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トヨタ生産方式における「工程の流れ化」とは:細くて速い流れ

工程の流れ化とは

トヨタ生産方式では「工程の流れ化」を考えるとき、生産ラインを「細くて速い流れ」にすると表現します。

川の流れが細ければ、何かの障害物でせき止められても、すぐに原因が見つかり、問題が解消すれば、もとのスムーズな流れに戻ります。

生産工程もこれと同じ考えで、整流化した流れにすることで、どこで流れが悪くなるかがわかります。どこで作業が停滞するか、どこで在庫になって止まっているかがわかるような工程の組み方をし、そしてムダがわかった時点で改善を行います。

 

工程の流れ化は、ジャストインタイム生産を実現するための基本原則の一つであり、工程内、工程間での物の停滞をなくすことをいいます。

工程の流れは整流化された状態が望ましく、それを実現するための手法が1個流しと同期化です。

 

「細くて速い流れ」は経営体質の強化にもつながる

流れのないところには、停滞が生じ在庫が発生します。流れを良くする狙いは、リードタイムの短縮です。トータル・リードタイムを短縮できれば、原価低減につながります。

儲けるための視点を、ある時点で考えるのではなく、期間として捉えて収益性を判断します。「細くて速い流れ」、つまり小さな単位で早く作り、早く売った方が収益性は高まります。

その効果は、

1 必要なキャッシュフローの減少

2 在庫による金利負担の削減

3 オーダー打ち切り時の在庫リスクの軽減

4 部品手配、在庫管理などの間接費の低減

など様々な形で現れ、経営体質の強化に繋がります。

 

生産フローとラインレイアウト

以下に代表的な生産フローとラインレイアウトを示す。

 

◆ジョブ・ショップ型生産フロー

まとめてつくり、まとめて運ぶストック思考のフローです。機能別配置とも呼ばれ、同種の機能や性能をもつ機械設備をグルーピングして編成した工程で以下のような流れになります。

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工程A、B、Cと順に加工が進んでいきますが、それぞれの工程は機械が別の場所にあったりして分離されているので、各工程の前後に材料ストックがあります。また、一つの加工工程から次の工程へもモノの運搬があります。

こういった生産フローの場合、材料の投入から完成品までに、モノの移動は計8回あります。トヨタ生産方式では、モノの移動は付加価値を生まず、ムダと考えるので効率の悪い生産フローといえます。

 

◆フロー・ライン型生産フロー

ジョブ・ショップ型で加工工程が離れた場所にあったのを集約したものです。

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収容箱単位で次工程に送ることで、保管と移動の手間が削減されます。図のように加工工程が3つの場合、モノの移動回数は計6回となります。それぞれの工程の能力差を在庫(バッファー)で補うときにこのような生産フローが取られます。

 

◆セル・ライン1個流し生産フロー

フロー・ライン型から仕掛り品在庫をなくしたものです。

工程順に設備配置をし、工程間の在庫をなくし、1個流しで次工程へ送ります。

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この生産フローを実現するには、工程間の能力を平準化し、作業バランスを取る必要があります。各工程がそれぞれ同じ時間で作業できるような同期化をはかり流します。このようにすることでムダなモノの移動が省略され、上図の例では加工3工程に対し、移動は4回となります。

 

材料投入から完成品までのリードタイムが短く、工程間や工程内の仕掛り品が少ないためトヨタ生産方式ではこの生産フローが望ましいとされます。