズニーですら、「アイデアが稚拙」という理由で新聞記者をクビになっている。
 
 
「惜しみなく与える者はなお多くを手にし、理不尽なほど与えない者はいずれ貧する」 ソロモン