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読書メモ:「たった一人の熱狂 -仕事と人生に効く51の言葉-」 見城徹

 

たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-

たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-

  • 作者:見城 徹
  • 発売日: 2015/03/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

アマゾンのPrimeReadingで電子版を無料で読んでみた。見城氏は幻冬社の社長ということだけは知っていて、それ以外の事前情報は何もなし、且つ編集者だっということも知らなかった自分のような読者でも、相当に学びが多かった。本のタイトルにもあるとおり、著者の仕事・人生への熱量がすごい。ただし、著者は仕事が憂鬱で本質的には苦しいものであると考えているようで、その点が自分にはいまいち理解できなかった。ぼくにとっては仕事は楽しいものという意識だったけど、それは著者ほど没入とか困難なチャレンジをしていないからかもしれない、とふと思った。

 

 *

 

以下、読書での私的メモ。

 

職を転々としながら、茫漠とした気持ちで天職を見つけようとしても、巡り会えるものではない。自分を痛めながら何かに入れ上げる。生き方の集積が全てを決めるのだ。
 
 
圧倒的努力とは何か。人が寝ているときに寝ないで働く。人が休んでいるときに休まず動く。どこから手をつけたらいいのか解らない膨大なものに、手をつけてやり切る。「無理だ」「不可能だ」と人があきらめる仕事をあえて選び、その仕事をねじ伏せる。人が諦めたとしても、自分だけは諦めない。
 
 
「松本清張の本なんてあまりにも数が多すぎる。とてもすべては読めない」と愚痴を言っている暇があったら、すぐに1冊目から読み始めた方がいいに決まっている。寝る間を惜しみ、食事する時間さえも惜しみ、朝から晩まで読書漬けになればいい。「もうダメだ」からが本当の努力である。
圧倒的努力ができるかどうかは、要は心の問題なのだ。どんなに苦しくても仕事を途中で放り出さず、誰よりも自分に厳しく途方もない努力を重ねる。できるかできないかではなく、やるかやらないかの差が勝負を決するのだ。
 
 
僕は何時に床に就いても、毎日朝5時半から6時には必ず目が覚める。
目覚めた時の最大の楽しみは、購読している朝日新聞と日本経済新聞、日刊スポーツの3紙を自宅の玄関まで取りに行くことだ。
新聞を読み終わった後は、朝風呂になるべくじっくり入ってたくさん汗をかく。風呂上がりにはリビングへ移動し、ザッピングしながら早朝の情報番組をチェックする。
前日の疲れが残っておらず調子が良い時には、それからジムにでかける。
午前10時には社用車が迎えに来てくれ、車内に置いてある読売新聞を読みながら、10時半には会社に出勤する。早朝5時半から出勤まで、僕にとってぼーっとしている時間はまったくない。
昔から早起きは三文の徳と言うとおり、惰眠を貪る豚であってはならないのだ。
僕にとって朝は勝負である。情報を摂取するにしても、考え事をするにしても、朝ほどはかどる時間はない。
早朝にけたたましく電話をかけてくる人はいないから、誰にもジャマされず自分だけの時間を過ごせる。早朝には永遠が見えるとすら思う。しかし、「今日もまた一日死へ近付くのだ」という冷厳な事実を確認し、「悔いのない一日にするぞ」と奮い立ち、朝というとば口から残りの人生を照射するのだ。
 
 
オーソドックスに無難に勝負しても、無難な結果しか得ることはできない。無知と無謀を貫き通して仕事をやり切れば、頭上に鮮やかに旗を打ち立てられる。旗が鮮やかに見えれば、その旗はオリジナルなブランドとなる。
無知は恥ずべきことではない。無知であり無謀であればこそ、不可能を可能にする闘いに挑戦し、この手で鮮やかなブランドを創出することができるのだ。
 
 
何年もかけて準備してきた大型プロジェクトがようやく完成し、大きな初版部数で本が出版される。発売と同時にプロモーションも稼働する。こうした熱狂の放出が終わると、僕はたまらない寂寥感に襲われる。
一つの熱狂が終われば、自らゼロの地平に一人で舞い戻る。この地平から戦いを始め、まだ見ぬ熱狂の高みへと飛翔する。圧倒的結果をゼロに戻して新しい戦いに向かわなければ、より大きな成功や結果を絶対に得られないのである。
 
 
「昨日と同じ明日で構わない。自分は安全策を選ぶ」という人は、現状維持の人生を歩めばいい。「現状をなんとかして変えたい。昨日とは違う明日を生きたい」と君が願うのであれば、安全策は捨ててしまおう。迷いがあっても一歩前に踏み出し、暗闇の中でジャンプすればいいのだ。
人は必ず死ぬ。今この瞬間は、死から一番遠い。今から1分経てば、僕も君も1分だけ死に近付く。死があって生があり、生があって死がある。生と死は不可分だ。「自分には必ず死が訪れる」と認識した時、生が輝き始める。生きているうちにやるべきことが見えてくる。
 
 
死という視座から現在を照射すれば、今自分がやるべきことが鮮明に見えてくる。一人の女に身も心も捧げ尽くし、駆け落ちしても絶対に後悔しない。そう本気で思えるのなら、仕事を放り投げその女と逃避行すればいい。
この本を読んでいる君たちは、自分の死が空想の世界だと思っているかもしれない。特に20〜30代の若い人たちにとっては、死にリアリティなど感じられないだろう。「自分は永遠に生き続ける」と錯覚している人も多いと思う。僕もそうだった。
 
 
サイバーエージェントの社員はすさまじい情熱に燃えている。驚いたことに、彼らが誰に指示されるでもなく、自主的に「先送り撲滅会議」を開いているのだ。先送りこそビジネスの最大の敵だ。
組織が大きくなればなるほど、一つのことが決まるまでに長い時間を要する。サイバーエージェントではそうした弊害をスタッフ一人ひとりが打破し、驚嘆すべき機動力で次々に事業を形にしていく。
 
◆「先送り撲滅会議」とは?(外部サイト)
 
 
吉本隆明は『共同幻想論』の中で「対幻想だけが共同幻想を突破できる」と言っている。あなたのためなら犯罪を犯しても構わない。共同体の倫理や道徳、法律を突破してでも、二人だけの性愛を貫きたい。性愛という幻想は、共同体が定めた善悪の基準をジャンプして飛び越えることができる。 
改訂新版 共同幻想論 (角川ソフィア文庫)

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  • 作者:吉本 隆明
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