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読書メモ:「大人の流儀 男を磨け、粋に遊べ」 川北義則

 

大人の流儀

大人の流儀

  • 作者:川北 義則
  • 発売日: 2009/07/18
  • メディア: 単行本
 

肩書きなどの属性がないと自分に価値を見出せない人間が多い、という著者の言葉に思い当たる節がありドキッとした。確かにそうだよな、と財布に入れていた某社の名刺を処分した。その他にも、著者がビジネスの現場やそれ以外で出会った人たちから学んだことが述べられているが、反面教師的な学びも多く、中には本当にそんな人いるのか?と疑ってしまいたくなるような人まで登場する。
美輪明宏氏が言う謙譲語がなくなったから謙譲の美徳がなくなった、という論は鶏卵になりそうだが、自分もまず言葉が先にあったと思う。

 
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以下、読書での私的メモ。
 
「約束を守らない人間は仕事ができない」というのは真理だ。最低限のルールを守れない人間に、仕事でも何でも、多くは期待できない。待ち合わせの時間に判で押したように遅れてくる人間がいるが、この種の人間は待ち合わせ以外にもルーズなものだ。
 
 
70歳を過ぎても米俵を持ち上げる人もいれば、ドライバーを230ヤード飛ばす人もいる。矍鑠としてカッコよくジーンズをはきこなす人もいる。多くの場合「年だから」という言葉は、物事への興味や自己変革への意欲が衰退している自分への便利な言い訳にすぎない。
「年だから」を口にしはじめると、何事につけ物事は停滞する。必ずしもそう思ってはいなくても、その言葉を口にするだけで、知らず知らずのうちに生き方を制限してしまうようになる。
 
 
男子たるもの、一生働いて、余裕をもって妻子を生活させるが恩には着せず、女性を大切にして遊ぶために働き続ける。そして死んでいく。単純明快、これでいいではないか。「男は損な役回り」と嘆くか、「これぞ本望」と肝に銘ずるか・・・。
 
 
最近、肩書きなどの属性がないと、何もなくなる人間が多すぎる。人間としての面白味もバイタリティーも感じられない。そんな人間では悲しい。会社、学歴など関係なく、自分はどう生きてきたか、これからどんな生き方をするか。それについて確たる指針を持って生きたいものだ。他人が何と言おうと、自分流を貫き、筋を通す。
 
 
酒席で大言壮語し、悪口、愚痴をいう手合いは組織でも大した仕事ができない。これは間違いがない。デキる男は恵まれない環境の中でも、仕事に対して「誠実さと一生懸命」を貫く。そういう人間には必ず次のステップが待ち構えているものなのだ。転職、独立、ヘッドハンティング・・。やるべきことをやっていれば可能性は広がる。世間は、見ている人は見ているのだ。
 
 
奥ゆかしさを持った人間は、とにかく聞き上手だ。それが初対面であろうと旧知の仲であろうと、相手に対して敬意を持って向き合う。彼らの会話は「聞くが六割」に「話すが三割」「沈黙が一割」の配合である。一割の沈黙は考える時間だ。相手を慮りながら無駄のない的確な意見をいうために考える。そして言葉を探す。
相手は話を聞いてもらえるから、思いを十分に伝えられる。おだやかな表情で「はい」「なるほど」「へー」「おっしゃるとおり」「初耳」「そうだね」と肯定的な相槌を交えながら聞き、その上で異論や反論を的確な言葉で述べるから、相手も聞く耳を持てる。それも強要することはない。「私はこう思うが、あとはあなたが決めること」というスタイルだ。絶対的判断ではなく余地を残した物言いである。
 
 
政治家だけでなく、この手の失言が問題になると、よく「悪気はなかった」という弁明をする人がいるが、悪意かどうかを判断するのは、いった本人ではなく、聞いた人間なのだということがわかっていない。こういう、いわずもがなの発言で人生を棒に振る人もいる。
 
 
「知的」ということは「尊大」とは対極にある。どんな職種であれ、ともに働いている人たちに「ありがとう」「ご苦労さまです」が言えないようでは、その人間の知性などたかが知れているということだ。相手の地位や職業、学歴などによって態度を変える人間はどんなに「知識」を持っていても「知的」ではない。
 
 
日本には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」という誇るべき言葉の文化がある。日本人なら、この文化をしっかりと身につけるべきだろう。美輪明宏さんがいっていた。
「丁寧語がなくなったから丁寧じゃなくなる。尊敬語がなくなったから尊敬しなくなり、謙譲語がなくなったから謙譲の美徳がなくなる」と。
 
 
私が主張する愛国心とは、自分が生まれ育った風土、文化、歴史、国民性などに対して誇りを持って生きようではないかということだ。そのためにはやらなくてはならないことがある。自国の風土、文化、歴史、国民性をまずは知るということ、そして好きになることだ。