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実験の精度を高める創始者R.A.フィッシャーの3原則

実験計画法とは

実験計画法とは、効率の良いデータの取得方法を計画し、適切な解析結果を与えることを目的とする統計的手法で、イギリスの統計学者ロナルド・A・フィッシャーが農業試験のために考案した。 

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Sir Ronald Aylmer Fisher (1890-1962) 

 

フィッシャーの3原則とは

フィッシャーは実験の精度を高めるために次の3つの原則を提案している。

 

《1》反復:Replication

実験を行うとき、1回だけの観測では「その観測値が真の値からどれくらい離れて観測されたのか」という実験の誤差を評価することは難しい。

しかし、2回以上観測すれば、観測値のばらつきの度合いを見ることによって「真の値からの変動がどれくらいあるのか」という実験の誤差の大きさを評価できる。このように、同じ条件での観測値が多ければ多いほど、観測値が得られている状況を知ることができる。

つまり、反復とは観測誤差の評価を行うことである。

 

《2》無作為:Randomization

ある水準がある特定の場所だけに設定されるようにするとある水準に偏った誤差が発生するおそれがある。このような誤差を、系統誤差と呼ぶ。

系統誤差とは測定結果にかたよりを与える原因によって生じる誤差を指す。

系統誤差を評価する、あるいは管理するのが難しい場合は実験条件を時間的、空間的にランダムに割り付けることによって、系統誤差を偶然誤差に転化することが可能になる。

 

《3》局所管理:Local control

局所管理の原則は、実験の場を適当なブロックに分け、ブロック内では条件をなるべく均一になるようにし、処理効果の検出力と比較の精度向上を図ることである。

これは、系統誤差を回避するためのもう一つの方法である。

すなわり、系統誤差を生じさせる恐れのある時間的、空間的要因をブロックに分けて、その中に比較したいすべての処理を入れることにより、系統誤差の大きい部分はブロック間の差異として取り出し、その分、誤差のばらつきを減らすことができる。

同じような実験の場をブロックといい、この原則を積極的に取り入れたのが乱塊法である。

 

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