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読書メモ:「トコトンやさしい養殖の本」 近畿大学水産研究所

 

トコトンやさしい養殖の本 (今日からモノ知りシリーズ)
 

日本の世界における獲る漁業の比率はかつては世界1位だったが、現在は世界8位。そして養殖業の方に関しては世界11位で比率としては1%のようだ。養殖業の世界トップは意外な中国でこの一国で実の世界の50%以上の生産量を誇るというから驚きだ。近畿大学が編纂した本ということでやはりクロマグロに関する記述は多いが、内容も広い範囲に網羅されており入門としてはうってつけだ。イセエビはフィロソーマ幼生という飼育困難な時期が1年弱もあることから、国内ではまだ獲る漁業中心とのことで、今後資源量の減少でイセエビがもっと高級品になりそうだ。

 
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以下、読書での私的メモ。
 
四方を海に囲まれた日本は漁業大国、あるいは水産王国と言われてきました。しかし、1980年代前半には世界1位だった漁業生産量は、その後の国連海洋法の批准に伴う漁場の縮小や資源量の減少によって徐々にその順位を下げ、現在は世界第8位となってしまいました。
獲る漁業に変わり、ブリやマダイ、クロマグロなどの養殖が盛んになったイメージがありますが、我が国の漁業生産量に占める養殖生産量は25%で、この数字も獲る漁業の生産量が低下し、相対的に比率が上がったに過ぎません。
一方、世界に目を向けると、漁業生産量全体に占める養殖生産量の比率は、1980年には10%であったものが2000年には31%、そして2016年には54%を超える数字になっています。
すなわち、獲る漁業よりも養殖業の方が生産量が多くなっているのです。こちらの方の比率は、獲る漁業が横ばいなのに対して養殖生産量の純増によるもので、このように世界的に見れば養殖業は発展の一途を辿っているのです。
この世界の養殖生産量の増大を支えている国は紛れもなく中国です。現在、世界の養殖生産量の内、何と58%は中国の生産量が占めているのです。
中国に次いで養殖生産量が多い国は、インドネシア(世界の15%)、インド(5%)、ベトナム(3%)といずれもアジア諸国が占め、日本は世界の11位(1%)。
 
 
イセエビはザリガニのように底面を歩行します。このように大型で歩行するエビはロブスターと総称されます。イセエビの飼育に関する研究も日本で長く行われました。しかし、食用サイズになるまでに長い年月がかかり、特に飼育がきわめて困難なフィロソーマ幼生期が300日も続くため養殖事業ベースには乗らず、現在でも天然のエビが食用になっています。
 
◆フィロソーマ幼生期ってどんなの?
 
島国である日本には国土の12倍にもおよぶ排他的経済水域がありますが、そのほとんどは未利用の状態になっています。その広大な海域で、コンブ類やホンダワラ類などの大型海藻を養殖し、それを原料として自動車燃料などに利用するアルコールを高効率で生産・抽出しようという技術開発が進められています。
 
 
有機物に含まれた窒素やリンは、分解される過程でそれぞれ、無機態の窒素とリンになります。この無機態の窒素やリンが多くなった海の状態を特に富栄養化(状態)といいます。この富栄養化した状態では植物プランクトンが海に色がつくレベルにまで大増殖する、赤潮と呼ばれる状態になることがあります。
 
 
このように、交雑種はおおむね両親魚種の特徴を受け継ぎ、中間的な見た目・特性を持った新しい品種となります。特に、ある特徴に対して元の両親のいずれよりも優れた特徴を示す場合、雑種強勢とよび、このような交雑種は養殖業への利用価値が高いこととなります。
 
 
ほとんどの魚における性決定の仕組みは、ヒトと同じXX-XY型です。未受精卵はXの性染色体のみを持ち、精子はXかY、いずれかの性染色体を持っています。受精した卵の性染色体がXXの組み合わせだと雌になり、XYの組み合わせは雄になります。